憐憫姫

北、西、東を山に囲まれた小さな町。どちらかといえば田舎の町の小さな中学校に通っている永井遠子。遠子は幼い頃から夢中になって何かを見つめてしまうことがあった。そして気がつくたびに喪失感を覚えていた。そんな遠子は同じクラスの細川珠音のことが嫌いだった。明るくて美人で優しい、小さな虫まで憐れむ珠音のことを遠子は心の中で「憐憫姫」と呼んでいた。
そんなある日、遠子は珠音のことを憐憫姫と呼んでしまい、二人の関係が変わってしまう。その日から遠子は不思議な夢を見る様になった。