第4話呪詛師 3

無明は、犯人から、目を離さずに光と刹那に指示を出す。


「光、“黒雲”を出してくれ!」


「わかった!」

光は、折り畳んである紙を開き、術式が書いてある所に手をおき、呪力込める、すると出てきたのは、長さは8尺ぐらいで、太さが汁椀の高台ぐらいの黒い棒である。


「無明、受け取れ!」

光は、“黒雲”を投げる、弧を描きながら、無明の手に渡る。


「刹那は、女子高生を頼む」


「うん、こっちは任せて!」

刹那は、女子高生の手を取り、少し離れた場所まで、女子高生を連れて行く。


「お前と殺り合う前に、1つ聞きたいことがある」


「何だよ?」


「お前が真琴さんを、殺したのか!」


「誰だよ、そいつ?」


「今日お前が、路地裏で殺した女性だよ!」


「あぁ、あの女か!」

犯人は、ニヤリと笑いながら答えた。


それに光は「お前が真琴姉さんを!」

犯人を、強く睨んで言う。


「お前一人で、真琴さんをやったんじゃないよな?」


「はぁ、俺が一人で殺したんだよ!」


「いいや、違うね、お前一人で、真琴さんを殺したとは思えない、協力者がいた筈だ、誰だ?」


「うるせぇ、ガキだなぁ!」と言うと、犯人は無明に向かって、走り出し、右手で無明に触れようとして来た。


無明は、それを右に避けつつ、右足を軸にして、黒雲で横薙ぎにカウンターを当てに行く。


「馬鹿が、当たるかよ!」と犯人が“黒雲”を躱そうとして違和感を感じた、次の瞬間に顔面に黒雲が、クリーンヒットして、犯人が吹っ飛ぶ。


犯人は、頭から血が出ていたが、それでも立ち上がったが、何故避けたはずだと、思っていた攻撃が、当たったのか、理解出来ないでいた。


「てめぇ、何しやがった!」


「てめぇをぶっ叩いただけだ」


「そういうことじゃねぇ、何故避けたはずの攻撃が、当たったのかを聞いてんだよ!」と声を荒げる。


「いや、悪いけど企業秘密何で言えねぇわ、ただ、お前の協力者について、教えてくれるなら、教えてやってもいいぜ」


「ふざけやがって!」

犯人は、折り畳んである紙を開き、術式が書いてる所に手をおき、呪力を込める、巨大な鎖付きの鉄球を出した。


「てめぇは、確実に殺してやる!」

犯人は、そう言うと、鉄球を回し始めた。


「ブンブン」と鉄球の風を切る音が聞こえる、それを犯人は、こちらに投げてきた、「ゴォォォ」と音をたてながら、こちらに向かってきたので、俺はそれを左に避けた、鉄球は地面に着いた瞬間に爆発して、爆風で砂煙が舞って、犯人が見えなくなった。


「チッ、目くらましか」

俺は、周りを警戒する、煙から人が吹き飛んで来た、光である、俺は受け止めるのではなく、右に避けた。


犯人はそれを見て「何だと」


俺は出てきた、犯人の頭を“黒雲”の横薙ぎで、ぶっ飛ばした。




刹那の呪縛の術式の縄で、気絶している犯人を捕縛した。


「おい、無明!」と光が声を荒げて言う。


「どうした、光」


「どうしたじゃねぇよ、何で受け止めてくれなかったんだよ!」


「無理だ」


「何でだよ!」


「もし受け止めてたら、俺もお前も殺られたからな」


「どういうことだ?」


「春野先輩が言ってただろう、犯人が使う術式は、爆発系統かも知れないって、あそこで受け止めてたら、俺達は、犯人から触れられて、爆死した可能性が高い」


「マジかぁ」


「マジだ」


数分経ってから、小島さんが、応援を連れてきて、駆けつけてくれた。


「みなさん、無事ですか!」


「こっちは大丈夫です」


「犯人は」


「刹那の呪縛の術式を付与した縄で捕縛してます」


「それでは、犯人はこちらで、引き取ります」


「よろしくお願いします」


「そちらの女子高生は?」


「犯人に襲われていたので、保護しました」


「そうですか、無明君達も女子高生の子と一緒に来てくれますか」


「わかりました」


そして無明達も黒いクラウンに乗り、犯人を護送する。


それをビルの屋上から、道摩法師と正行は見ていた。


「道摩法師様、あいつ捕まっちゃいましたけど、どうしますか?」


「そうだね、どうしよっか」


「それにしても、あいつ簡単にやられすぎじゃないですか?」


「仕方ないよ、相手は、特級呪具の“黒雲”を使っていたからね」


「“黒雲”ってそんなにヤバいの?」


「“黒雲”は、特級呪具に該当する呪具だよ、能力は呪力を引き寄せるという能力でね、我々呪詛師や陰陽師や呪術師は、戦闘に入る時に、呪力を身体に流して、身体能力を上げるため、身体に呪力を帯びてる状態なんだよ、だから“黒雲”の近くに行けば行くほど引力が強くなり、避けようとしても、避けられないんだよ、だから結構やばいよ」


「そうなんだ、でも特級呪具って、呪力無いやつでも使えるの?」


「いや、使えないよ普通は、でも彼は特別みたいだね」


「面白くなってきたな」と道摩法師が言うと、二人は屋上から姿を消していた。




一方車の中で、無明達は小島さんにどこに犯人を連れて行くか聞いていた。


小島さんは「この犯人は、悪来監獄に収容します」


光は、震えながら「あの悪来監獄に行くんですか」


悪来監獄とは、呪詛師の中でも、特にやばい連中を収容している所である。


それに俺は「でも、保護している女子高生も連れて大丈夫何ですか?」


「あまり連れて行きたくは、ないのですが、今回捉えた犯人の組織は、特にやばいので、我々と行動した方が、安全と判断されたため、今回は特例措置で、一緒に行動してもらうため、無明君達には彼女の護衛をしてもらいます」


そういうことを話をしているうちに、悪来監獄の門の羅城門が見えてきた。

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無能と言われた陰陽師の成り上がり @akatukikurenai

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