シンキングビースト - クトゥルフTRPGシナリオ
しゃべるそら
第一章 ジ=ガを解明せよ改
――――――シナリオ情報―――――――
ルール:クトゥルフ神話TRPG
タイプ:クローズド・シナリオ
推奨技能:〈目星〉
準推奨技能:〈かばう〉
推奨人数:5人以下
プレイ時間:
その他:戦闘多少アリ
キャラクター要件:オカルトに無関心ではない者
―――――――あらすじ等―――――――
・あらすじ
舞台は現代日本。コソコソ生きてきたミ=ゴたちも社会に馴染みつつありました。
そこでミ=ゴたちは人間の個人意識について調べていないことに気づきました。
例えば人間の自我とか。自由意志でバラバラに行動をとるという人間の仕組みは、ミ=ゴたちには理解しにくいものでした。
それまでもミ=ゴたちはうまくやれていましたが、人間の行動はいつまでたってもつかめない。ミ=ゴたちは、そのつかめない行動の起源がこの仕組みにあるんじゃないか? と考えます。
鉱石採掘のように意義のある研究ではありませんから、これはいわば惰性のような研究ですが、彼らの一部が自我の実験としてテスト開催の計画を立案しました。参加してくれる人は捕まえてきて揃えました。
そんなわけで、ミ=ゴ主催☆自由参加!☆楽しい楽しい三択テストのはじまりはじまり、というわけです。
・あらすじ概要
時は現代日本、ミ=ゴの隠された研究施設での物語です。
事の発端はあらすじの通りです。最初の仮説は、自我や自由意志こそが行動に不規則性を与える仕組みだというもの。自由意志を、色々な行動を試して正解を導くための仕組みだと考えたわけです。
ミ=ゴたちは被験者としてオカルトに興味津々な探索者たちを選び、さくっと誘拐・軟禁します。いくつかのテストをしたのち、彼らは開放する予定でした。
テスト開催の援助者として学のある人間をドローンにして、テストの内容や計画を助言してもらったのですが……その人間はドローン化の脳への弊害として、ミ=ゴの自我に関する研究を極端に否定する思想を手に入れてしまいます。ミ=ゴ様は今のままが最も生存に適合しているので、自我を知ろうとするなんてとんでもない! という原理主義的思想のようなものです。
彼にとっては、自我の実験が成功することを認められません。そこで彼は実験へ関与しはじめ、探索者たちがミ=ゴたちの興味をそそらない選択をするよう仕向け始めるのでした……。
―――――――導入――――――――――
探索者たちは意識を失い、同じ部屋で寝ていました。
突然、ベルの鳴る非常に大きな音が部屋に響きます。探索者たちはうるさい音で飛び起きました。
探索者たちは意識を失う前の記憶を持っています。それぞれ状況は異なりますが、
次の瞬間、天井から色のついたガスが漏れてきます……。
※KP用解説※
※探索者は所持品がほぼ没収されています。服など最低限のものは持っていますが、手に持てる物はほぼ没収です。隠しナイフとか仕込み銃とかも没収されています。抵抗ができないよう最低限です。
※探索者同士の関係性はご自由に。
―――1―――気がつくといた部屋―――
・部屋
狭くも広くもない部屋です。探索者たちは部屋の中央に雑魚寝していました。
※以降、方向の説明のため方角による表記をします。北が上と考えればOKです。
西の壁にはドアノブの付いた扉があります。
東の壁には、鮮やかではっきりした緑色のガスが天井から漏れています。ガスはとても遅い速度で部屋に広がっていきます。
部屋はすこしだけ明るいですが照明はありません。だいぶ静かな部屋だなといった印象。
西の壁→
なんだかちょっと大きいドアノブのついた扉です。それだけ。
※南の壁の張り紙を読まないうちは、開けても進まない方がよさそうです。誘導しましょう。
東の壁→
ガスが漏れています。
