第3話 おおいなる尻の受難 ~手術から退院まで~


 ※臨場感? を出すために、当時(2020年9月4日)に書いた記事をほぼそのまま載せてます。多少加筆あり。


 タブレットを持ち込んだはいいものの、思ったより文章が打ちにくかったので結局退院後に書くことにしました。

 ということで手術を終え、一週間の入院生活を経て退院しました。

 

 手術自体は20分くらいですぐ終わって、「え、もう終わりですか?」といった感じでしたね。

 恐怖のピークは手術室入室時。手に消毒用のアルコールを持った先生を見たときでした。

 うあぁ、マジなんだ……と、こう、お尻がきゅっとなりましたね。

 手術中は麻酔が効いていたので、なんかされてるなという感触だけで、痛みはありませんでした。とりあえず尻から意識を逸らしたかったので、今地震とか来たらどうするんだ。尻丸出しで避難するの? とか、益体もないことを考えていました。結局尻に繋がってるし。

 でまあ、手術は問題なく終了。ほっとしたのですが……。

 

 本当の試練はここからだったのです。


 手術後、ストレッチャーに乗せられて二階の病室へ。

 ちなみに寝たままエレベーターに乗るのは人生初めての経験でした。エレベーターの天井を見上げていたら、なんか、ああ、手術したんだなという実感がこみあげてきましたね。


 で、ごろりと競りを待つマグロのように転がされてベッドへ。いや、優しくそっとではあったのですが、絵面は完全に魚市場のそれ。

 下半身は麻酔でマヒしているので足の先以外感覚がありません。自力で寝返りも打てない。点滴を受けつつ、今後の説明を受けます。

 曰く、8時間はベッドで安静に。4時間後に痛み止め服用。食事は翌日の朝まで無し。

 トイレに行きたくなったら尿瓶で。などなど。


 これがきつかった。8時間することがない。かろうじて上半身は動くのですが、本を読むのは体勢的にキツイ。結局スマホで音楽を聞いていました。ガラケーから切り替えておいてよかったね。何気にスマホ歴3ヶ月です。


 8時間経過でようやく立ち上がる許可を貰えたのですが、麻酔が残っているのか貧血気味なのかふらついてまともに立てない。この時点で絶食24時間くらいでしたが、食欲はまるでありませんでした。スポーツドリンクを飲むのでいっぱいいっぱいです。

 

 そして夜。

 手術前に、麻酔の副作用で尿が出にくくなるかもしれないと説明を受けていたのですが、ホントに出ない。ちょっと、いやかなり焦りました。

 というのも、尿が出なかったら、尿道カテーテルを突っ込むと宣告されていたからです。


 尿道カテーテル!


 朝井リョウさんのエッセイで読んだので知っています。めちゃくちゃ痛いやつです。尿道に管を突っ込むなんて、想像するだけでちびりそうになります。尿が出なくて困っているのにとんだ皮肉です。

 ともかく、朝井さんの臨場感あふれる描写のせいで、私は尿道カテーテルにすさまじい恐怖を抱いていました。下手したら手術より恐れていたかもしれません。

 なので、夜の3時くらいに看護師さんが来て「出ませんか。じゃあ管を入れましょうね」と無慈悲な宣告をした時も、「もうちょっと、もうちょっとだけ待ってください! この子も頑張ってるんです!」となりふり構わず懇願しました。まさに命乞い。

 必死さが通じたのか「じゃあ朝の8時まで待ちますね」と見逃してもらえました。看護師さんがやさしい方でよかったです。

 

 で、翌朝。無事に尿が出ました。尿道カテーテルを免れたのです。これほど嬉しいことはない……。


 そして尿道カテーテルの恐怖も乗り越えて待ちに待った朝食……だったのですが、絶食30時間越えにも関わらずまるで食欲がありませんでした。

 気分は最悪、頭が重いし体がだるい。無理矢理食べた後はひたすら横になっていました。昼も同じ。振り返ると、術後一日目のこの日が一番きつかったかもしれません。


 あとは特に大きな出来事もなく、順調に体調は回復して今に至ります。尻ガーゼはしばらく続きますが、安静にしていれば問題はないとのこと。


 けど、自分としては問題……あったんですよね。

 食事です。

 病院の食事は味はよかったのですが、いかんせん薄味でちょっと物足りなく思っていました。肉も少なめ。

 なので退院したら脂っこいものいっぱい食べるぞひゃっほいと希望を抱いていたのですが、なんと術後二週間は食事に気をつけてねということでお預け。

 ああ、焼き肉、ラーメン、ステーキ、トンカツ、ハンバーガー、チョコレート……。甘いものすらダメとは。

 きついですがお腹とお尻のためには我慢です。っていうか今までの暴飲暴食がたたってこうなったのでは……?

 まあ、自分の食生活を見直すという意味でも、いい勉強になったのではないでしょうか。

 いやでも脂っこいものおいしいですよね。


 そんな感じの入院生活でした。まだ通院は続きますが、一段落です。

 

 最後に。

 お尻のトラブルは放置せず、すぐに病院に行くことをお勧めします。

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おおいなる尻の受難 イゼオ @shie0901

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