完結まで読んでの感想です。
全編を通して描かれるのは、守ると定めた少女・ミズカのために困難に立ち向かって行く主人公・イスカの成長。
人々の安寧のために歪な生き方を強いられるミズカ。その在り様に対する疑問。これがイスカと他者とを分ける決定的な違いです。
その想いは時にイスカを追いこみ、様々なものを奪い去ります。それでも歯を食いしばって前に進んで行こうというイスカの心の軌跡がしっかりとした文体で、丁寧に書き込まれています。
そして細やかに練り上げられた和風の世界観がいい背景となって物語に彩りを添えます。舞台となるアキツ国の説明や宗教観が適時、自然に挿入されるのも没入感が増して良かったです。
全部で32話と短めなお話ですが、読みごたえは抜群。最終話まで読み切った後に、このお話の題名がひとしお胸に迫って来ます。読後も噛み締めるものが多い、本当によく出来た物語です。
もっと広く読まれて欲しいと切に願っております! 皆さまも是非溢れる感動を味わってみてください!!