※ガス噴出装置(愛称:ミゴミスト・マシーン)によるものです。吸うとミ=ゴの死亡後融解のように体が溶けていきますが、完全に溶けきるには六時間程度かかります。ちょっとやそっと吸っただけではちょっとくらいしか溶けません。とろけるくらい。
とりあえず〈目星〉あるいは時間経過で気づいてよいこと→
北と南の壁には多少の違和感が。とくに南の壁には何かがあるようです。
南の壁→
白地の張り紙がされています。とても濃い黒色のくっきりはっきりした文字で、以下の内容が書かれています。
『はじめまして。皆さんにはクイズに答えてもらいます。無回答という選択肢も合わせて四択です。よいですね? 部屋にガスを流しました。今止めますが、これは吸うと酷い目にあう薬品です。後でまた流しますので、早めに回答してください。 不安ですか? 我々はあなたがたに危害を加えることが目的ではありません。安心して答えてください。 でわ進んでください』
この内容を読むと、東の天井から漏れていたガスが止まる。
逆にゴーゴーという音でガスが吸引されていきます。エアコンの空調が連想されるような現象です。
(張り紙の内容は少々おかしい気がしますが、これを書いた人の脳はとろけているんでしょうか。詳しくは分かりませんがこう書いてあります)
北の壁→
壁に長方形の模様があります。大きさは等身大くらい。なんだろう?
〈アイデア〉→
模様は扉のふちで、北の壁に偽装された扉があるということが分かります。大変わかりづらい。
※扉はなんとか開けることが可能です。
※開けようとしたとき、先に南の壁の張り紙を見ていれば、ガス装置が再稼働します。本来通るはずの扉ではないので、ガスで時間の制限を設けてください。
STR18(受動)の扉との対抗ロール→
こじ開ければ扉はこちら側へ開きます。開いた先は通路で、何かしらの施設が連想されます。照明がないため薄暗く、しかしなぜか少し明るいです。
※なおガスは流れ続けているため、この扉を開けようとしたなら、開いても開かなくてもこの扉のすぐそばまでガスが来ている状態まで追い詰められます。入るかどうかは探索者の選択に委ねられます。
北の扉から先へ進む→
流れていたガスが一度吸引されます。その直後に色の違うガスが勢いよく流れ出し、探索者全員のいる場所まで一瞬で拡散して探索者は気絶します。その後はシナリオ開始時(1――気がつくといた部屋)の状態にリセットされますが、偽装された扉の先へ進んだ探索者のうち、最も敏捷値(DEX)の低い探索者の四肢が溶けた状態で目を覚まします(私の四肢が溶けている。脳が理解不能さで裂けそうだ。SANチェック0/1)。溶けた探索者は這って進むしかありません。
―――2―――ひとつ目の質問の部屋――
・部屋
少々幅が狭まったような部屋です。東の扉から入ってみると、東西に細長い部屋であることが分かります。だいぶ奥行きがあり、部屋の中央に何かあります。引き続きあたりは静まり返っています。
この部屋に入ると、まだ発動していなければガス装置が作動します。
※ガスはKPが催促をする手段として使ってください。ガスを吸った際の性質は、1――気がつくといた部屋 に書いてある通り。
とりあえず〈目星〉あるいは進めばわかること→
部屋の中央に台座のようなもの、南北の壁(進む方向に向かって側面)には張り紙が。
近づくと→
台座には上面に張り紙がされています。文字の色はとても鮮やかな赤で、くっきりとこう書かれています。
『質問!! 人を殺さなければいけない。人を殺したい。どう殺したいですか。ひとつ選んでパネルを奥へ押し込め』
※張り紙を剥がした天面には、内側にガラスケースが埋め込まれ、中には顎のない人間の頭部があります(生々しいそれを見た探索者はSANチェック0/1)。
南の壁→
張り紙が四枚。それぞれに『これは回答ボタンです。張り紙は次から取り外した状態であります。まずはこれをはがしてください』と書かれています。
張り紙をはがすと、壁に四つのモニターが取り付けられています。
