イロハを助ける
「イロハお前もこんな情けない男を頼ってんじゃねーぞ」と言いながら龍二はその場を立ち去った。龍二たちの取り巻きもその場から立ち去る。
「ふぅ……」俺は上半身を起こす。ポタポタと甘いジュースが髪から垂れる。現状報告……当方の被害はブレザーのボタン破損、ワイシャツのボタン破損、ワイシャツの胸元がビリビリに破損、ブレザーの背中に大きな足跡、後頭部に踏まれたときの砂、そしてベトベトになった髪。
俺はふとイロハの方を見る。イロハはへたり込みながら俺の方を見ていた。
「大丈夫? 純」ふと見るとそこには北条莉子……リコがいた。俺が食堂に行く前に話をしていた女友達だ。
「一年生も大丈夫?」と言いながらリコはイロハに近づく。リコがそう声をかけるとイロハは引きつった表情がどんどん溶け出して泣き顔になった。
「うぇーーーん!!」泣き出すイロハ。
「おーーよしよし辛かったねぇ」とイロハを抱きしめるリコ。
「お前美味しいとこだけ取っていったな……」俺は呆れるように言った。
「だってあんたジュースでベタベタじゃん! それで抱きしめたらこの子だってベタベタになるでしょ」とリコが笑って言った。ま、それはその通りだ。
「ひくっ……ひくっ……こ、これ使ってください」と泣きながらイロハは俺にハンカチを渡してきた。
「あぁありがとう」と言いながら俺はハンカチを手に取った。
「これ結構高級そうだけど使っても大丈夫?」俺はイロハに聞いた。
「ひくっ……ひくっ……はいっ」とイロハはうなずく。
俺は遠慮なくそのハンカチで自分の濡れた髪を拭いた。あっ……泥がついてハンカチが汚れてしまった。仕方ないちゃんと洗濯して返さないと。
「大丈夫立てる?」俺はイロハに言った。
「はっはい」イロハは足がガクガク震えてまるで正座で足が痺れてうまく立てなかった人みたいになっていた。
「よいしょっっと。大丈夫?」リコはイロハを立たせる。イロハはリコの体を掴んでやっとのこと立った。俺も立ち上がる。
「可哀想にね。よっぽど怖かったんだね」とリコはイロハを抱きしめながら言う。そう言ったあとリコは俺の姿を見てプッっと吹き出した。
「あんたボロボロじゃん」リコは言う。
「まっさか土下座するとは思わなかったよ。ほらちゃんと撮ったから」とリコはスマホを俺に見せてくる。その画面には俺が龍二たちに囲まれて土下座している姿の動画が流れていた。ギャハハハハと下品に笑う龍二たちの声がスマホをから流れる。どうやら二階から撮ったみたいだ。俺たちの顔がバッチリ映っていた。
「あっお前なに撮ってんだよ! 恥ずかしいだろ! 消せよ!」俺は言う。
「何いってんの? あんた馬鹿でしょ。この動画SNSに上げたらあいつら終わりだよ」とリコが笑いながら言う。
あっ……確かにこれは明らかな証拠だ。しかも動画。動画のありなしじゃ大分印象が変わる。最悪龍二を退学まで追い込めるかも……
「お前頭いいな」俺は言う。
「あんたが馬鹿なだけでしょ」とリコは得意げに言った。
「しっかし土下座って。武士じゃん」リコはからかうように言った。
「あのなぁリコ。男の価値なんてのは女のためにどれだけ土下座出来るかで決まるんだよ」俺は言った。
「なにそれ」プッっと俺の渾身の決め台詞が鼻で笑われた。
「あの……ごめんなさい」震える声でイロハが言う。
「私のせいでこんな目に合わせちゃって。一ノ瀬先輩も背中が踏まれたりして泥だらけになって。髪も濡れちゃって」イロハが言う。
「あんま気にすんな。罪悪感を持たせようとしてやったわけじゃないからな」俺は言う。
「え?」とイロハは聞いた。
「えーーあのだから。例えば、そうだな。一万円札だよ。一万円札を濡らしたり踏んづけても価値は変わらないだろ? 価値は一万円のまま。それと一緒で龍二が俺をいくら踏みつけようが濡らそうが俺の価値は変わらないんだよ。それをあーークソッ! あいつらに踏みつけられたから俺は駄目だぁ! って思ったら負けなんだよ。一万円の価値を持ってるのに汚されたからって自信を無くして、俺は汚れてるんで千円分の価値しかないですって思って本当に千円分の物と交換したらその時点で俺の負けなんだよな」
俺はそう説明した。イロハはよく分かってないみたいだった。
「え? 要するにそれ負け惜しみでしょ」とリコは笑った。
「ちげーわ。負け惜しみじゃねぇわ! 戦略的土下座だわ」俺は言うとリコがキャハハと笑った。それに釣られてイロハも笑う。
ま、イロハの笑顔を見られたから良しとするか。
◇
ちょっとこの作品エタりそうです。
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イジメられていた俺はクラスの女子から罰ゲームで告白される。かと思いきやガチの好きの告白だった!ついでに俺をイジメてた奴はネットで晒され社会的に死ぬことに
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「私の体ってエロいですか?」クラスの地味めな女の子からHなコスプレ自撮りを見せられ感想を求められたんだが 水ManJu @mizumanjuu
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