世界の始まりの成れの果てで

@yorumoti

第1話

いつもの憂鬱

「なぁなぁ神無月、死ぬ時はさ。やっぱ可愛い女の子と、老いぼれる前に死にたいよな。」

そう言った登内 潤(とのうちじゅん)は、生徒会室に遊びに来ての窓から、空を見ている。

「どれだけ可愛くても愛されてなきゃ虚しいし無様に生きてゆくよ。」

僕は野球部のボールを眺める、『くだらない』そう思っているけど、愛されたいし大切にされたいのは事実だ。

登内は、机に置いてある神無月 芯(かんなづき しん)の名札を突きながら文句を言いたげな顔で僕のことを見つめる。僕も僕で、ひねくれた自分にため息が出る。

「俺は、多分この感じだと一生独り身だな。」

諦めたように出す声に、登内が耐え切れず話題を変える。

「コンビニ寄って帰ろうぜ。」

「そうだな。帰るか。コンビニはパスな。」

いつも通りの澄ました顔で、ホコリに汚れた鞄を肩にかける。

 憂鬱な時の駅のプラットフォームでは、線路と空と向かいのホームを見つめながら憧れのミュージシャンの曲を聴く。将来には不安しかないし、クラスにいる奴らの倫理観は無いに等しいし、ここ数年愛は感じるどころか見かけることもない。対岸のホームで仲睦まじい姿を見せるカップルの彼女は、この前ほかの男とキスをしていた。この黄色い線を跨いで次起きるときには多くの人に愛される人間になっているのかそんな空想ばかりして、電車を待って、電車に乗ったら外を見て、世界に向かって睨み続けるのだ。

旧友

 家に帰るが「お帰りなんて」素敵な言葉聞かない。父親は、単身赴任で日本中を転々として帰らない。母は、パートをしていて僕とは距離があって、あまり会話をしない。姉といるときばかり、幸せそうな顔をする。

もしこれがドラマなら、「胸糞が悪い」とか「悲劇の主人公なんてつまらない」とクレームが入る。僕が入れている。だけど僕は、当事者でありクレームを入れるべきは、神か仏か科学か政治家か自分自身か。                                                                                   

空虚な部屋に、不愉快な着信音が土足で入ってくる。相手は中学生の時仲良くしていた、丹山ゆか(にやま)だ。

「もしもし?芯?」

相変わらずな調子で弾んだ声に、中学生の時の自由が薄っすら幻として見えた。

「おう…久しぶりいきなりどうしたんだよ。」

「あのね、彼氏と別れたんだけど、あいつマジでクソでさぁ。」

胸糞が悪い話を永遠と聞かされた。別に嫌なわけでは無いが、知っている人がこんな目にあっていると思うと、胸に来るモノがある。『あいつも大人になったな。』なんて大人が何なのか分からないくせに、脳内で誰かがキザに囁きやがる。

