安易な百合と侮るなかれ

まるで詩を唄っているかのような心地良い文章が流れ込み、
水面にたゆたうみたいな穏やかな二人の時間の流れが感じ取れる。

タイトル通りのめんどくさがりが、本当にどこまでも脱力していて、
読んでいるこちらの肩の力まで自然と抜けていくようです。
そんな彼女の『めんどくさい』を脅かす存在が……

なんだかとにかく詩編のようで、
だからといって抽象的すぎず、
それなのに美しさは損なわず、
文学めいた堅苦しさもない、
ただひたすらにちょうど良い二人のやり取り。

あえて、これを安易に百合と呼びたくはない。
そんな強くはないけれど弱いわけでもない、
絶妙なきらめきとやわらかさを感じられるお話です。

ああ、めんどくさ。
わたしのつたないレビューなんて読まなくていいから、
本作を読んでください。
一緒に心地良くまどろみましょう。