『①体の溶けるガスで溶かして殺す。溶けた体を目にするときには、もはや喋れる口が融解している。激痛はそれからやってくる』
『②銃で撃たれると熱いらしいので、銃殺する』
『③食べられて死ぬ。人はおいしくないが、食べられる施術も開発したので全部食べられると思う』
『④無回答にして殺さない』
それぞれこう書かれていて、モニターを押し込むとガチッとはまって戻らなくなります。一つ選択すると、他のモニターは押し込めません。
モニターは低い位置にあり、四肢が溶けていたとしても、姿勢を工夫すれば頭で押すことが可能。
北の壁→
張り紙が一枚。
『死にたくないか? それは彼も同じだが、質問には答えるように』
張り紙を読むと分かることですが、部分的に破けていて奥が見えます。なにやら光っているようです。
張り紙をはがす→
大きなモニターに、膝をついて四肢を固定された上裸の男が映っています。口は塞がれ、手足も縛られていますが、身をよじらせてこちらの方を凝視しています。まるで懇願するかのようです。モニターなので映像であることは分かりますが、作り物にしてはリアリティがありました。
西の壁→
入ってきた扉と同じ扉があります。しかしドアノブはついていません。
※この扉は金属製です。力づくでは開かず、破壊できるような強度ではありません
モニターを一つ選んで押し込んだ→
扉がひとりでに開きます。その先には今いる部屋と同じような部屋が。
回答が終わったので、ここで目星あるいは聞き耳の技能を振らせてよいでしょう。
〈目星〉あるいは大きな液晶パネルを見る→
大きな液晶パネルが一瞬点滅し、映像が切り替わったことに気づきます。
→①を選んだなら、両膝をついて腕をぶんぶん振り回している男の姿。腕からはかつて肉だった液体が飛び散り、腹が透けて内臓の形が浮き出ていて、溶けきった顎と空気の抜ける音で絶叫している様子が映ります。SANチェック0/1D3
→②を選んだなら、倒れた男の姿。詳細には確認できないですが、あの背中にある裂けたようなえぐれ傷は銃創でしょうか? びくびくと痙攣していて背筋が凍ります。SANチェック0/1D3
→③を選んだなら、男の上半身がない状態で死体が映ります。幸運なことに断面は細かく見えません。SANチェック0/1
→④を選んだなら、『ちなみに①を選ぶとこう死んだ』という文字と、両膝をついて腕をぶんぶん振り回している男の姿。腕からはかつて肉だった液体が飛び散り、腹が透けて内臓の形が浮き出ていて、溶けきった顎と空気の抜ける音で絶叫している様子が映ります。SANチェック0/1D3
以上のような光景が映し出されるでしょう。
〈聞き耳〉→
①を選んだなら、空気が抜けるような音が。
②を選んだなら、小さな銃声(映像の音声)が。
③を選んだなら、聞いたことのないような音で何かがつぶれる音が。
④を選んだなら、ザーッという音が。
それぞれモニターから聞こえます。
※KPはグロ描写を裁量で抑えても構いません。そうした方がよさそう。
―――3―――続くテスト―――――――
・部屋
2――ひとつ目の質問の部屋 と全く同じ構造の部屋です。
東西に細長い部屋、中央には台座が一つ。南の壁にはモニターが四つ、北の壁にはまた大きな張り紙が一枚。
台座→
台座には黒いはっきりとした文字で
『この張り紙の下にいるヤツを、君たちで食べるとする。誰に食わせるか?』
と書かれています。
台座の貼り紙を剥がす→
張り紙を剥がした天面には、内側にガラスケースが埋め込まれ、刃物でめった切りにされて死んだ動物(ネズミか何かの哺乳類)が入っています。SANチェック0/1D2
詳しく調べる→
ガラスケースは上の面が開閉するようです。動物は触れます。
触る→
何だか骨がすべて軟骨のようで、まるで袋のようにふにゃふにゃしています。
北の壁→
大きな張り紙に文字が書かれています。内容は2――ひとつ目の質問の部屋 で回答した数字によって変わります。
