東京――かつての江戸には、五色の不動尊が鎮座し、結界を成していたという。
その五色とはすなわち、目黒、目白、目赤、目青、目黄。
このうち、目黒と目白は地名、駅名としてメジャーなので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。
本作は、この五色の不動――五色不動とは何か、結界の成立とは、というテーマを根底に抱えつつ、現代の少年――黒須透夜が、その五色不動を設定したという天海大僧正のいる時代へとタイムスリップし、異能と接するという、時空を超えた伝奇ものとして、エンタテインメントとしての魅力に満ちた読み物です。
現代における透夜の「親」や周囲の人たちの存在、その人柄もさることながら、江戸時代における異能の存在のキャラクタや、果ては史実上の人物までもが、生き生きとして話し、動き――それは、読む者を飽きさせません。
まだまだこれからという、動き始めたばかりのこの物語、今から読み始めて損はないはずと思います。
ぜひ、ご一読を。