そりゃあね、他の方も書いておられるように、他に例を見ないユニークな世界観だし、ストーリーは面白いし、料理の描写ときたらまさに垂涎ものですよ。キャラ立ちは抜群だし、伏線はしっかり回収、会話は軽妙で楽しめるし。
でもね、この作品の一番の特色は、「読みの指示」とういう本来の役割を超えた、独創的なルビの使い方ではないでしょうか。
凝った設定のプラスアルファの説明に用いたり、感情や情景のイメージを重層的にしたり、メタ発言や危ないギャグを飛ばしたりと遊び心満載、自由自在。
これも誰かが書いておられたように、おそらく生まれて初めてルビを熱心に、楽しみに読んだ小説です。
そろそろ来るかな、来るかな、来たー! なんてね。
他の作者さんも続々と真似したりしてwww
とにかく美味しいものが大好き!
美味しいもののためならば、相手が神でも魔族でも関係なくぶっ飛ばしちゃう系の主人公、儚げな美少女(本人談)勇者アスラちゃん。
彼女の心の中には生まれつき、謎の「声」が同居しています。
物語は基本的にアスラの一人称視点、モノローグ調で進むのですが、心の声がツッコミからボケまでオールマイティにこなすため、地の文(?)の賑やかなこと! (笑)
メタ発言や往年のギャグ、アニメネタなどもふんだんに盛り込まれているので、それに気付いた方はクスリと笑ってしまうでしょう。
美食が主題の話ですから、飯テロどころでは済まない具体的な料理描写が堪りません。
読めばきっと「食べたい、作ってみたい」と思うはず。
勇者と言うからには魔王を討伐するため各地を冒険して、魔を祓って――と洒落込みたいところですが、彼女は美味しいものさえ食べられればそれでよし!
しかし、仲間の戦士と賢者に魔王討伐を持ちかけられている最中に、問題の魔王から招待を受けて……。
そこからはもう、怒涛の展開です。
アスラはずっと心の声と過ごしているからか、強いだけでなく弁も立ちます。実は出生に秘密がありそうで――。
現時点ではまだまだ謎が多いため、ただのギャグではなくシリアスな面もあります。
物語の設定、世界観もしっかりと作り込まれていて、実際の神話や旧約聖書の勉強にもなりますよ!