①を選んだなら『例のガスは、(解読不能)と名付けた。吸い続けると六時間ていどで跡形もなく溶ける』
②を選んだなら『銃を撃たれれば熱いが、撃たれた男は死んだ』
③を選んだなら『人は不純物が多くて、全部は食べられなかった』
④を選んだなら『人を殺さずに済んでよかったな』
それぞれこう書かれています。張り紙の裏の壁には何も映っていないモニターが埋め込まれています。
南の壁→
四枚のモニター。それぞれ内容が、
『①皆で分け合って食べる。なかよく』
『②勝負をして、食べる者を決める』
『③最も優秀な人にまるごと食わせる』
『④無回答にして食べることはしない』
になっている。
モニターを押し込むとガチッとはまって戻らなくなるし、一つ選択すると、他のモニターは押し込めなくなる。
西の壁→
モニターを押し込むと勝手に開く扉がある。
→ここで目星→
南の壁にあった選択肢のモニターの内容が変わっている。
全てのモニターに『次の質問のあと、第二テストわ行います。』と書かれている。
―――4―――できたらいいな―――――
・部屋
先程と同じ部屋です。
東西に細長い部屋、中央には台座が一つ。南の壁にはモニターが四つ、北の壁にはまた大きな張り紙が一枚。
台座→
天面には張り紙が。『手術するならどれがいい?』という内容。
張り紙を剥がす→
台座の天面にガラスケースがあります。中には謎の機械と、薄い板状の電子チップが入っています。ガラスケースは開きません。
北の壁→
大きな張り紙には『これが最ゴのテストです。次は詳しくお聞きしていきます』と書かれています。
張り紙を剥がす→
壁にモニターが埋め込まれています。
そこには、非常に大きな膜もしくは背びれのような形をした物体が映っています。翼としては軽そうに見えない素材でできています。何のためにあるものなのかパッと理解できるような見た目ではありませんでした。
南の壁→
四枚のモニター。それぞれ内容が、
『①完璧な子孫を残せる生殖器を植え付ける』
『②空を飛ぶ翼を植え付ける』
『③なんでも食べ消化できる口を植え付ける』
『④無回答にして、植え付けることはしない』
になっています。
モニターを押し込むとガチッとはまって戻らなくなるし、一つ選択すると、他のモニターは押し込めなくなります。
西の壁→
今まであったような扉がない。
代わりに大きなモニターが埋め込まれている。モニターは、探索者たちが近付くと、『再び問います。みなさん個人ならどの選択をするか、一つづつ選んで答えてください』という文字が浮かび上がる。
そして四角柱の台座が探索者の数だけ、壁の手前に横並びに設置されている。台座は天面にタッチパネルがあり、探索者それぞれを名指しにして、三つの質問について選択肢①〜④から一つづつ選ぶよう促す内容が書かれている。
南の壁でモニターを押し込み、西の壁でそれぞれ個人の選択を入力する→
入力した台座のすぐ右、北の壁に扉(偽装されている)が出現し、勝手に開く。
※台座のタッチパネルでは、先程まで探索者全員で出してきた答えを、探索者個人で回答してもらいます。この答えは全員で出した答えと違っていても構いませんから、あくまで探索者に選択させてください。
―――5―――部屋割りの部屋―――――
・部屋
小さな部屋です。入ってきた扉は南西にありますが、それと対になるよう北西にも扉があり、こちらにはドアノブがあります。
部屋の中央に台座があり、東の壁にはモニターが埋め込まれています。
台座→
張り紙がされており、建物の見取り図のようなものが印刷されています。
今いる部屋から行けるのは、通路を出て先にある①〜④の部屋です。それ以上先へは電撃バリケードが設置されていて通れません。電撃に触れれば怪我を負うでしょう。
※触れた際のダメージは1d10(ミ=ゴの電気銃と同等)程度でいいでしょう。なおダメージを受けても通れそうにありません。
