小鳥と子猫のラブソング

ぱんちょ

第1話

これから話す話は去年の話だ。


かなり話を推測している所もあるが理解してほしい。




ある時、我が家にはとある一匹のネコがいた。


名前をはなこという。メスだ。


その子の母親は、はなこを生み2週間ぐらいしてどこかへ行ってしまった。


だから私が育てたのだ。




生まれて2ヶ月ぐらい経った。


はなこはすくすく成長していった。




そしてそんなとある日の話である。


一羽の小鳥が我が家の玄関に落ちていた。


その小鳥は白と黒の体に赤のラインが入った色をしていた。


どうやら怪我をしているようだ。




私はどうしようか迷った。


家の中にはネコがいる。


小鳥なんて飼ったことがない。


ましてや怪我をしている。




とりあえず段ボール箱の中に入れ、家の中に置いた。


ふたの部分は開けたままだ。


その方が小鳥にとって安心すると思ったからだ。




最初は家のネコが小鳥を食べてしまわないか心配だった。


何となく同じ部屋に入れてあった。


不思議な事に最初から子猫と小鳥は同じ段ボール箱の中で一緒に寝るほど仲が良かった。




昔からネコをかわるがわる飼ってたが、小鳥は初めてでわからない事だらけだった。


なので本を買って小鳥の飼い方を勉強した。




ペット病院にも連れて行った。


その結果、羽の骨が折れてるとの事だった。


その医者が言うには、数ヶ月で治るだろうとの事だった。




保護して数週間でその小鳥はどんどん元気になっていった。


多分、羽を骨折して食べるのもままならなかったのだろう。


玄関に落ちていた時を思い浮かべる。


最初、死んだようにぐったりしていた。


私は釣具屋でミミズを買ってきて口元に運んで食べさせた。


自分では与えたエサを食べる事も出来ないぐらい、弱っていた。


私が口元にエサを運ぶと何とか食べたのでほっとした。




その小鳥は歌うのが好きだった。


拾って2週間ぐらいして初めて鳴いた。


綺麗な澄んだ声だった。


それから1週間ぐらい経つとしょっちゅう鳴くようになった。


面白い事に小鳥が歌うとはなこが鳴く。


まるで2匹がしゃべっている様だった。




とある時は、


小 鳥:ピーチク(いい天気ですなー。)


はなこ:にゃー(そうですなー。)


小 鳥:ピーチク(一緒に空へ散歩しに行きませんか?)


はなこ:にゃー(無理だニャー。)


と。




とある時は、


小 鳥:ピーチク(あ、ちょうちょだ。)


はなこ:にゃー(なにそれ。おいしいの?)


小 鳥:ピーチク(美味しいよ。一度食べてみるといいよ。)


はなこ:にゃー(わかったニャー。)


と、会話しているみたいだった。




小鳥を拾ってから一ヶ月ぐらい経った。


小鳥は飛べはしないけど歩きまくるようになった。




改ページそういえば言い忘れていた事がある。


その小鳥に私は名前を付けた事を。


付けた名前はソラ。


今後はその小鳥をソラという事にする。




ソラはいたずら好きだった。


寝ているはなこにこっそり寄ってって、突っついてびっくりさせる。


いろんなものを突っつく。


歩いている私の足元をうろちょろする。


危なっかしくて仕方がない。




私は鳥かごを買ってきた。


そしてソラを鳥かごの中に入れることにした。


鳥かごの中に入れたソラは、以前よりも鳴くようになった。


はなこは心配そうに見ているのだった。




ソラを鳥かごの中に入れた直後、はなこは物を食べなくなった。


私が思うに、はなこはソラに恋をしているんだと思った。


ソラははなこにしゃべりかけ、はなこはなんとか元のように食欲が戻ったのだった。




とある時、はなこからしゃべり始めた。


はなこ:かごの中に入って2週間になるねー。


ソ ラ:うん。


はなこ:もうかくれんぼして遊ぶ事も出来ないねー。


ソ ラ:うん。


はなこ:退屈な時はずっと一緒に歌ってようよ。


ソ ラ:うん。


と、私の推測である。


それからというもの、2匹で歌う時間が増えたようだった。




ソラを拾ってから3ヶ月が経った。


ソラはかごの中で翼をバタバタさせ、回復ぶりを見せていた。


私はもうそろそろ頃合かと思った。


ソラを野に放す事だ。


少し迷いがあった。


それは、自らエサを捕る事が出来るかという事だった。


しかしそんな事を言ってても野生に帰る事は出来ない。


私は玄関の外の庭にソラを解き放った。


飛び立っては…いかなかった。


はなこと一緒に自由の喜びを分かち合っている様だった。


2匹はしばらく歌っていた。




…そして大空に飛んで行った。


はなこにとって永遠の別れになるのかな?




しかし、数時間して戻ってきた。


はなことじゃれて遊んでいる。


私は仕方がなしにエサをやり、庭で飼う事にした。




と、とある会話。


はなこ:空を飛ぶってどうだい?


ソ ラ:すごく気持ちいい。


はなこ:どんなところが?


ソ ラ:風を切って進むとこかな。


はなこ:私も飛びたい。


ソ ラ:僕が大きくなったら背中に乗せて連れてってあげるよ。


はなこ:本当?楽しみだー。


と。






秋になった。


風が少しづつ冷たくなる。


ソラは庭にいる時間が少なくなっていった。


はなこはその分、寝ている時間が長くなった。


そんな頃、ソラは言った。


ソ ラ:僕はもうそろそろ行かなければならない。


はなこ:え?どこに?


ソ ラ:もっと暖かい南の方へ。


はなこ:嫌だよー。一緒にいようよー。


ソ ラ:だめなんだ。もっと寒くなったら僕は生きていけなくなる。


はなこ:なら私も行く!


ソ ラ:時が経つのは早い。歩いていくのは時間がかかりすぎるよ。


はなこ:主様に家の中で飼ってもらおうよ。


…私はネコの言葉も鳥の言葉もわからない…


はなこ:どうしても行くの?


ソ ラ:うん。


はなこ:そうか。寂しくなるね。




それから数日後、ソラは姿を消した。


冬の初めの出来事だった。




それからというもの、はなこはますます寝ている時間が長くなった。


外は雪で白一色。


はなこは外に出たくないみたいだ。


私もあまり外に出たくない。


全ては白に包まれた。




そして春。


土のかおりがする季節。


はなこはソラの事なんか忘れたのかな?


いや、以外にもそうでなさそうだ。


ソラがいつも庭に来ていた方向の空を眺めてはボーっとしていた。




新緑の緑が息吹きだした頃、一羽の鳥が庭先にいた。


ソラではない。色が違う。


はなこは一生懸命にしゃべる。


でもその鳥は少ししたら飛んで行った。


しばらくはそんな事が続いてった。




とある時、ソラと同じ模様の鳥が来た。


私はこの鳥がソラではない事が何となくわかった。


それは、はなこがしゃべっても会話がつながってないようだったからだ。


はなこは根気強くしゃべった。


その小鳥もなぜか逃げずに歌っていた。




しばらくして、2匹は庭先でじゃれあうようになった。


そんな楽しそうな光景を見て、私は昔を思い出した。


という訳で、長い日記を書いてしまったのだった。

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小鳥と子猫のラブソング ぱんちょ @pancyo999

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