逆説の董卓像、暴君か無能かただの将軍か

 董卓は涼州の牧(総督)である。馬を駆り、異民族や山賊と戦って暮らしてきた。董卓は、謀略が分からぬけれども皇室に対しては人並みには忠誠を感じている。この男は、中央のある恩師に呼ばれ、洛陽へと派兵することになっていた。大粛正も間近なのである。
 しかし到着した董卓は、首都の様子を怪しく思った。死臭に包まれている。大粛正をしたので当たり前だが、けれどもなにやら、宦官以外にも一般官僚や女官たちまで殺してまわったらしい。
 けれども董卓には政治がわからぬ。恩師である袁隗に従い、名士や儒家を推挙していると、袁家の者達が逃げ出した。董卓には謀略が分からぬゆえ、困惑しているとどこからともなく董卓討伐連合なる軍閥がやってきた。董卓には国家運営がわからぬ。ただただ漢室のために武力を振りまくが……。