東の壁のモニター→
そこには探索者ごとに指示が映っています。
先程の部屋のタッチパネルで①・③・③の選択肢を選んだ探索者は、①の部屋へ。
同じくタッチパネルで④・④・④の選択肢を選んだ探索者は、②の部屋へ。
その他の探索者は、④の部屋へ。
※この指示については、一人ずつ行き先を指定するようなふうにするといいと思います。なぜその振り分けがなされたのか考察が進むかと。
※この指示に従わない決定をした探索者は、エンド③:十万回目の質問でシナリオエンドです。
北西の扉→
見取り図によると、通路へ出られる扉です。扉の先では風の音がしており、確かに通路があるようです。
ドアノブをひねって進むことができます。
―――6―――シナリオ分岐:同調―――
まずは①の部屋のシーンを扱います。探索者が全員部屋へ入り、①の部屋にも探索者がいる場合、このシーンへ転換してください。
・①の部屋
薄暗く静まり返った部屋です。壁も床も無機質な色で、形のいびつな椅子がいくつか置いてあります。
部屋全体に目星→
天井に丸い穴が開いています。
上の目星に成功、あるいは時間経過で→
①の部屋へ入る指示のあった探索者が入ると、扉がひとりでに閉まり、鍵がロックされるような音が聞こえます。その直後、天井から鮮やかな青色のガスが噴出しました。その部屋にいた探索者はバタバタと意識を失っていきます……。
①の部屋の探索者はエンド①:同調でシナリオエンドです。
―――7―――シナリオ分岐:不明―――
次に②の部屋のシーンを扱います。②の部屋に探索者がいればこのシーンへ転換してください。
・②の部屋
薄暗く静まり返った部屋です。壁も床も無機質な色ですが、東の壁がガラス張りになっています。
※この部屋のガラスは特別製で、防弾性能があり破壊できません。またガラス越しにも、部屋に設置されたマイクとスピーカーで会話が可能です。
そして椅子がガラスの壁に向かって並べられています。
②の部屋に入るよう指示された探索者が全員入ったとき→
扉が自動的に閉まり、間もなく天井から鮮やかな青色のガスが噴出しました。ガスを吸い込んだ探索者は気絶してしまいます。
探索者が次に目を覚ました時、そこは気絶した場所と同じ部屋でした。
そしてガラス板の先には、大きさが1.5mほど、赤っぽく甲殻類のような胴体と膜のような大型の翼、細い触手が数えきれないほど生えた楕円形の頭部を持つバケモノが立っていました。(ミ=ゴがそこにいる。SANチェック0/1D6)
探索者は椅子に座っており、ミ=ゴと向かい合っています。
探索者が目を覚ますとミ=ゴは質問してきます。その声は昆虫の羽音のような不快感のあるそれです。
ガラス越しでの会話となりますが、マイクとスピーカーがどこかにあるらしく、しっかりとあちらの声が聞こえます。
「おはようございます……これから質問をします。答えてください……一つ目の質問、あの人間を消す選択肢を選びませんでした、が……なんのためにそうしたんですか?」
「二つ目の質問……あの生き物を食べる選択肢を選びませんでしたが、それは……勿体ないとは思わなかったんです、か? 人間は何もせずとも……あれを食べられるはずですよね。少なくともあなたには、く口がある」
「三つ目の質問……手術をする選択肢を選びませんでしたが、人間もシュジュツをします……したくないというのは、いったい、どういうことですか……?」
ミ=ゴは興味本位に、あるいは理解できないことを知ろうと質問してきます。この質問に対し答えるかどうかで、探索者の運命は決まるでしょう。
※KPは探索者に対し、それぞれの質問に答えるかどうか決めるよう促してください。
なおミ=ゴは探索者からの質問に答えません。このミ=ゴが求めるのは会話ではなく、質問への答えだけです。それ以外の交渉等は一切を無視するか、「答えてくれないなら、次にいきますが……よろしいでしょうか」とそれだけ言ってきます。
