第4話新たな問題

放課後、3人は校門で待ち合わせをした後、夏鈴の家に向かった。 


「鈴羽さんって、夏鈴さんの家知ってるの?」


和馬が聞いた。


「あー。うん。小学生の頃から、よく遊びに行ってたから分かるよ。最近は、部活とかで忙しくて、遊びに行けてなかったから久しぶりかな!」


「行ったのいつが最後?」


「えーっと。中2の秋ぐらい」


「結構行ってないね」


「うん。」


話しているうちに、目的地の夏鈴の家に着いた。


「あ〜!ここだ」


「おー。家でかっ!」


和真と晴樹は、声を合わせて言った。


「ふふっ。2人とも仲いいね!」


「一応、幼稚園の頃からの幼なじみだからな。」


「一応って。幼なじみいるだけでも、凄いと思うよ。」


「そう?お互いの事よく分かるからいいっちゃいいけど、すぐ喧嘩になるし。」


「私は、そういう幼なじみがいないから羨ましいなぁ。」


「えっ?夏鈴さんは、幼なじみじゃないの?」

和馬は、目を見開いて言った。


「俺もてっきり幼なじみだと思ってた。」

晴樹も続けて言った。


「夏鈴と初めて会ったのは、小学校3年生の頃かな。私、その当時引っ越してきたばかりで、友達が1人もいなくて学校に行くのも憂鬱だったんだよね。」


「ちなみに何だけど、どこから引っ越してきた?」


「青森から引っ越してきたよ。でもそっちの方ね、方言が凄いじゃん。」


「うん。結構なまっているよね。」


「その方言が普通だと思ってたから、いつも通り自己紹介したら笑われて。自己紹介して落ち込んでた時に、その方言いいねって話しかけてくれたのが夏鈴だったの。」


「幼い頃から優しかったんや。」

微笑みながら和馬は言った。


「それに、その方言好きって言ってくれてすぐに仲良くなれた。あれがなかったら出会わなかったんだろうなって、今になって思う。だから、2人が出会えたのも奇跡なんだよ。」


「うぁ。めっちゃいい言葉。晴樹、これからも仲良くしてな!」


「なんや。あらたまって。まぁ、これからもよろしく」


「ふたりのそういうとこ好き!てか、早くインターホン押そ。こんなとこで話していたらダメじゃん。」


「あー。早くしないとな。一瞬、何しにきたか忘れてた。」


「忘れちゃダメだよ。誰が押す〜?」

鈴羽が言った。


少し沈黙が続いたあと、

「そこは、鈴羽ちゃんでしょ。」

と晴樹が言った。


「ん!それじゃあ、私が押すね!」


「押すのよろしく〜。」


「はーい。」


そして鈴羽は、インターホンを鳴らした。


「ピーンポーン」


「はい。どなたですか?」


「あっ。金井鈴羽です。夏鈴ちゃんいますか?」


「夏鈴の友達ね!今からドアの鍵開けるから少し待っててね。」


「はい!」


「さっき出た人は、夏鈴のお母さん?」

晴樹が鈴羽に聞いた。


「うん。多分そうだと思うよ。」


そう話しているうちに、ドアの鍵を開ける音がした。


「こんにちは〜。どうぞ上がって。」

夏鈴のお母さんが言いながら門を開けた。


「あ、ありがとうございます!お邪魔します。」


「お邪魔します。」


「お邪魔しま〜す!」


鈴羽、和馬、晴樹の順で言って中に入って行った。


三人はリビングで、夏鈴が来るのを待っていた。


「急にお邪魔してすみません。」


鈴羽が夏鈴ママに言った。


「全然、大丈夫よ。来てくれて夏鈴も嬉しいと思うわ!ゆっくりしていってね〜。」


「ありがとうございます!」


三人は声を合わせて言った。


「ちょっと夏鈴呼んでくるから、少し待っていてね。」


「はい。ありがとうございます。」


鈴羽が言った。


夏鈴ママは、2階の夏鈴の部屋に行った。


「体調悪いのかな。」


「どうなんだろ。心配だな。」


和馬が心配そうに言った。


少しした後、夏鈴ママが戻ってきた。


しかし、夏鈴の姿はなかった。


「夏鈴、寝てるみたいで返事なかったわ。来てもらったのにごめんね。」


「いえいえ。何か学校であったんですか。」


鈴羽が聞いた。


「いや。学校も普通に行っていたから何もないと思うわよ。」 


「そうですか。」


「何か知っていることある?」


夏鈴ママが、3人に聞いた。


「私は、クラスが違うので知らないです。夏鈴と話したときは、明るかったし特におかしいと思ったこともなかったです。けど、和馬たちなら、同クラだし何か知っているかも。」

