N.

高黄森哉

N氏のV理論

 

私 「N氏に聞こう、タイムマシンがあったとする。そのタイムマシンで時間遡行を行ったとする。時間遡行では勿論、空間移動を伴うだろう。でなければ、回転し公転する地球に置いて行かれ、重力圏をだ出することになる。それは今は考えなくていいが。では、時間移動をした場合、時間遡行はどのように外から見えるのだろうか?」


N氏「座標が一致し続けるなら、きっと、時間遡行をした点に突然現れ、その点を境にVの字を描く時間軸が観測される」


私 「Vを書く時間軸は、どう観測されるだろう」


N氏「Vは全てである、したがって般若波羅蜜が観測される、という冗談はさておき説明を始める。ある点、Vの頂点で現れたタイムトラベラーは二つの時空同位体を形成する。一つは時間に沿うように観測される、もう一つは巻き戻しのように観測される」


私 「ははあ。つまり、私達には時間は抗ってないように観測されるわけですな。でも、巻き戻しの方は物理法則は異なるでしょう? 真空崩壊が起きませんか」


N氏「物理法則は逆向きでも、説明が出来る。だから物理と矛盾するわけではない」


私 「そうですか、よくわかりました」


N氏「これらの説明は覆る可能性が非常に高い。だから、参考にしないように。ところでこの質問は君のいる未来でもまだ解けてないのかい」


私 「後者は、聞かなかったことにします、ついでに前者も。SFは、正確な物を書こうという姿勢が大切なんだ。多少間違ってても寛容に処理されるべきだ。いやしかし、貴方に話を聞ける機会が訪れるなんて思わなかった。ありがとうございます、先輩。そろそろ私は、未来に帰るとしましょうか」


 私の横にある椅子では、私が考え事をしてる様子が逆再生されていた。実は私は2021年から来たのだ。SFの開拓者に会いに、未来から来たのだ。

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N. 高黄森哉 @kamikawa2001

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