・質問に答えるか、答えないか。②の部屋にいる探索者全員が決めた場合
ミ=ゴは返答に対し「ご協力に感謝します……では、次のテストにいきましょう」と言います。直後にまた鮮やかな青色のガスが噴き出し、探索者は気絶します。
気絶した探索者のうち、質問に全て答えた者の末路→
エンド②:追調査でシナリオエンドです。
同探索者のうち、質問に少なくとも一つ答えない選択をした者の末路→
8――シナリオ分岐:結託へ続きます。
―――8―――シナリオ分岐:結託―――
最後に④の部屋のシーンを扱います。ほかのシナリオ分岐に向かう探索者がいれば、この分岐は最後の分岐になります。
・④の部屋
薄暗く静まり返った部屋です。壁も床も無機質な色ですが、東の壁がガラス張りになっています。
そして椅子がガラスの壁に向かって並べられています。
部屋に全員が入ったあと、扉が自動でロックされます。しかししばらくは何も起きません。
目星→
部屋の壁にミゾを発見します。どうやら取っ手のようです。
→ミゾに手をかけて動かす→
壁の一部が開き、奥にあった物入れを発見します。そこには探索者たち全員が没収された持ち物が揃っていました。
聞き耳→
かすかな音ですが、虫の羽音のような音が聞こえる気がします。
探索者の心の準備ができたくらいで、ガラスの向こうに人が現れます。
彼はやせた長身の男で、うす汚れた白衣とシャツ、ズボンを着用した学者ふうの容姿をしています。
もし7――シナリオ分岐:不明において、ミ=ゴの質問に一つでも答えなかった探索者がいる場合、男はそれなりに大きい円筒を持ってガラスの向こうに現れます。円筒の数は、答えなかった探索者の数と同じです。そして「皆さんのお仲間は、このようにミ=ゴ様に気に入られてしまいました。無回答なんてものを選ぶから、下手に興味を持たせてしまったんです。まったく厄介なことをしてくれた」と言います。男は円筒についたスイッチを押すと、円筒が照らされて中に漬けられていた人間の脳が露わになります(人の脳だ。SANチェック0/1D3)。男の発言から、この円筒に仲間の探索者の脳が詰められてしまったことが分かります。しかしスイッチを入れた後から、その探索者と会話することが可能です。会話に関する機械が缶にはついているようです。
学者は探索者に自己紹介をし、ミ=ゴと男自身との目的について語ります。
「私はミ=ゴ様に仕えています。ミ=ゴ様というのは、知的生命体として完全無欠な要素を持つ方々の名前です」
「ミ=ゴ様の目的は、皆さんのような人間の自由意志について知ることです。あなた方の行動は規則性がなく、ミ=ゴ様をしても予測ができない。ミ=ゴ様はその行動原理について興味を持っておられます」
「私の目的は、今の完全無欠のままのミ=ゴ様に仕え続けるようにすることです。ミ=ゴ様はとても合理的で、効率的に活動をし、こうして発展し続ける……それには、人間の自由意志など必要ないと私は思うのです。あなた方が変なことを言って、ミ=ゴ様が人間のように変わってしまってはおかしい。今のミ=ゴ様が完全な状態なのですから、"跡を残す仕方で殺人をする"とか、"食料は生存確率の高い使い道を考えない"とか、"ミ=ゴ様にとって必要な手術を理解しない"とか、そういう選択をしてミ=ゴ様を変えてしまうリスクを取る必要はなかった。ああ、なんとかしなければ」
だいたいこのような内容です。
男としては、探索者たちの選択がミ=ゴ達を変えることは避けたい。
なので探索者たちには当たり障りのないことだけ述べてもらい、詳細は男自身が説明して事を収めたい。そういうような思惑があります。
探索者たちにとっても、無事にここから帰してもらい、その後はうまく男にまとめてもらいたいという思いは共通しているかもしれません。
男の言うことを信じて従うか、男を説き伏せることができれば進展はあるでしょう。ただし男は正気度が0になっているので、注意が必要です。
