追跡

えすえふ

追跡

3XXX年H星のY市

「出て行け!二度と帰ってくるな!」怒号が飛び交った。

少年は泣きながら家を飛び出し、最寄り駅から電車に乗り、人の気配すらない駅で降りた。

「一生帰るもんか。一人で生きてやる。」

そういって少年は今日から野宿を始めた。

すると親から電話が来た。

「B駅にいるんだろ。早く帰ってこい。」父が言った。

「どうして分かったんだ。家族で訪れたことも話したこともないのに。」

再び少年は電車に乗り3つ横の都市まで向かった。

着いた途端すぐに電話がかかってきた。

「おまえいい加減にしろよ。F駅にいるのはわかっているからな。早く帰ってこい。」母からだった。

どうして居場所が分かるのだろうか。携帯の位置情報はオフにしているし、携帯以外の電子機器は持っていない。

父に電話をかけ、「どうして居場所が分かるんだ!」と聞いた。

すると予想だにしない回答が来た。「俺の携帯におまえの位置情報が来る。R社の機械の性能は抜群だぞ!」

全く理解が出来なかった。突然猛烈の雨に襲われ、身体が濡れた。家を出た際に腕を擦りむいた箇所が染みる。染みるどころかピリピリと感じるモノがある。

その途端、少年は意識が無くなった。


「大丈夫か?」

「おい!返事しろ!」

「目覚ませよ!」

聞き覚えのある声が聞こえたが、全く動けない。視界もぼやけている。立ち上がることすら出来ない。


 気づいたら工場のラインの上に横たわっていた。視線の先には両親とめがねをかけた男がいた。

「もうこれは修理できませんね。結構痛んでます。新しいものを購入してください。」めがねの男は言った。

「分かった。処分しといてくれ。次はもっと良いやつを売ってくれ。」父は感情の無い声で言った。

その時少年は自分が何者かすぐに分かった。

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追跡 えすえふ @saa24t26

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