衛星レーザー粛清システム

カナンモフ

衛星レーザー粛清システム

俺は高校三年生の中山祐一、自宅に帰りtvを見ていると、一つのニュースに目が止まった。

 

 「衛星レーザー粛清システムの暴走が始まりました。 多くの国では暴動が発生しており、システムを崇拝する教団との抗争が起きています。 マハラバ! ガジャス! 」


 ニュースキャスターが教団の祝詞を唱え、微粒子分解手榴弾のピンを抜き自爆する光景が生放送された。


 「何だ? これ。」 「help me!」 「cuideachadh……」 「帮助!!」

 

 世界にレーザーが降り注ぐ様子が映し出された。 そこで俺はようやく、自分がこれから死ぬということを理解した。


 家の外では、前々から隠れ信者だとの噂がされていた高城さんが純白の西洋風鎧に身を包み、殺戮を始めているのが窓から見える。


 どうせ死ぬんだったらレーザーで死んだほうが楽に死ねるに決まってる。 あんな狂人に殺されるのはごめんだ。


 警察が高城さんと争っている。 高圧縮レーザーや、小型核ミサイルが飛び交う。 高城さんのレーザーが警察の頭を撃ち抜き、あたり一面が血の海だ。 住宅街はもう滅茶苦茶になっている。


 電話が鳴った。 父さんからだった。


 「祐一、隠していたが、父さんと母さんは施設から抜け出して来たミュータントなんだ。 祐一には世界を救える力がある。」


 「え? ど、どういうこと?」 


 「頑張れ祐一! 衛生レーザー粛清システムを破壊するんだ! 父さん達は神に祈ってるからな!」


 電話はぶつ切りされた。 何が何だかだ。 俺はミュータントの子で、世界を救えるらしい。 頭がおかしくなりそうだ。


 キーン キーン キーン キーン キーン とレーザー音が響いている。 いつの間にか家が自室以外消えていた。


 「祐一君じゃないか! 殉教の準備は良いかい? 審判の時が来たぞ!」


 高城さんだ。 レーザーランスをこちらに向けている。 もうやけくそだ。


 「俺は世界を救えるんだぞ! そこをどけ! お前の大事なシステムをぶち壊してやる!」 


 高城さんは兜のモノアイを動かし、ランスを俺に振り下ろす。 力だ。 力をイメージする。


 俺の腕が光り、衝撃波が出た。 ランスが吹き飛ぶ、兜の上からでも分かる程、高城は驚いた。


 「審判が来ているんだぞ! ふざけたことをするんじゃない……祐一君はどんな風にレーザーに焼かれたいんだ? 私なら望みを叶えられるが。」


 「レーザーなんかに焼かれる程俺の皮膚はやわじゃないぜ! そんなにレーザーが好きなら、、、、自分を焼いてろ!」


 俺は吹き飛んだランスを掴み、高城の頭へ力を使って投げた。


 狙いは少し外れ、肩にランスは突き刺さった。 高城は唸り声を上げ、鎧の背から高圧ブースターを出し、空へと飛んだ。


 逃がしはしない、システムごと破壊してやる。 力を両足に集め、俺は飛んだ。


 高城は既に衛星レーザー粛清システムの前へ到達していた。 奥には星が広がっている。 宇宙空間では酸素が無い、決着は一瞬だ。


 高城は鎧のガントレットから高圧縮レーザーを放とうとしている。


 俺は手に全ての力を込めた。 体は力を失い、落下していく、高城がレーザーを放った。


 レーザーは落下する俺を捉えきれず、外れ、高城は窒息してもがいている。 今だ。


 俺の手から光弾が放たれ、衛星を撃ち抜いた。


 力を全体に循環させ、地上への落下に備える。 

  10、9、8、7、6、5、4、3、2、1

       「ここだ!!」

 地上10mでブレーキをつけ、俺は住宅地へと着地した。 世界を救ったのだ。 俺が。


 破壊された家に戻り、ニュースを確認する。


 「先程のニュースですが、国民の皆様、安心してください、審判の時が来たのです。 衛星レーザー粛清システムは、空から今も、我々を見守ってくださっています。」


 「佐藤さん、今、こんなニュースが!」

 ディレクターが駆け寄り何かを伝えた。 このタイミングだと、多分、あの事だろう。


 背中をポンと叩かれた。 振り返ると、父さんと母さんが居た。


 「祐一、お前の活躍は見ていたぞ! 嘘でもなんでも言ってみるもんだな! まさかお前が超能力者だなんて!」


 「は? 父さん、今なんて?」


 「い、いや、世界が終わるっていうから、祐一きっと落ち込んでるだろうし、、元気出させてやろう! って思って……」


 「洒落になってねーよ!! 糞親父! 捻り殺してやろうか!」


 「祐一! 父さんは良かれと思ってやっただけだから、、許してあげて祐一!!」


 逃げる親父の首根っこを掴み、締め上げて脅した。 何て親だ。


 ニュースではニュースキャスターの信者が衛星の消滅にショックを受け、祝詞を叫び自爆している。


 「衛星レーザー粛清システムも無くなって、世界も平和になったことだし、焼肉にでも行こう! ◯々苑だ! だから祐一! 手を離してくれ祐一!!」

 

 俺は手を離し、◯々苑で話をつけた。 家も消滅しているし、心機一転だ。 バッグに荷物を詰めて、◯々苑へと家族で向かった。




   「って、ぶっ壊れてんじゃねーか!」

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衛星レーザー粛清システム カナンモフ @komotoki

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