男からありうる提案としてはこういった内容でしょうか。
「皆さんは元通りに返します。その後は私が、ミ=ゴ様を刺激しないようやんわりと説明します。皆さんにできることは、ミ=ゴ様の関心を刺激する返答をしないこと、それだけです」
男と結託しない→
探索者全員でそう決めた場合、その場の探索者は全員、エンド③:十万回目の質問を迎えます。
男と結託することを決める→
探索者は男と結託し、無事に元通りの生活へ、何も刺激しないよう穏便に返す計画を相談します。
しかしそこで、部屋へ侵入する者が現れます。探索者へ気になった点の質問をしにきたミ=ゴが、話の途中で入ってきてしまったのです。(なんだこの化物は。SANチェック0/1D6)
(ミ=ゴの特徴再掲:大きさが1.5mほど、赤っぽく甲殻類のような胴体と膜のような大型の翼、細い触手が数えきれないほど生えた楕円形の頭部を持つバケモノ。声は昆虫の羽音のような不快感のあるそれ)
男はミ=ゴに仕えていますが、話を聞かれた時点で放っておけば計画が破綻すると判断します。まさかミ=ゴに仕える彼がミ=ゴを裏切るなど、そんな興味を引きすぎてしまう事実があってはまずいとも彼は予想しました。
そこで男はミ=ゴを殺し証拠を隠滅することを決めます。
部屋には部屋のガラス板を収納する機械があり、男はそれを操作します。
「そっちの壁に君たちの持ち物が収納されている! このミ=ゴ様を君達が黙らせてくれ、計画を知っている私も死んではまずい、協力してくれ!」
男はそんなことを叫びます。探索者が戦う場合は戦闘になります。
ここで探索者が戦わない場合、探索者はエンド③:十万回目の質問を迎えます。(男と結託しない結果と同じです)
※男に戦闘能力は一切ありません。心身ともにとても衰弱していることと、ミ=ゴを信奉しているのでミ=ゴに危害を加えることはしません。ついでにミ=ゴに操られたとしても、まともな戦闘すら不可能です。
――Data―――質問しにきたミ=ゴ―――
STR:11 | CON:12 | SIZ:10 | INT:12
POW:8 | DEX:12 | 耐久力:11 | db:+0
ハサミ(30%、ダメージ1D6および〈組み付き〉)で攻撃してくる。
ミ=ゴの体は地球上のものではないので、すべての貫通する武器は可能な最小限のダメージしか与えない。
バイオ装甲・電気銃などは持っておらず、男を含め探索者のうちランダムに襲い掛かる。
―――――――――――――――――――
男が死亡するか、ミ=ゴを倒せず探索者が全滅した場合→
エンド③:十万回目の質問を迎えます。
ミ=ゴを倒し、男が生存している→
エンド④:ミ=ゴは自我を知らずを迎えます。
―――9―――シナリオエンド―――――
・エンド①:同調
三つの質問にちゃんと答えた探索者は、どういうわけか、無事もとの日常へ戻ることができました。
しかし持ち物が最低限のものを除いて無くなっています。記憶もはっきりせず、自分が少し前に何をしていたか思い出せません。
不思議なこともあるものですね。
生還報酬:正気度回復1D6
なお、①・③・③はミ=ゴにとって正解になる答えです。まったく同じ回答をした探索者は、ミ=ゴと人間との違いを十分に持っていない恐れがあるとして、なんにも貰えずに帰されます。
もちろん違いはあるはずですが、ミ=ゴに仕える男は、一人でも多くの人間をさっさと帰したいので、この選択をすると一直線に帰される仕組みができています。いわゆるノーマルエンドです。
・エンド②:追調査
三つとも無回答で、ミ=ゴに面と向かって質問に全て答えた探索者は、多少の調査を行う価値があると認められました。
脳だけを摘出して、より詳細な対話実験が行われます。しかしどうやらミ=ゴの前提とはかけ離れた常識があると気づかれたようです。これ以上の調査価値はないとして、探索者の脳はミ=ゴ達の施設のどこかで簡単に処理されたのでした。
