美貌の青年が営む骨董店の従業員である主人公は、左眼に怪異を見ることが出来た。店に持ち込まれたカセットテープを、半ば強引に青年に聞かされた主人公。カセットテープにはノイズの混じって、子供が何かの遊びをしているような声が入っていた。この声を聞いた主人の左眼には、バラバラになった何かが見えた。
そしてカセットテープを調べていく内に、悲しい事件へが見えてきた。その事件の真相は? そして次に持ち込まれた寸胴の中身とは?
さて、主人公には、血のつながらない一人の妹がいる。とても妖艶で美しい少女だった。そのことで、主人公は兄として妹を見るのではなく、男として女を見るようになってしまっていた。そして妹の方も、母に嫉妬されながらも、兄である主人公に言い寄り、全て自分のものにしようと誘惑するのだった。主人公はそんな妹の誘惑に負けそうになるが、あることを思い出してこれを拒絶するのだった。
そして語られる美貌の青年の秘密――。
謎が謎を呼び、恐怖へと転換される物語です。
是非、御一読下さい。
タイトルの夢告げ通り、主人公・史堂さんは不思議な夢を見る。
それは自分の記憶なのか、誰かの記憶なのか。
読み進めていく内に、史堂さんと共に迷宮に迷い込んでいくような錯覚を覚えます。
そして、史堂さんの秘密を通して視えるもう1つの世界に引き摺り込まれ、怖いのですが、それでも先が知りたくて早く早くと読ませる、魅力あるホラーです。
しかし、色や匂い、詳細な描写が満載なのでお気を付け下さい。
油断していると、心臓が跳ね上がるだけでは済まない事態に追い込まれます。
本当に、怖いんです。
けれど、だんだんと明かされる真実にやるせない思いを抱くことにもなるでしょう。
こちらは読んでいただいて、ご自身の心で感じてほしいと思います。
そしてこちらの作品のもう1つの魅力が、男性の色気です。
千加良さんという魅惑の男性が登場するのですが、史堂さんとは正反対の頼もしい存在でもあります。
その2人のやり取りからここまで漂わせるのか!と思うぐらい、別の意味でドキドキさせられます。
私はホラーが苦手ですが、それでも読み進められるほどの魅力がたくさん詰まったこちらの作品を、是非皆様も堪能して下さい。
きっと、読む手が止まらなくなりますよ。