第2話  父さんの言葉の意味




突然の退学を告げられた俺は河川敷で途方にくれていた。近くではしゃぐ子供の声さえもうざったく聞こえて仕方がない。



「くそぉぉぉおおッッッ!!!」



俺は近くにあった石を川に向かってなげる。



『蓮樹………ごめん、私のせいで……』



そこには幼馴染の”藤原咲良”が立っていた。



「いいんだぜ、咲良。俺が超忙しい高校生探偵だっただけだぜ」


『蓮樹………ほんとにごめん……私、なんてことを……』


「気にすんな、咲良。俺は探偵としてもっと有名になるよ、だから……

”迎えにいくまで待っていてくれないか。」



咲良はなんとも言えない表情をしていた。



『…………うん、待ってる』



俺は有名になって咲良を迎えに行くことを固く決意した。




           ◆




家に帰宅した……現在、俺は父さんと二人で生活している。



「父さん、驚かずに聞いてくれ。俺、今日学校を退学になっちまった」


『ほう、そうなのか。そりゃあ災難だったなぁ〜』



父さんは予想とは裏腹に軽い反応だった。



「え、びっくりしないの……?」


『ん〜、そうだなぁ。あんまりびっくりしなかったなぁ〜、それより今日の晩飯はなにがいい?』



あまりの驚かなさにこちらが驚いてしまった。



『まぁ、蓮樹くんの様子や様々な情報を加味すると……”授業中に依頼の電話がかかってきて校則違反で退学になってしまった” というところかい?』


「さ、さすが名探偵だな……」



やはり、父さんの探偵スキルには到底及びそうにない。




『まぁ、蓮樹くん。君は多分これからも探偵を続けるだろう……だが、一つ言いたいことが有る。"推理で人を追い詰めるな”』


「そ、それってどういうこと?」


『犯人を推理して暴くことと、推理で人を追い詰めることは似ているようでまぁ、君もいつかこの意味がわかるときが来るだろう……』




このときはまだ何も知らなかった……父さんにあんな過去があったことも。



『さぁ、ご飯をつくろうかな』


「俺は何でもいいよ」


『わかった。なら僕の特製オムライスだ」







               ◆





食事を終え、今お風呂の中で父さんの言葉の意味を考えていた。



「推理で人を追い詰める………なにが違うんだろう。犯人を特定するんだから追い詰めるものじゃないのか?」


結局、俺は30分ほど考えていたが答えは出なかった。



お風呂を上がり、ベッドに横たわっていても父さんの言葉の疑問が頭の中から消えることはなかった。







僕は、突然目を覚ました……時計を見ると午前10時を指していた。



「や、やべッッ!遅刻だ、あ……退学になったんだった」



ベッドの上で一人途方にくれていると、突然ドアが開いた。



『蓮樹くん、事件のようだから一緒についてきなさい』



「う、うん」

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