 

鈴羽が、和馬と晴樹に話を振った。


「あ〜。俺は夏鈴と中学同じクラスになったことがないから分からんけど、あるグループからいじめられているというか。中学の卒アルと小学の卒アル見比べたら分かるかと。」


和馬が言った。


「えー!まじか。何で全然言わなかったの。」


鈴羽は、言った。


「ていうか、今まで全然話してなかったやないかい。」


「まぁ、そうだけど、、、。来るまでに話せるくない?」


二人が今にも喧嘩しそうになっていると

晴樹は言った。


「ちょっと二人とも!こんなところで喧嘩するなよ。」


夏鈴ママは苦笑いした。


「ごめん。ごめん。」


和馬が言った。


「そうだね。こんなとこで喧嘩したら夏鈴だって心配になってしまうよね。

和馬は他にも知っていることないの?みんなの前で言いにくかったら、夏鈴ママに言ってあげて。」


鈴羽は和馬にもう一度話を振った。


みんな静かになって和馬の話に耳を傾けている。


「言いにくいってわけじゃないけど、、、。最後に学校に来た日からいじめがエスカレートしたというか。晴樹と話していた時にあったみたいやから、ごめんやけど、詳しいことは分からない。でも、いじめがあったのは事実。」


少し沈黙があった後に、夏鈴ママは言った。


「そうだったんだ。夏鈴、最近元気がないと思っていたの。話してくれてありがとう。あとは夏鈴に聞いてみるね。」


「いえいえ。何もできなくて申し訳ないです。」


「私もしょっちゅう会いに行っていたのに全然気づかなかった。気づいてあげたら変わっていたかもしれないのに。」


鈴羽も涙ながらに言った。


「鈴羽の前では、夏鈴はいつも通りに振る舞っていたみたいだったから、責めることはないで。夏鈴が回復して顔を合わせられる日までじっくり待とう。」


「うん。そうだね。」


「和馬の言う通りだと。今は本人も休みたいだろうし。」 


「お話中に申し訳ないんだけど、今日は何しに来てくれたのかな?」


夏鈴ママは聞いた。


「あっ!忘れていた。あの、これ借りていた体操服と手紙です。届けにきたつもりがついつい話し込んでしまいました。」


「いえいえ。わざわざ届けに来てくれてありがとう。夏鈴にも伝えておくね。」


「はい。よろしくお伝えください。じゃあ、そろそろ帰ろっか!」


「そうしようか。」


「そうだな。」


和馬と晴樹は言って、3人は玄関に向かった。


「お邪魔しました。また今度夏鈴に会いに来ます。」


鈴羽は言った。


「お邪魔しました!」


和馬と晴樹は言った。


「また3人で会いにきてくれると夏鈴も喜ぶと思うわ。いつでも来てね。」


「はい!」


3人はそういうと玄関を開けて帰っていった。


帰り道、鈴羽は言った。


「ついつい長居しちゃったね。」


「そうやな。夏鈴の事もう少し早くに伝えとけばよかったな。鈴羽、ごめんな。」


「うんうん。私も気になったら聞いておけばよかったから。」


「俺も何か気づいてあげたら良かった。まぁ、しばらくは、夏鈴さんは学校来れないだろうな。」


「そうやなぁ。たまに会いに行って勉強とか教えた方がいいかもな。」


「うん!また3人で行こう!行く前には夏鈴に聞いてからの方が、いいかも。体調だって良くないみたいだし。」


「そうしよ。じゃあ、俺らはこっち方面やし。鈴羽も気をつけて帰ってな。」


「うん。今日は2人ともありがとう。また明日!」


「また明日!」


和馬と晴樹は声を合わせて言い、鈴羽と別れた。



新たな問題が発覚、、、。

夏鈴の今後はどうなる?


第5話に続く、、、。






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犬が懐いてきました〜高校生のアオハル物語〜 rina @rina_shousetsu

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