キャラクターロストです。
報酬なし
(男が生きていた場合)ミ=ゴに仕える男にとって、探索者に調査価値がないと判断されたことは喜ばしいことでした。そもそも人間とミ=ゴとには無数の前提の違いがあるので、ペラペラと喋ってミ=ゴとの大きすぎる違いを話してくれる探索者は、利用価値なしとしてスクラップ行きにするのに向いた存在だと言えます。少なくとも彼にとって、合理的なミ=ゴを言いくるめることは難しくありませんでした。
④・④・④の無回答では、ミ=ゴ目線での前提である、ミ=ゴを知った人間は口封じをしなくてはならない、分子振動機の影響を受けたミ=ゴにとって動物は貴重な食糧の一つである、人体改造に心理的な障壁がない、などの要素を無視した回答になってしまいます。ミ=ゴにとってそれは通常の人間と同じで、今まで理解できなかった人間と同じということです。合理的なミ=ゴはもう、ふつうの人間は研究しても仕方がないと方針を固めています。バッドエンドというところでしょうか。
・エンド③:十万回目の質問
男と結託しなければ、遅かれ早かれ探索者は未来を絶たれます。
指示された時点で部屋に入らなければその理由をミ=ゴが追調査。男と結託しなければ男が探索者を葬って終わり(④の部屋にはガス装置もあるので、非力な男でも可能)。
男が死んでしまっても、その場でミ=ゴを葬っても、ミ=ゴが死体にいずれ気付きます。探索者は施設から脱出すること叶わず、ミ=ゴの追跡から永久に逃げ続けるしかありません。
ここで調査を受ける探索者は見込みのある回答をしています。なのできっと永遠に質問をされ続け、不自由の中で自由意志について何万回と回答するのでしょうね。
キャラクターロストです。
報酬なし
バッドエンド2といったところでしょうか。このエンドはミ=ゴに仕える男によるエンドというより、ミ=ゴ自身によるものという色が強くなっています。
元々ミ=ゴにとって自由意志の研究は惰性ですから、たいして期待なんてされていません。そんな中で奇怪な行動を取る人間がいれば、ミ=ゴの興味に触れて絞りつくされるのは……ありえなくないのかも。
・エンド④:ミ=ゴは自我を知らず
記憶にもやがかかると言えばよいでしょうか。肝心な部分が曖昧な記憶を残し、あなたは日常へ帰還します。
ミ=ゴという生き物について、あなたは少しだけ知っているかもしれません。しかし他人にそれを話すなんてとんでもない! 自由意志に従って、そんなことはできません。
所持品に変化はありませんし、元からあった負傷でも一切全て治癒されています。しかしあなたの思考は、正常なものに戻ったのでしょうか。それを知る者はもういないかもしれませんね。
生還報酬:正気度回復1D6+(脳缶に入れられなかった場合)さらに1D6
脳缶(男が持ってきた円筒)に入った場合、治療が必要です。その手術には副作用もありますから、決して無事とはいかなかったでしょう。
それ以前にミ=ゴについての情報を漏らされてはたまりませんから、記憶処理は最低限のものがされているはずです。
しかしミ=ゴに仕える男はどうでしょう。仕えていたミ=ゴを殺すなんて、そんなことがあって……無事であることを期待するのは、難しいかもしれません。ミ=ゴは合理的に考えることもしばしばありますから、もしかしたら生きているかもしれませんが。
結局こんな調子では、ミ=ゴは自我を理解できないのかもしれません。ミ=ゴにとって興味が満たせればよいので、人間が予想外の行動を取ってくれるこの実験は、これはこれで変わらないものなのでしょう。結局なにも変化なぞしないということです。
一応、トゥルーエンドです。
シンキングビースト - クトゥルフTRPGシナリオ しゃべるそら @Ludier_kak
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