第8話 七魔神
〜???〜
魔界のとある場所にて、謎の勢力エルン・ノワール討伐の為の会議が行われていた。
黒髪の男「ライト」が口を開く
「……アルマが死んだらしいな」
「アルマぁー?あいつ弱いからな、雑魚は死んで当たり前だろ!」
「グリーズ、アルマは頭が切れる男だ。あいつが何もせずにただ死んだわけじゃないだろう」
「うるせえなぁ!!あいつが雑魚だから死んだって言ってんだろーがよ!この記事を見てみろ!エルン・ノワールはピンピンしてるぞ!」
グリーズと言う男とライトと言う男が口論をしている中、フードを被った少女が口を挟む。
「え〜でも、グリーズ私より雑魚じゃ〜ん」
「るせぇ!【コア】ァ!!口挟むんじゃねぇ!お前もぶっ殺してやるよォ」
「ふーんだ、グリーズのよわむし〜ざぁこざぁーこ」
「んだとぉ!?テメェ今度はころ……」
「……!」「!!」「!」「…………」
グリーズとコアが喧嘩を始めようとしたその時、
会議室に1つの緊張が走る。その「緊張」は近くに居るだけでグリーズやコアだけでは無い。他の者でさえその場で固まるほど「恐怖」という言葉では表し難い存在感を放っていた。
「も、申し訳ございませんでしたァ!カルマ・ノワール様!」「申し訳ございません!カルマ様!」
「……」
グリーズとコアは一瞬にしてその男の前で跪いた。魔力だけではないその圧倒的存在感によって無意識にその行動はとられていた。長い銀髪の髪をなびかせるその男は【カルマ・ノワール】魔界の支配を目論む【七魔神】と呼ばれる組織のリーダーだ。
「カルマ様っ!どうかこの2人の無礼をお許しください!」
「……お前がこの2人の肩を持つとは……珍しいなライト。……まあそんなこと今はどうでもよい。今日はな……」
カルマ・ノワールが言葉を続けようとしたその時、会議室のドアが大きな音を立てて開いた。
「……待っていたぞ、ドラーグ・ナックル」
「遅れて申し訳ございません!カルマ様!」
「…【エルン暗殺計画】はどうだった」
「そ、それは……計画は失敗しました。」
「【失敗】した?それは戦ったというのか、もしくはエルン・ノワールを見て恐ろしくなり、アルマを捨てて逃げてきたとは違うのか?」
「!……本当に申し訳ございません!」
「もういい……お前は【七魔神】を抜けてもらう。」
「!?それだけは!それだけはどうかお考えを!私はまだっ!まだかつや……」
「……!」「ヒッ!……」「……」「まじかよ……」
ドラーグが言葉を重ねようとしたその刹那、彼の体からは頭が消えていた。だが、何事もなかったかのようにカルマは言葉を続ける。
「続けるが……この中に【裏切り者】がいる。」
「「「「!?」」」」
「……聞いた話だが今回の計画で【ズレ】があって、アルマは死んだようだ……何か知らないか?エリオット。」
「も、申し訳ございません!
私は計画実行の際にマーズと言う女に邪魔をされて、計画に参加できませんでした!……アルマが死んだという報告を得たのは翌日です。」
「ほぅ…【マーズ】か…確かあの女はお前と同じで【最上位火属性魔法】を使えたよな?……あの女なら仕方ない」
カルマ・ノワールとエリオットの話の途中でライトが口を開ける。
「ところでカルマ様、次回の【エルン暗殺計画】はいつほどに?」
「……そうだな、その話は後日行おう。ではここまでで解散しようか」
「「「「はっ!」」」」
…………
会議後、エリオットは街道を歩いていた。
「…エリオット・バーンデッド」
「!?……ライトか」
「いきなりだが……お前【裏切り者】だよな?」
「!?なぜそれを!?」
「ま、待て!俺はお前の味方だ!」
「?どういう事だ」
「……ここじゃまずい、場所を移そう」
〜バーンデッド家・客間〜
様々な装飾で彩られた豪華な部屋にエリオットに招かれ、ライトは訪れていた。
「で、俺の味方ってどういう事だ?」
「とりあえず俺の名前知ってるよな?」
「?…【ライト】じゃないのか?」
「詳しくは【ライト・クリフ】、カイラ・クリフの弟っていえば分かるよな?」
「……カイラ・クリフってあの!?魔界兵団団長の!?」
「まあな、今俺は密偵っていう体で活動している。……言うなれば【七魔神のスパイ】ってやつかな」
「……そんなこと俺に行っていいのか?もし俺が裏切り者じゃなかったらスグにでも報告するけどな」
「いーや、アンタは報告しないね」
「……なぜそう言える」
「エルン・ノワールと組んでるでしょ?
俺さ、七魔神のこと一人一人調べてんだ。もちろん気配を消しながらね」
「組んでる訳では無いが……まあいいライト、君の目的は何だ?」
「目的?……そうだね、詳しくは言えないけど簡単に言うなら【カルマ・ノワールとエルン・ノワール】を戦わせることかな?」
「!?あの男をエルンに!?流石にエルンでもあの男は危なすぎる!」
「……エルン・ノワールは勝てるよ。いや、エルン・ノワールしか勝てない。」
「なぜそう言える!?」
「勘、かな?でも君も感じたことは無い?彼女の魔力の才能」
「…………」
「まあ、ともかく流石の彼女でも他の七魔神とカルマ・ノワールの相手は厳しそうだから、せめてカルマとエルンで一対一の戦いをさせるって訳。」
「もしエルンが負けたら?」
「……魔界の終わりだね。ただ、勝てたら彼女は確実に魔王になるよ。」
「めちゃくちゃだな…」
「あはは〜言われると思った。……で、俺と組む?」
「……本当は嫌だが、仕方ない。」
「彼女のこと好きなんだね?」
「ちっ、違う!ただあいつが俺以外のやつに負けるのが気に食わないだけだ!」
「はいはい(笑)」
こうして2人の手は握られた。果たして魔界はどうなるのだろうか!?
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