もしラーメンブログ文体でしか感想を表現できないオッサンマネージャーが「鬼滅の刃」の映画を観たら
高橋 白蔵主
無限列車編
季節も秋を感じさせる少しだけ肌寒い日々。ボーナスも少なかったから懐も、そしてオキニと連絡が取れなくなって心も寂しいラーメン小僧、テツです。
ミカちゃん、これ見てたら連絡くれよな!北巣鴨の「テツ」だよ!ケー番、教えたやつから変えてないからね!010で始まる末尾が96のテツだよ!!
オッホン。
ともあれ萎んでしまった心と体をもう一度燃え上がらせるため、そしてあわよくばこのラーメンレビューで万バズしてミカちゃんの目に届け!の邪な想いも僅かに抱えて、今大流行の「鬼滅の刃」です。
もうラーメン界は猫も杓子も鬼滅鬼滅鬼滅、ですが本家本丸、元祖本流のこちらの限定メニューを外すのはラーメン奉行の「名がすたる」・マダガスカル(古ッ!!!)、というわけでやってきました映画館。
もともとボクみたいなひねくれ者はどうしても尖ったインスパイア系ばかり攻めてしまって、王道の基本というのを疎かにしてしまいがちなんですね。ですが今回の限定メニュー、無限列車編と聞いては居てもたってもいられません。
伝奇要素に、少年漫画らしい先輩キャラ、仲間との切磋琢磨に加えてこの秋限定の鉄オタ要素と声優要素、もうこんなんラオタの夢見る「フジョシゼッタイヨロコブメシ」に決まってるじゃないですか!
そんなワクワクとニンニクをマシマシでやってきました映画館、結構キッズなんかも見受けられますね。
ボーヤ達、一生忘れられなくなるラーメン体験をする「覚悟」はあるのかな?俺はできてる、なんつって。
着座です。
着席して、最初に目に飛び込んできたのは「エーガドロボー」。やはりハイレベルな店は鑑賞の注意からしてキレッキレ。ダンスも構成も、人を不安な気持ちにさせるサイレンの演出も、最高にこの後のラーメンへの期待を高めてくれます。
まだ始まんないの、なんてうるせえ隣のガキンチョには裏拳一発、物理的に黙らせてやりました!こちとらラーメンブログに命かけてるんだよ、ロットリズムを乱して後のお客さんに申し訳ないと思わないのか、そんな説教したい気持ちをグッと堪えて無言で喝!です。
店主はそんなボクの心意気を理解ってくれたのか、鉢巻を巻き直して調理に挑んでくれるようです。客と店主との真剣勝負、いつも眠そうな助手サンもなんだか緊張してるみたいです。
手持ち無沙汰なのでちょっと調べてみたらと、鬼滅系ラーメンを開発した吾峠総帥、ななななんと女性なんですね!タハー!女なんかにこんな壮大なラーメンチェーンが作れるとは!
創業者ともなると、一体月給幾らくらい貰えるんだろうな、とか考え始めたら戦う前からなんだか負けた気分です!ラーメンとは関係ないけど、ちょっとだけマイナスポイント!
こういうのは客の目の届かないところにやっておいてほしいですね…。
気を取り直して、ラーメンに集中しましょう。カウンターの中でチャキチャキ働く店主、ついつい目で追ってしまいます。アレっ?アレってまさか、、
「うまい!うまい、うまい!!」
ウワーッ!!生店主の「生店主弁当コール」です!コールしながら我慢しきれないのか、虚空を見つめるんじゃなくてチラチラこちらを伺ってくる可愛さに免じて、肝心のラーメンを食べる前ですが星、一個差し上げちゃいましょう!!やっぱり人気店でもボク達ラーメン小僧の評価あってこそですもんね!
そしていざ、着丼!バン!大迫力です!食べる前から星3つ!!
ヌルヌル動く炭治郎、善逸、イノシシの頭のやつ、事前情報通りではありますが、実際に動いてる丼を見ると感無量。まずはスゥッとスープの香りを胸いっぱいに吸い込んで、最敬礼ッ!!
とにかく鬼滅は最初が肝心、箸を割るのも待ちきれないので、メチャクチャ熱くても我慢して素手でかき分け、今回のデロ具合をしっかりチェック。
アレアレ?麺の状態はともかく、禰󠄀豆子は?禰󠄀豆子が居ないぞ?
なーんてご心配なく!ちゃーんと丼の底に隠しても隠しきれない禰󠄀豆子がドーンとメチャクチャ存在感を発揮して隠れてらっしゃいました。この演出、心憎いね!ヨッ!鬼滅大統領!
しかもスープをしっかり吸った禰󠄀豆子は大きくなったり炭治郎の縄を燃やしたりと大活躍!コレコレ!コレこそが鬼滅だよなあ!なんて本店は初めてのボクもついつい「通」みたいなムーブをしちゃうのも鬼滅の魔力のなせる技ですね!
再度、敬礼ッ!!
全てのシーンに敬礼を挟んで食べ進むうちに、最初のハイパーバトルかと思わせておいての、店主、夢 オ チ !
大事なことだから二回言いますが、店主の活躍、夢 オ チ !
流石に温厚なボクも前の座席を蹴飛ばして大暴れ。分かってましたよ、そりゃあ分かってましたけど、この後どうせ死ぬんだからもっとちゃんと活躍させてやってもよかったじゃないですか!そこにラーメン愛はあるのか!\\\٩(๑`^´๑)۶////
なんて言っていたら、まさかの急転直下、警察介入でビックリです。最初に裏拳したお子様の親が通報したのかと思いましたが、まさかの劇場からの通報。ちょっと裏切られた気分です。
取り押さえられて手錠をかけられてしまったせいで肝心のラーメンは完食できず。後で聞いた話ですが、店主が鉢巻を締め直すのは助手サンへの、警察を呼べ、という合図だそうです。ラーメンを愛するボクの気持ちが伝わったと思ったのにまんまと騙されました。
そんなわけで結末を見られなかったのでラーメンの評価は星ひとつとさせていただきます。
いつか社会に戻ることを許されたら誰にも迷惑をかけないように再挑戦したいです。
もしラーメンブログ文体でしか感想を表現できないオッサンマネージャーが「鬼滅の刃」の映画を観たら 高橋 白蔵主 @haxose
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。もしラーメンブログ文体でしか感想を表現できないオッサンマネージャーが「鬼滅の刃」の映画を観たらの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます