未完成①

@hacchiondemand

第1話

※リンクをコピペして聞き読みしてもらえたら。

https://youtu.be/XJUEASWZarU


どこからか聞こえた足音は毎日のように聞くたびに君のものだとわかるようになった。


初めてそれを伝えた日。


「犬みたい」


って笑った君を忘れたことは今もない。ただ伝えてないことは他にもあって。足音だけでも、疲れてるのがわかることもあったよ。


君が部屋からいなくなってから、どれくらいの日々が過ぎたのかな。会えなくなるわけではないから心のどこかで安心もしていた。


いままで何もなかったかのように、君が離れていった理由は後から知ったよ。辛かったのは君のほうで、足音でわかったような気がしていたことは、もう少し信じてたら良かったかな。


まだ遅くないって聞こえてくるような気がしてる。それと共に君が僕を悲しませないようについた、はじめての嘘は信じようと思ったけど、、、大丈夫、どんな君でも。もうあまり長く側にいれなくてもちゃんと向き合うよ。



真っ白なカーテンを少しだけ開けて久しぶりに会った君は目を真っ赤にしながら


「なんで来たの?」


って震えながら僕に言ってたね。


いつでも自分のことは後回しにして人にやさしくする所が君の良いとこで僕はそれを愛していたから。例え先が見えなくとも最期まで一緒にいたい。って用意してきたかのような言葉は全く言えずに、


「久しぶりだね。」


しか言えなかったよ。


はじめてついた嘘を貫き通すように、そっけない仕草で目を逸らそうとしてた君のことも、少しだけ痩せた顔も、涙でぐしゃぐしゃになった「ごめんね」も、僕は一生わすれることはない。


心の底から思ったよ。あと少し、ほんの少しでもいいから。あなたの側にいさせてください。お願いします。神様どうかお願いします。


to be continued.

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

未完成① @hacchiondemand

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る