第3話 突然の別れ
俺は父さんに連れられ、見知らぬ家の前に来た……
「父さん、ここは?」
『殺人事件があったようだ……入るよ』
「う、うん」
殺人現場に入る……
◆
『ほうほう……ここが殺害された現場だな……』
父さんがスムーズに現場を見ていく。
「後ろから一撃、かなり慣れた犯行だね……」
『あぁ、だが……そう簡単ではないかも知れない。犯行に使われた”凶器”がこの部屋に残されていない……』
「た、確かに……!」
さすが、父さんだ……こんな短時間でそんなところまで分かるとは……
「血の固まり具合から見ると……死後20分、まだ犯人は遠くに行ってないはず」
『そうだな、警部に報告だな……』
その後、警部に報告して事件は解決した。
◆
『蓮樹くん。今日はありがとう……』
「ところで父さん……昨日言ってた ”推理で人を追い詰める” っていうのがずっとつっかえていて……」
『うん、それがどうしたんだい?』
「その言葉が、実体験にように聞こえるんだよ……あの完璧な父さんに限って
推理ミスなんてするはずないから」
『蓮樹くん、君は僕を過大評価しているようだ……』
「……え、?」
『この話を君に話す時がきたか……』
僕は謎の興奮と恐怖を感じていた……
『 ――あれは一年前……僕はレストランで会食をしていたんだ。すると、殺人事件が起きたんだ……僕はいつもどおり推理を始めたんだ。”毒殺” された事件でなかなか難しい事件だった……僕はどうにか犯人を特定して推理を披露した。だが、その犯人とされていた女性が毒を用いて”心中” を図ったんだ』
「なるほど……父さんの推理がキッカケで犯人を殺してしまった、というわけだね?」
『あぁ……その心中した彼女の名は”
”藤原咲良”ちゃんのお母様だ……』
「………え?」
謎の感情が心を締め付けた……
『それが僕の探偵人生の唯一の過ちだ……』
「そ、そんな、ことがあったんだぁ……」
僕は明らかに動揺を隠せていない……
『蓮樹くん。もう遅いから早く寝なさい……』
「う、うん……でも、ちょっと確かめたいことがあるから少し行ってくる……!!」
僕は無我夢中で家を出た……
◆
咲良の家の前まで来た……どうしても確かめたいことがある。
「「 ピンポーン 」」
「「ガチャッ」」
『あれ?蓮樹、どうしたの?こんな時間に』
「咲良……正直に答えてほしいんだ」
俺のいきなりの真剣な表情に咲良がびっくりしている……
「咲良………俺をわざと退学させたんじゃないのか?」
張り詰めた空気が体を包みこむ……
『え……?蓮樹、急に何言ってるの?』
「父さんから聞いたんだ……咲良のお母さんが俺の父さんの推理が原因で心中したって」
咲良がなんとも言えない表情で黙り込む……
「その恨みを……晴らすためにわざと俺の携帯の電源を入れて、そのままにしておいたんじゃないのか?」
『で、でも……わたしは電源を入れたけど、電話が授業中にかかってきたのはたまたまじゃない?ね……?』
「咲良……俺は推理の依頼は警部から直接かかってくるんだ。あの日の着信は知らない番号だった……つまり、依頼の電話じゃなかったってことだ」
「「!?」」
明らかに咲良の表情が変わった。
「咲良……正直に話してくれないか?」
『フフフ………フフ……、そうよ……私が計画して実行したのよ。こんなにあっさりバレるなんてね……依頼が警部から直接来るのは盲点だったわ……』
咲良がまったく別人に見える……
『アタシのお母さんは!!アンタの!アンタのお父さんの推理によって!死んじゃったのよ!?本当なら、本当なら失われなかった命を……あなたのお父さんがうばったの!!分かる!?この気持ちがッ!だから”探偵”なんてしてるアンタを……退学にさせたのよ……』
「…………ごめん。咲良……」
『二度と顔をみせないで』
咲良が泣いていた。
「「 バタンッッ カチャッ 」」
俺の初恋は音を立てて崩れた。
――――――――――――――――――――――――――――
「高校生ながら探偵をしていたら授業中に依頼の電話がかかってきて校則違反で退学になった件」をここまで読んでいただき、本っっっ当にありがとうございました!
それでは、また何処かでお会いしましょう!
ふきゅい。
高校生ながら探偵をしていたら授業中に依頼の電話がかかってきて校則違反で退学になった件 ふきゅい。 @yuiyuiyui1031
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