第28話

装備は整った。

あとは戦い方だね。

私達は魔術士だもん。

肉弾戦ではやっぱり不利。

前衛役をやるとはいえ、戦士みたいにタンクは出来ないし、杖術だけで防ぎ切るのも難しい。だから、敵の攻撃を捌きながらも少しは魔法を使えるようにならなきゃダメって思うの。

それを踏まえて、私達はこれから地下1階で特訓する。

魔法の発動速度を速くして、敵の攻撃を捌きながら魔法を効果的に使う。

魔力をたくさん込める事は出来ないから、ふぁいあーぼーる(大)とかは無理だけど。

牽制の為の火花とかなら。

小さくして発動を速くした魔力球とか。

あとは魔力補助をスムーズに使う。

攻撃を受ける時には杖と腕に。

移動時には足に。

もっと速く、強く。

後衛をしてもらう魔術士達には1匹づつ確実に魔力球を当てて倒してもらう練習を。

後衛さんには、しっかり魔力量の調整を覚えてもらって、魔力球の威力アップをしてもらう。

それぞれの仕事がが出来るようになったら、1階の守護者へもう一度挑戦だ。


ゴブリンを相手にして攻撃を捌く。

意識は魔力と敵の攻撃に振り分けて、魔法を構築する時間を集中が途切れないように最低限の動きで躱す。そして避けれない攻撃は杖で逸らす。

ゴブリンの動きは単調だ。

真っ直ぐに突っ込んできて、木の棒を振り上げて打ちつけてくる。

前衛も何度もやって、慣れてきた。

あれ?

私、魔法使いだよね

まぁ、いっか!

避けて逸らして、隙があったら杖を突き込む。

あ、そうだ。

魔力を杖に込めて、攻撃してみよう。

これって、借りた力の杖だし。

お。

杖が光ってる!

んー?

なんだか、身体が軽い。

杖に込めた魔力が逆に身体の中に流れ込んできてる!?

少し速く、少し力強くなってる。

これが力の杖の効果、なんだね。

これなら、ホブゴブリンの足止め、もっと長い時間出来るかも。

私達は1ヶ月近く、毎日迷宮で実戦を積んだよ…

本来、こんなに熱い心は持ってないんだけどね。

まぁ、たまにはやらないとね。

これも玉の輿への道。

頑張らなきゃ。


避けながらの魔法も、始めた頃は途中で集中が切れて、うまく使えなかったけど、段々と使えるようになってきた。

力の杖で身体を強化して、防御に徹して足止め。

隙を見て、ゴブリンの目の前で火花。

怯んだところで一撃加える。

暫く続けてたら、タイマンなら近接でも倒せるようになってたよ。


個人レッスンはお互い、仕上がったって思ったみたい。

戦闘が終わった後に、ミヨがみんなの顔を見回して。


「そろそろ連携の練習を始めましょう」


ここからは連携の練習。


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迷宮都市の魔法使い たらも @taramo99

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