第5話_ガーゴイルとコンビーフ(参)

思い出した。

あの時はゴブリンが火の玉を投げつけて煮えたんだった。


「おい。ゴブリン。火を通さないと食べれないぞ。」

「そうなのか。」

「そして何でおまえは火の玉を投げつけてきたんだ。」

「目くらまし代わりさ。」

「・・・。」


自信に満ちた目で見てくる。呆れて言葉がでない。

方向がズレていたら火傷する所だったんだぞ。

深呼吸してゴブリンにさとした。


「缶詰の中身は火を通さないと生だぞ。」

「えー。そうなのかよー。魔法力(マジカン)の無駄だったなぁ。」


マジカン。聞きなれない言葉だった。


「マジカンって何だ。」

「ん。使ったら腹が減るやつだよ。」

「生き物なら誰だって腹減るだろ。」

「知らないよー。門番に聞いてくれよ。なんかおれ達、睨まれてるけど。」

おれ達ではない。

お前だけだ。

お前が食ったからだ。


ガーゴイル達に近づき問う。

「マジカンについて教えてくれ。」

「簡単にいえば精神の力を使って色々なことができるんだよ。」

「詳しく知りたい。どこで教えてくれるんだ。」

「ギルド経由で訓練を受ける事ができる。やるかい。」

「いいのか。」

「あんたについってたらうまい飯が食えそうだからな。」

「あのな。材料がないんだよ。」

「大丈夫さ。解決してくれるヤツをしってる。」


魔法力は誰でも持っていて訓練次第で、使えるようになる。

まずますここが異世界だと信じるしかない。


ガラが話を続ける。

「私の得意魔法は風魔法だ。人により何が得意なのかは訓練で知る。」

「よろしく頼む。」

「また焼いた食べ物をくれないか。美味かったからな。」

「分かった。風魔法で缶詰を切ってくれ。あいつになんとかさせる。」


ゴブリンはバツが悪そうな顔をしている。

話を聞いていたのだろう。


「おい、火力の調節はできるのか。」

「出来るぜ。ダイジョブさ。」


今度は缶詰を次々ゴロが投げる。ゴブリンは火魔法で焼く。

人数分の料理が出来上がった。

ガラやゴロが美味しそうに食べる。

食べたことがない味なのだろう。この世界にはない味だ。

料理人としては嬉しく感じる。

食べて笑顔にすることが、本当に嬉しい。


しばらくしてガラがゴロに頼み事をしている。

一瞬で目的地にいける魔法のことだろう。

ガラが話始める。

「今からギルドの場所に戻る。」

ゴブリンが恐る恐るきく。「おいらも宜しいんで。」

「火の玉をいきなりぶつけてくるものは論外だ。」


ゴロは呪文を唱えだす。あたりいったいが光に包まれる。

これはまるでテレポートだな。

ギルドに行けば何らかの力は使えるのだろうか。

ここに来てからというもの楽しいことが毎日続く。

なぜこの世界にこられたかはわからない。

確かアルバムを眺めていたはずだ。

でも今は希望に満ち溢れている。

ついでに世界には流行り病がない。


ここで新しい店を構えることも考えてみよう。

食材がどんなものがわからないから、どんな料理を作れるか楽しみだ。


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店長は不思議の出会いにより一念発起し、

また新たなる食堂を構えることにした。

ビーフ天国松新、異世界での開店、波乱万丈の物語が始まる瞬間である。

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異世界リニューアル松新 かすてらうまみぃ @kasuteraumamii

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