第13話 遭遇と遭逢
ホワイトウルフとグレーウルフ、さらに魔狼たちが狩ったビッグボアの死体をすべて指輪型アイテムボックスにしまい終わったスタークは、先程の戦闘した場所から少し離れた所で歩いていた。
「ビッグボアは棚ぼただったな。グレーウルフは銀貨五枚、ホワイトウルフは大銀貨一枚……ふむ、もう少し稼いでおくか」
まだ日も高く、スターク本人も疲れていない。そして、金はあるに越したことはない。これらの事から新たな獲物を探していた。
「ん?これは魔物と……冒険者か?真っ直ぐこっちに向かってるな」
新たに
ふむ、ホワイトウルフとの戦いで解放した魔力で呼び寄せたか?
あれほどの魔力を持つ魔物なら先程解放した魔力の量に恐怖する事なく、エサと見做す可能性もあるか。ということは逃げてる魔物を追う冒険者らしき四人はかなり強いのだろう。
そんな事を考えているとこちらに向かって来ていた魔物に見つかった。
思ったよりも移動速度が速い。
「ッグルァァァァァァッッ———!!」
空気を震わせるほどの咆哮で耳が少し痛い。追いかけて来た四人も俺がいる事と咆哮に驚き動きを止めてしまっていた。
見た目は熊のようだが、大きさは2m強で黒い体毛、発達した前脚は筋肉質な腕のようで赤黒い甲殻に覆われている。図鑑で見たブラッディベアだな。
体のあちこちに傷が付けられ血はまだ乾いていない。やはり逃げて来た様だ。
ブラッディベアは左前脚を振り上げこちらに叩きつけようと向かって来ている。
アイテムボックスから
「ハッ!すげー力だなァ!足場を硬化して無かったら埋まってたぜッ!」
自分よりも小さい俺に受け止められたのが気に食わないのか体重をかけてこちらを潰そうとしてくるが、重心をずらしながら力を抜きブラッディベアのバランスを崩す。
そして瞬時にこちらに向かってつんのめるブラッディベアの懐に潜り込み、腰を落とした状態のまま肩甲骨を腹に当て押し上げる様に吹っ飛ばす。
「ガァッ!?」
「おぉ、飛んだ飛んだ」
もちろん足場を硬化するのも忘れない。
以前親父との鍛錬の時にを踏み込みで庭を一部陥没させてしまった時に物凄く怒られた。その時に教えられたのが魔力を流して硬化させる魔法だ。足場を硬化することでより力を伝えられるので重宝している。
四人の冒険者は信じられないものを見たと驚き固まっていた。
「おーい、こいつはあんたらの獲物だろ?」
俺が声をかけるとハッとしたように動き出した。
「っ!すまない!助かった!」
「今度は逃さねぇぞ!」
「つーか、さっきのどうなってんだ……?」
「ほんとにな……」
ブラッディベアが吹っ飛ぶところなんて見る機会そうそう無いから驚くのも無理は無いな。
しかし、復帰は早いし、連携も個々の実力も高水準。高ランクの冒険者だな。森のこの場所まで来てるから当たり前だが。
先達の戦い方を観察させてもらうか。
弱肉強食のこの世にて ナナホシラクダ @7hoshi-rakuda
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。弱肉強食のこの世にての最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます