君といた海でまた

@achan-98

第1話




「春。ここで待っててね。いつか必ずまたここに迎えにくるから。約束だよ」


その一言を最後に君は私の前から姿を消した。








「じゅん!」





「まただ…」


6年前あの海で私たちは別れた。何もできずに。そして、なぜかここ最近ずっとあの日の夢を見る。


特に変わったことは1つもない、私の新しい1日がまた始まる。朝6時。カーテンの間から差す眩しい日差しで1日を迎える。顔を洗って、パジャマから着替え、私は海へ行く。


時計をふと見る。

「6時20分。少し寝坊しちゃった」


彼と毎日歩いていた時間に、今でも変わらず私は毎日海辺を歩く。

来ないってわかっているのに、もしかしたらって。


「もう、あの約束忘れちゃったかな…」


「ってもうこんな時間!」


私は春。23歳カフェで働いている、普通の女の子だ。


少し寝坊をしたことを思い出しながら、家に走って帰り、パンをひとかけ。バックに持ち物を入れて家を飛び出す。


30分電車に乗り、カフェに着く。


春「おはようございます〜!」


優衣「春おはよう!今日は日曜日だから混むのに、新人くん熱出しちゃったらしくて、来れなくなっちゃって急にごめんね〜」


春「全然大丈夫です!家にいても特にすることないので…笑」


優衣さん。幼なじみの3つ上のお姉さんで、高校2年の時に初めて会った。それから、ずっと仲良くしてくれてて、優衣さんには毎回お世話になってきた。ここのカフェも優衣さんのカフェで、大学時代に誘われて仕事をすることになった。 


優衣「ここのカフェも、もう3年になるんだよ〜!なんか、あの時春のこと無理やり仕事させることになった気がしちゃって、申し訳なかったし、本当にやめたくなったらやめていいからね!」


春「何言ってるんですか優衣さん!まぁ、正直最初はあんまり乗り気じゃなかったけど、今は色々なお客さんにも会えるし、ほんっとうに楽しくて、この仕事なしじゃ私毎日家にいるだけなはずです…笑」


優衣「8時だ!今日は忙しいよ〜!」


春「よし!今日も頑張るぞぉ〜!」




カランカラン




「おすすめってありますか?」



春「おすすめですか!?」




春(え…?)








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君といた海でまた @achan-98

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