透けて見えてるよ

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

遊具部の日常 「水鉄砲で、制服を濡らす」

「うりゃー」



 ボクの顔面に、水鉄砲の水がかかる。


「きゃはは! シーくんだっさ!」

 


 髪を濡らしたボクを、ユウナがゲラゲラ笑った。


「汚いぞ! マシンガン型の水鉄砲なんて!」

「へへーん、水鉄砲は日々進化を遂げているのだー。うりゃうりゃ!」


 ドラム式マガジンの水鉄砲を使っておいて、進化もクソもあるかっての。

 何世代前の銃だと思ってるのか。


「くそぉ。こうなったら、これだ!」


 対して、こちらは近未来の光線銃型だ。

 高威力の水圧で、ユウナを攻撃する。


「きゃー! シーくんそれ痛い痛い。いたーい」


 ユウナが背中を見せる。


 威力はこちらの方が高い。ただ、その分容量がかなり劣る。


 ボクたちは、「遊具部」という部活に所属している。

 企業が開発した新遊具を借りて遊び、安全性や娯楽性などを検証する部活だ。


 検証内容は動画で撮影される。

 が、さすがにネットで公開などはしない。企業に送るのだ。


 タダで遊べて将来性もあるという、夢のような部活だ。


「学校公認のアルバイト」扱いなので、部費は一円も出ないが。

 部室もない。

 今日も、テニス部の庭を間借りさせてもらって、ビニールプールを敷いている始末だ。


「そらそらー。ボクの受けた痛みを思い知るのだ」 

「うわーっ、威力ならこっちだ!」

 

 ショットガン式の銃を、ユウナが取り出す。

 排莢レバーを引くと、高い水圧のショットが飛び出した。


「ごっへ!」


 水しぶきが、鼻の穴に直撃した。

 ボクがゾンビだったら、頭が吹き飛んでいただろう。


「ゲホゲホ! ゼロ距離射撃禁止!」

「近づいてくるキミが悪いんだもーん」

「だったら奥の手だ!」


 ボクは、最終手段を仕掛ける。


「え、ちょっと! ホース禁止!」

 

 そう、水鉄砲の究極と言ったらホース攻撃だ。

 軽く踏んで、水圧も上げる。


「わーっ! ひーっ! これじゃあ遊具紹介になんないじゃん!」

「そうだった!」


 ボクは、慌ててホース攻撃をやめた。


「もーっ。シーくん興奮しすぎ」

「ごめんごめ……あ」



 白いセーラー服が、濡れていた。


 ピンク色のブラが、透けている。


 高校生にしては発育が良すぎる胸に、セーラー服がピッタリと張り付く。



「どうしたの、シーくん? わっ!」


 ユウナも気がついたのか、慌てて胸元を隠す。


 ボクも、テニス部男子の視線からユウナを隠した。


「めちゃ濡れちゃったね」



「でも水着だから大丈夫だもーん」


 ニヒヒと、ユウナはニヤけた。


 


 後日、大勢の男子生徒が「遊具部に入部したい」と殺到。

 


「なんだか、透けて見えちゃってるよ」


 汗ばんだ背中が透けていた。

 

「だからごめん」



「じゃなくて、下心が」

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透けて見えてるよ 椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞 @meshitero2

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