第3話呪詛師 2

女子高生を追いかける男をビルの屋上から見てる2つの影があった、一人は紺の着物を着た中学生ぐらいの少年ともう一人は虚無僧の格好をした男である。


少年は「道摩法師様、あいつ好き勝手やってるけどいいの?」と虚無僧の男に尋ねる。


虚無僧の男は、少年に向かって「いいんだよ正行、人間が欲望に忠実なのは、良い事だからね」と少年に優しい口調で答える。


「でも“鳩”に目をつけられたよ」


「確かに“鳩”には、目をつけられたけど、良い事もあったよ、“透過の術式”を手に入れることが出来たし、それに思わぬ獲物が釣れたから、結果オーライだよ」


そう言うと、虚無僧の男が笑っていた、正行には、顔が隠れて見えないが、確かに笑っていた。


その頃無明達は、遠野真琴の生体反応が消えた、路地裏に来ていた、そこには上半身がない、遺体があった。


小島さんが遺体を確認すると、ある違和感に気づく「遠野さんの“簡易式神カイコ”がいない」


“簡易式神カイコ”とは、まず“簡易式神”とは、呪力がなくても、式神の術式が書いてる紙を開き、頭で念じれば発動する式神です。

“カイコ”は、雌型と雄型がある式神です。

使い方は、尾行している者が、雌型を持ち、対象に付けることで、雌型の出す性フェロモンによって、雄型を誘引することで、対象の居場所に辿り着けることが出来ることができ、擬態の能力で、対象は取り付けたことにすら、気付けない。


俺は「いないということは、真琴さんが“簡易式神カイコ”を犯人に取り付けたということになる」


それに光は「これで犯人に辿り着ける」と拳を握りしめて言う。


刹那は「そうだね、みんなで真琴さんの仇を取ろう」


小島さんは「“簡易式神カイコ”を使います」と言うと、折り畳んであった紙を開き“カイコ”の雄型と雌型を出した。


「無明君達は“カイコ”使い犯人を追ってください、私は応援呼び次第向かいます」


それに俺達は「はい!」と力強く返事をして、“カイコ”を連れて向かう。



一方犯人は「なかなか逃げ足が速いな、あのお嬢ちゃん」と言いながら、五行橋で女子高生を探していた。


女子高生は、その五行橋の下で、身を縮めながら、隠れていた。


(誰か助けて、お願い)と震えながら、待っている。


この女子高生が、今この様な状況になっている事は誰も知らないが、女子高生は助けを求められずにはいられなかった。


すると「助けに来たよ」と声が聞こえて、私は助かったと思い、顔を上げると、そこにはあの男がいた、私は愕然とした表情で「何で」と答えた。


私は動けなかった、恐怖で動けなかった、蛇に睨まれたカエルの様に動けなかった。


(あぁ、私は死ぬんだ)と理解した、理解したくないのに、死ぬという単語が、頭の中を流れ込んできた。


そして男が、私に触れようとして、手を伸ばしてきた、男は笑っていた(あぁ、もう駄目だ)と思い、私は怖いので目を瞑ろうとしたら、男が吹っ飛んだ。


「おい、大丈夫か!」と声が聞こえたので、恐怖で俯いた顔を上げると、そこには右眼が閉じられている男子高校生が立っていた。


「いきなり蹴るなんて、ひでぇなぁ!」と男が声を荒げる。


それに男子高校生は「うるせぇ、クソやろうが!」


そこに一人の女子高生ともう一人の女子高生?もやって来た。

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