永遠に愛するということとは───

最終話まで読ませていただきました。

寿命の長さが極端に違う別の種族の二人の少年少女の恋が愛に変わっていく様子が、わずか二万文字以下で巧みに表現されており、思わず一気に読んでしまいました。
少ない文字数の中で、生きるとは何か、死とは何か、老いるとは何か、大切なことは何か、そして愛するということは何か・・・・・・作者様の伝えたいことがしっかりと表現されていて思わず物語の中に引き込まれてしまいます。

ストーリー展開もテンポがよく、登場人物のちょっとした心境の変化がレベルの高い文章力で描かれていて、読みやすい文章であるのに濃厚な物語を楽しめます。

特に幼い恋心が愛に変わっていく様子とその愛を貫こうとする様は心打たれるものがありました。

寿命の長さが極端に違うということは時の流れが違うということ。
それはとても残酷なことですが、その時の流れでさえ乗り越えていこうとする二人の愛はきっと永遠。

こんなにも長く人を愛せるということはとても幸せなことであると同時にとても儚くもあります。
しかし、その儚さがあるからこそ、幸福があるのだと教えてくれています。
それはきっと作者様の人を思う優しさから生まれてきたのではないでしょうか。

残酷で儚くもあり、それでいて美しい世界。

今、私達が生きる世界にもたくさんの死がありますが、その中にも永遠の愛が存在するのだと。
この作品は、そう語りかけてきているように思えました。

どうか皆様も是非読んでみて下さい。
そして自分の周りにある幸福な愛を見付けてみて下さい。
それは世界でたった一つしかない、あなただけの特別な愛であると思います。

私達が普段は仕事や勉強に追われ、見落としがちになっている本当に大切なことを気付かせてくれる作品です。