第46話 真の勇者誕生! ただし、偽物。

 僕はラインハルホに仕えることにした。

 サクラコの頼みを断れなかった。


「ヒロアキよ。久々だな」


 玉座に座るシロウが僕に告げる。


「フワ様が無くなられて残念です。痛み入ります」

「うむ。母上は何者かに殺害された。ヒロアキ、お前何か知らないか?」

「いいえ」


 僕は間接的にだがシロウやサクラコの母親、つまり先代の王様の妃を殺害した。

 サクラコには内緒だ。

 このラインハルホに仕えるのはその罪滅ぼしもある。


「それに、サクラコもどこかに行ってしまった。ヒロアキ、お前何か知らないか?」

「いいえ」



 僕はしらばっくれてばかりだった。

 サクラコは僕の孤児院にいる。

 彼女はシロウと何かもめた時、役に立ちそうだか。


「……そうか」


 シロウは残念そうだった。

 僕はそんな彼にこう言った。


「最初に言っておきますが、僕は真の勇者っぽいけど、実はそうじゃありません。そこんとこよろしくお願いします」


 僕はシロウにそう言って置いた。


「分かっている。お前がたまに起こす奇跡の様な力があればいい。こちらでお前を真の勇者に仕立て上げるから、安心してそれらしく振る舞え」

「はい」


 僕は自分の子供が真の勇者であることも隠しておくことにした。

 ラインハルホのために、自分の子供を捧げたくない。

 ゆくゆくは僕は孤児院がある貧乏領地に、真の勇者を王とした国を作り、世界を征服したいと思っている。


「シロウ王」

「何だ?」

「先代の王様、ライデン王の遺言書を見せてください」


 シロウは困った顔をした。


「この前、城で火災があり焼失したのだ」

「……そんな」


 嘘だ。

 こいつは嘘を言っている。

 よーし、こうなったら……

 偽の真の勇者として仕えるながら、王様の遺言書を探し出してやる。



 次の日、僕は早速、シロウ王に連れ出された。

 行く先はジャンク王国。

 ジャンク城の5大王が集まる会議室に向かった。


「これが真の勇者か……」


 5大王の中でも最も実力を持つイジューイ王が僕の顔を見て、顎に手を当てた。


つづく

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貧乏領地を押し付けられたので、美少女孤児院を作ったら最強の勇者になった うんこ @yonechanish

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