第35話 帰路にて
「気がついたか? 」
「………。」
私は目を覚ますとまず、自分の頬に手をやった。
コツという音とともに伝わる固い手触り。
人形に戻ったのだと、理解した。
青年は私と同じ人形だと、途中で明かしてくれた。
首から上、肘より先、膝から下だけが人と同じようにみえる肌でおおわれていた。
新型になった人形は人とを見分けがつかない出来栄えだ。
私も新型に改良してくれるだろうか。
青年は "アリオリ" と名乗った。
アリオリは言う。
"オレからも頼んでやっからよ"
私達は一路、賢者様の待つエデールガル王国へと向かう旅路を進むのだった。
第一章 王様と人形編 〈完〉
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まつろわぬ世界に 井ノ中蛙 @coronclune
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