第2話


「そ・れ・で?何処までいったのかなぁ〜」


「ご、ごめんなさい!つい我慢出来なくて!」



「はぁ〜。まあ私が成績落としたのが悪いんだから責めはしないけどさぁ〜、私が死ぬ気で頑張ってる時に、私の最推しキャラの出てるゲームを、ストレスフリーな悠々自適ゆうゆうじてき生活とかされちゃうとさぁ〜、なんて言うか私のモチベが削がれるんだよねぇ~」


「だ、だから〜、ごめんってぇ〜」



「まあ、しょうが無いか。あ〜〜〜!取り敢えずゲームの話は禁止!私が我慢出来なくなる!」


「だいたい話振ってきたのって、あずちゃんじゃないのさ!もう!」



「いや、だってめっちゃくちゃトワプリのBGM鼻歌で歌って、ニコニコとご機嫌してればめっちゃ気になるじゃんさ!」


「え?うそ!私、そんなんだった?」



「ええ、とっても」


「ひゃ〜!恥ずかしいっ!」



 慌てて顔を両手で覆う。



「はいはい、良いからご飯食べよ。真陽まおのだし巻き玉子、頂き!」


「あ!ちょっと!あずちゃん!」



「ウマっ!何これ!マジで美味いんだけど!」


「ふふ〜ん!村瀬さん特製レシピだからねぇ〜」



「よし!ならば真陽まおが我慢できずにゲームプレイしたら、私にお弁当進呈な!」


「なによ、それ。私に利益が全くないじゃない」



「まあまあ、真陽まお君!良く聞きたまえよ!このパーフェクトプランを!まず、真陽まおが我慢できずにゲームをプレイする→私にお弁当が進呈される→私ハッピーで真陽まおの料理の腕べた褒めの上に、勉強まで頑張れる→嬉しい真陽まおは、もっと喜んで欲しくて料理の腕が更に上がる→更に美味しい料理を食べれて、私ハッピーで更に勉強頑張れる→私の成績上がる→真陽と一緒にゲームプレイが出来るようになる!ほら!いい事尽ことずくめなWINWINの関係!パーフェクト!」


「どこら辺にWINWINな関係が?」



「いや、料理の腕上がるよ?」


「あずちゃんにお弁当進呈しなくても腕は上がるよ」



「私の成績上がるよ?」


「それ、あずちゃんだけがWINじゃん!」



「一緒にゲームも出来るよ?」


「いや、それはまあ、そうだけど…」



「はい!決まり~!明日から私の分もお弁当よろしく!!」


「はぁ〜。本当にもう、あずちゃんはあずちゃんだよね」



「どゆこと?」


「わかった、いいよ別に。何食べたい?」



真陽まお!!愛してる!!!」


「ちょ!抱きつくなぁ〜!ちゅ〜するなぁ〜」



 こうして、私はあずちゃんの分と2人分のお弁当を作る事になったのだった。



 ◇

 ・

 ◇



村瀬むらせさん只今ただいまぁ〜」


「おかえりなさい真陽まおちゃん」



「また、お料理、教えて貰っても良いですか?」


「ええ、構わないわよ」



「着替えてきますね」


「ええ、先に台所居るわね」



「はい」



 私達の通う[金糸雀女学院カナリアじょがくいん]はお嬢様高な女学院で、一応の進学校なので毎日課題が出る。


 だけど私は、休み時間にパパッと終わらせてしまうので基本的には家でする事がないのだ。



 あずちゃんにゲームを進められる前は、たまにピアノを弾いたり、読書する以外は、これと言って趣味は無かった。


 子供の頃からあずちゃんに引っ張り回される事が多かったが、基本的に私は効率良く遊びたいので、無駄な動きはしたく無かった。



 因みに、あずちゃんは普段から身体カラダを使った遊びが好きで、VRMMORPGも別世界で自由に動き回れる感覚がハマった切っ掛けと言っていた。


 姉妹の様に、ほぼほぼ毎日の様に一緒に同じ家庭?で育ったのに、どうしてこうも趣味も性格も違ったのか?



 立花家のミステリーでもある。

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