またDQNかよ!
「大丈夫? 立てる?」俺はイロハにそう言う。
「あ……うん。ありがとう」イロハはなんだか頬を赤らめている。俺はイロハの手を取った。イロハの手は小刻みに震えていた。
恐怖だっただろう。無理もないあんな奴に付きまとわれてるんだ。しかも逃げて俺と飯を食ってもまだ付きまとってくる。もうどうすりゃいいんだって感じだよな。
なんだか……もう猛烈にあのDQNどもが憎たらしくなってきた。
「お兄ちゃん。その子を守ってあげなよ!」と言いながらおばちゃんは俺の背中を叩いた。
「はい。分かりました」俺は苦笑いしながら言う。
「兄ちゃん頑張れよ!」
「カッコ良かったぞ!」俺が食堂を出ようとすると食堂の職員が口々にそう言う。
俺はそれに手を振る。
「あのっ……大丈夫です。手」イロハはそう言う。気がついたら俺はイロハの手を持つような格好になっていた。怯えて今にも倒れそうだったから手を引いて立たせたんだが。大丈夫そうだ。
「あぁ。そうだね。悪かった」俺は言う。
「じゃあ、あとはもう一人でも大丈夫?」俺は言う。
「あぅ……」イロハはなんだか口ごもる。
「もう少しだけ一緒にいようか?」俺は聞いた。
「はい」イロハは言う。
俺とイロハは少し距離を置いて歩き出す。俺が先頭でイロハは後ろについてくる感じだ。するとイロハがいきなり俺の制服の背中にある裾をギュっと掴んできた。
「!」俺はイキナリのイロハの行動に驚く。こっこれは……まるで夏祭りの時に人混みではぐれないようにするカップルみたいな……男が女の子からされたらキュン死にする仕草殿堂入りの服の裾掴みじゃん!!
俺はドキドキする。
「怖かった?」俺は聞く。すると背中から
「うん」と甘えたような声が聞こえた。
「大変だなぁ。イロハちゃんも。あんな奴に絡まれて」俺はなぜだか妙に緊張して名前呼びになる。
「うん。でも。ありがとう」俺はその言葉を聞いた瞬間なんだか胸が熱くなった。正直最初は面倒くさいと思った。イロハのおかげで面倒事に巻き込まれたと思った。でも今は違う。やっぱり助けて良かった。このありがとうの一言で俺は報われたような気がした。
「おい、あいつら……」
「ふざけやがって」遠くからなんだか男の不穏な声がする。
「おい! お前!」イキナリ龍二たちのグループが俺を取り囲んだ。なんと仲間を呼んだのかさっきより2〜3人増えていた。
「お前ちょっとこっちこい。舐めやがって!」と龍二は俺の服を掴む。その衝撃で俺のシャツのボタンがバチバチ! っと音を立てて外れる。
「いたっ! なんだよお前ら」俺は言う。
「なんだよじゃねぇーんだよ!」龍二は怒鳴る。横を見るとイロハが怯えきっていた。
俺は取り囲んでいる男たちを見た。人数は8人。殴り合いの喧嘩をして到底勝てるような相手じゃない。しかし、なんだかこいつらも緊張しているように見える。そもそもこいつらは正々堂々なんて言葉とは無縁だ。俺が先手必勝で手を出したらそれを言い訳にボコってくるだろう。人を呼ぶか? 駄目だ。周りの学生は窓から俺らを見るだけで怯えてなにもしない。
「イロハ逃げて。誰が人を呼んで」俺は言う。するとイロハは怯えきってペタッ座り込んでしまった。
俺は……
「すいませんでした!!」土下座した。その光景に笑うDQN一同。
「は? ふざけてんのかテメェ!」調子に乗って怒鳴る龍二。
「本当調子に乗りました! 許してください!」土下座したまま俺は言った。
「良いからお前こっちに来い!」龍二が言う。
「いや、行きません! 怖いんです! 謝ってるんで許してください! 本当にすいませんでした!!」俺はそう言うと龍二たちメンバーから笑いが起こった。
「は? まぁいいや。これからは調子に乗んなよ」と言いながら龍二は俺の背中を踏みつける。そして頭を踏みつけた。ジャリっと嫌な音が耳に響く。一生忘れないだろうこの音。屈辱の音だ。
バチチチチ……? 冷たっ! なんと俺の頭に冷たい液体……これはジュースか? がかけられていた。
俺の髪は屈辱とジュースで濡れていた。だが龍二俺はこれで終わらせないぞ。
ちょっとこの作品エタりそうです。
新作書いてみたのでよろしかったらそれもご一読お願いします
イジメられていた俺はクラスの女子から罰ゲームで告白される。かと思いきやガチの好きの告白だった!ついでに俺をイジメてた奴はネットで晒され社会的に死ぬことに
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