最終話 大森林時代なのです。
「桜花ちゃん! 桜花ちゃん! この本読んで!!」
「これ! ユーラ! 曾祖母様に〝ちゃん〟はダメでしょ!!」
「えぇ〜だって………桜花ちゃんがいいって……」
良い良い。 良いのじゃ。
〝桜花曾祖母様〟と呼ばれるくらいなら、〝桜花ちゃん〟の方が良いのじゃ。
それにしても、小さいユーラはこの本が好きじゃのう……。
渡された本には〝英雄ユーラと【世界樹の森】〟と書かれている。
妾はそっとその文字を指でなぞる。
「うん。だって英雄の名前が、僕と一緒なんだもん!!」
そうじゃのう……お主の名前はこの大陸の英雄……曽祖父……ユーラから取ったのじゃからな。
「桜花ちゃん。早く本を読んで!!」
妾の膝に座る小さいユーラ。
思わず頭を撫でてしまう。
視線をそっと、小さいユーラが持ってきた本には向ける………もう何回も読んだ本………出だしはいつも同じだ。
じゃぁ、読み始めるのじゃ………。
一面の砂、一面の草原、一面の岩肌……かつて大陸には、色々な大地があった。
全てが昔の話。
今は大陸全土が森林に覆われ………【世界樹の森】と呼ばれている。
森林にある木の半分はトレントだと言われ、森を害するものを排除されると言われている。
人々は森に手を出すことなく暮らしている。
人々は今の時代を【大森林時代】もしくは【精霊の時代】と呼ぶ。
また、沢山の国が大陸に存在していたが……それらも今はない。
ただ一国………【世界樹の森】だけが存在している。
人種、亜人種……全ての生き物が等しく、【世界樹の森】の中で……森から恵みを貰い暮らしている。
人種の中には文明の衰退と言う者もいたが、今となってはそんな者もいなくなった。
大陸の統一……それを成し遂げた者……その名は ユーラ・チェリーブロッサム……女神が認める英雄だった。
妾が愛でた最初で最後の人の子。
あやつは既に他界し、子孫だけが……〝神話級モンスター ガルボちゃん〟の甲羅に建つ王宮に住んでいる。
「桜花ちゃん………寂しい?」
小さいユーラが顔をのぞいてくる。
うん? 寂しくはないのじゃ。
お主達がいるからのう………。
お主達は大切なユーラの子孫………見守っているだけで、寂しさなど全くない。
妾は再び………小さいユーラの頭を撫でると、小さいユーラがにこりと笑う。
その笑顔に、ユーラの面影を見つける……。
楽しかった日々を思い出し、クスリと笑ってしまう。
あれから……随分と長い時間が経った……。
それでも、ユーラとの楽しかった日々は忘れない……。
「桜花ちゃん………続き早く!」
はいはい。わかったのじゃ。
妾は小さいユーラが寝てしまうまで、その本を読み聞かせるのだった……。
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いつも読んでくださりありがとうございます。
物語はこれで完結とさせてもらいます。
★、♡をこんなに貰えるとは思いませんでした。
皆様からもらったメッセージ、とても励みになりました。
本当にありがとうございました。
新作も書いています。そちらもよろしくお願いします。
今度はマンドラゴラさんを進撃させてみたいと思っています。
『突撃! 隣のマンドラゴラ 〜さぁ、ご唱和ください! 1、2、3、ぬぼぉぉぉぉぉ!!〜』
https://kakuyomu.jp/works/16817139555975401486
※色々なこと、気持ちは〝近況ノート〟に書かせていただいています。そちらを読んでいただけると嬉しいです。
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同瀬馬野抱枕
それ行け! 僕らのトレント団!!〜某国王子がもらったスキルは〝植林〟でした。まぁ、普通に追放だよね(笑)〜 同瀬馬野抱枕 @makues_17
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