かなり昔のお話です。朝鮮半島にあった国の一つ、高句麗を追われた一人の主人公。国を失う悲しみと、故国に置いてきた心残りばかりが胸を突き上げます。しかし、どこにあっても変わらない月だけが、その心をも照らしてくれます。願い叶わず、全てが徒労に終わろうとも、そのすべてを月は優しく隠してくれます。希望だけを残して。
漢詩のようなタイトルに惹かれ、読みやすいのに胸が締め付けられる内容に心奪われました。
話自体は簡潔にテンポ良く進みますが、その内容は叙情的でドラマティック。そして何より実在の人物である主人公の誇りと高潔さに胸を打たれ、同時に『人間にはこんな魂が備わっているんだ』と勇気をもらえます。ぜひ御一読下さい。
歴史の教科書にこの小説を載せるべきです。クオリティの高い上にシンプルでわかりやすい!
夜、馬、そして親子。情景が浮かぶ文章をありがとうございました。
国を追われ、命からがら得た仮初めの安住。帰還と凱旋こそが我が使命だと命を燃やすが、運命はそれを許すことはなかった。消えた故郷に悲しむも、それでも失意に溺れず新たな道を進まんとする決意こそが、未来を切り開くための要件なのだろう。