死んで行くことが出来たのは3000年後の未来でした。
海の音
第1話 現代から未来へ
「静かにしろー学校からのお知らせがある。
最近この学校付近で不審者が目撃されたらしい。」
学校で半年に一回ぐらいある不審者情報。
だいたい皆と一緒に帰れーだとか、先生が下校道に立ってるぞーとかそんなの。
だいたい心配しなくても大丈夫なのがほとんどだ。
そう思っていると、友達が言った。
「特徴とかってありますか!」
まあ聞いといて損は無い。
「どうせ下半身丸出しとかっしょ!」
とお調子者の女子が言った。
しかし、先生はちょっと真面目な顔で
「いや、今回はそういうのではなくてだな、刃物を持っていたらしい。
上下ピンク色のパーカーとズボンだそうだ。」
「え、刃物持ってんのぉ怖ー!」
「そうだ、だから今日は複数人で帰ること!
そしてピンク色のやつを見つけたら真っ先に逃げて警察に連絡しろよ。
学校への連絡は安全が取れたらでいい。」
はーい
そうみんなが返事をした。
「よーしじゃあ今日はこれで終わりだ、気おつけて帰れよ!」
そしてみんながぞろぞろと出ていった。
複数人で帰れと言われてもなあ、今日僕委員会の仕事あるんだけど...
まあ、いっか!
1時間後...
「よし!終わったし帰るか」
外は少し日が傾いていた。
そして、学校を出て大通から外れた家への近道を歩いていると...
「ん?...」
前からピンク色のパーカーを着た男が歩いてきた。
まさか、な...
そう思っていると、その男が持っていたバッグからちょっとだけキラリと反射したものが見える。
刃物だった。
やばい、これはやばい。
逃げないと、やばいやばいやばい!
しかし、目の前の男はもう3m先まで来ていた。
そして次の瞬間、男はバッグからナイフを取りだし、僕のお腹に刺した。
お腹が...熱...い。
ああ...死ぬ...のか。
先...生の言いつけを...守っとけばよかった...
そして、僕の目の前が真っ暗になった。
すると次の瞬間、僕は真っ白な場所にたっていた。
すると前に横になった男が居た。
「ん?お前誰だよ。」
「いや、こっちが聞きたいです...」
「あーもしかして死んだの?
予定ではまだまだ先だったはずなんだけどな。」
見た目は無精髭を生やして、ろくに洗ってなさそうなねずみ色のスウェットを着ていた。
「それで...結局誰なんですかあなたは。」
「一応神様かな。」
何だよ一応って!
「いやあな?
俺も予定の時には綺麗な格好をして髭もそって迎えようと思ってたんだけどさあ、何せ
お前予定より60年も早く来ちまってるんだぞ?
まさか来ると思ってなかったよ...」
「てことは僕もっと生きる筈だったんですか?」
「ああ、その筈だったんさけどな。
まあ、運命はいくつもの選択の上で成り立ってるから。
その選択まで俺ら神様が選ぶことは出来ねえんだ。
そして、たまにこうやって間違えた選択をした結果、早く死んじまうやつがいるってことだ。」
「そう...ですか。」
「まあ、そう気を病むなよ。
お前を生き返らせてやることは一応できるぜ。」
「本当ですか?!」
「ああ、ただしお前の受けた傷だと...
生き返らせることが出来るのはお前の世界で3000年掛かる。」
「3000年...?!
現代には戻れないんですね...」
「ああ、すまねえな。
ただ、その時代に適した格好と能力は持たしておく。」
「能力ってなんですか?」
「あーなんか人間が手に入れた能力みたいだな。
決して悪いもんじゃないが、どうやらこれで戦争があったらしい。」
「戦争...能力...
ちょっとワクワクしてきました。」
「お、そいつは良かった。
だがな、正直赤子の状態から生き残っていくことは難しそうなんだ。」
「そうですよね...何せ戦争後の世界ですもんね。」
「ああ、だからお前は15歳の状態で現世に降り立ってもらう。
それでもいいか?」
「分かりました。
次こそは選択を間違わないように頑張ってみます!」
「よーし、その心意気だ。
それじゃ、頑張れよ。」
「はい!」
一体、未来の世界はどうなっているのだろうか...
3000年。
全く想像もつかない未来だ。
こうして僕はまた深い眠りについた...
「あいつ、本当にやっていけんのかねえ...
そんな説明もしないで未来に送っちまったけど...
ま、きっとあいつはしぶとく生きてくれんだろ!
俺も寝よ。」
死んで行くことが出来たのは3000年後の未来でした。 海の音 @umi_ne
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