なんとなく読み始めましたが「あ、ファンタジーものなのかな？」と思ったが最後、寝食を忘れて読み切っていました。

全容は明らかではないはずなのに緻密な世界観が端々に散りばめられつつ、憎めないキャラクタ同士のやり取りには緊張感がつきまとうためか、
見知らぬ物語にやってしまいがちな設定への野暮なツッコミを考える暇を与えてくれません。

何十巻も長期連載してきたかのような、もしくは読み手に阿らないとでも言うのか…
作者の描く匂いや湿度すら感じられるような世界観、脳裏にまざまざと浮かぶ状況描写が圧巻でした。

劇中時間ではほんの僅かな時間しか描かれていていないはずで、これから幾百もの物語を読める期待が持てるのも嬉しいです。

とにかく引き込まれる語り口。一方的な人でなし女の雑談を聞かされながら（このまま殺されるのか。それも悪くないな）と納得させられてしまう冒頭エピソードが群を抜いて良い。

世界観に目を向けると、さまざまな人でなしやマジメが自由に生きていることがわかり作者の世界観に瞠目せざるを得ない。

最新エピソード（2021年1月末）の「悪」では、高度なサイキック戦闘の引き出しまで開けてきた。

この作者は本当に底が知れない。ずっと見守っていきたい。

ツノとホクロがかわいいおしゃべりな暗殺者女史が、えんえんと目の前の拷問対象者に語りかける一話がまず、面白い。読み進むとけっこう複雑な背景があるんだけど（龍の国の設定とか）、わからないなりにほどよく謎と笑いがちりばめられており、読み飽きない。みんなキャラが濃くて楽しい。続きも楽しみにしてます。