「ねぇねぇ芯?愛って何だと思う?」

その質問に、恐怖と嫌気と答えるべき義務を感じる。過呼吸になる。肺が痛みに嚙みつかれる。

「愛っていうのは…」

分からなかった。「知らなかった。」の方が正しいかもしれない。僕は、愛を感じたことはあるが、それが本物と確信し裏切られなかったことはない。

「僕も分かんないや。」

情けないが答えた。

「まぁこの世に愛なんて無いしね。」

 そんなこと言うなよと思ったが、逆にあると証明できない。

 なんだか虚しくなっていきなり電話を切ってしまった。

「もしもし?いきなり切れたけど?」

「ごめん変なところ押しちゃってさ。な…」

危なかった。『何だった?』なんて安易に聞いたら、また話が繰り返される。その前に僕が話して適当に終わろう。

「いやー懐かしいな。またさ、お互いの暇なときに今度は思い出話でもしようよ。ぼくはそろそろ寝るね。」

「うん」

僕は、もう旧友に助けを求めることもできなくなってしまったのだろう。

 自分二人

そんな灰色に染まった日常を、九十数回繰り返した日帰り道。

見えたモノがある。昔の自分である。

学ランを着て髪の毛をワックスで固めて、信じられる仲間と目に本当の輝きを持った自分だ。

「どうした生き甲斐がないのか?目が死んでるぞ。」

 そう言われても幻覚だとすぐにわかったので、心の中で答えた。

「『目が死んでる』か。お前の目が『生き過ぎている』って考え方はないのか?」

「いいや、鏡を見てみろ、死んでる。」

「鏡なんか、持ってるわけがないだろ。」

見た目を気にしすぎて、鏡を持ち歩いていた頃を思い出す。

「まるで愛されてないって顔だな。」

「事実だろ?」

「どこがだ?お前はたくさんの人間に愛されている。」

「どこの誰にだ?言ってみろよ。」

問い詰めるように迫る。

「親とか、後輩とか、友達とか。」

「親は、僕らじゃなく優秀な姉貴が大好きなんだよ。今までの扱いの差をよくよく考えてみろ。後輩って今お前が付き合ってる彼女だけだろ。言っておくがそいつ、夏休み前に別れるからな。連絡が来なくなって、SNSを突然ブロックされて、最後にはストーカー扱いされるから。友達も中学生の時ほど仲良くなくなるし、親友だと思ってるあいつと喧嘩別れするし、高校にいる奴らはどいつもこいつもなんも考えてないぞ。」

「まじか。結構刺さったよ。だが言いたいことは変わらない。お前は愛されたいんだろ?」

「それは認める。愛されたいでもそれを素直に言えたら苦労はしないし、愛されるような見た目と性格をしてない。」

「そんなことないよ。お前は十分かっこいい。」

「そんなこと今まで誰にも言われた覚えはないんだが?」

「まぁまぁ自己肯定感高めていけ。」

ため息をつくと、そいつは消えていたなんなんだ。あいつ。

電車の車内から外の街がもう暗いことに気が付いた。

いつも

 生きる意味をなくした日に、縋るモノはそれほど多くない。死にたいなら死ねばいい。意味がないなら生きる必要などない。くそみたいな哲学だが、何も考えていない馬鹿が多い今の世界では、誰も論破できなかった哲学だ。

今だって、人生に虚無が溢れているせいで、目の前の線路が新たな世界への扉に見えて仕方ない。「この線を跨ぐことができたなら」朝のホームで電車を待つ。

学校に向かう途中の駅から駅への移動に乗せた音楽で、多分今日のMVPになる景色を飾る。だがこの後に向かう倫理観の薄れた教室が、儚さを体現しているようで、その客観的に見た美しさに、気持ち悪さがした。多分二日酔いはこんな感じだなと思った。

学校に着くと、必ずと言っていいほど近くの席の登内がちょっかいをかけに来る。

「おい神無月。」

「なんだよ。」

「何でもない。」

「マジでなんだよ。それ。」

僕は、笑みを含んだ返事をする。こうやって、仲間としょうもなさを楽しむときだけ、嫌なことを忘れられる。

僕は、いそいそと教科書を机の中に入れる。

「貴重品回収はやくして。」

先生が、スマホや財布を集めるように促している。

外との情報を断つのは怖いから本当は嫌いなんだけど、反抗するほどのことでもないしいいや。

 授業は、現代文と倫理と現代社会が好きだ。思考をするのが好きだからだ。他の教科も嫌いではないけど、記憶するばかりで退屈だったり苦手だったりする。

 今日は、最後の授業が現代文だ。「何とかやっていけそうだな。」と予定表を見て思った。

 英語は、授業に掴みどころがなくて退屈だから、最近始めた音楽活動の歌詞を考える。

 休み時間は、登内等と問題にならない程度に騒いで、一日を浪費する。

僕の好きな現代文も、他を適当にした代償のように、すぐに終わってしまった。

 そうしたら次は、生徒会か部活だ。今日は生徒会の日で、生徒会は知的な話やちゃんと物事に対して思考してきた人間の持つ価値観に触れられるから、好きだ。僕が、対して使えない人間という事を除けば。

「神無月君。」

ふと声がするからそっちを見ると、最近一緒に仕事をしている七瀬(ななせ)が呼んでいる。

なんだか心がズキッとする。七瀬と関わると、何故だか心をズキッとさせられる。嫌ではないが、ペースを乱される。

「このパソコンのパスワード何だったっけ?」

 パスワードをタイピングするのも、いつもより遅くなる。

「神無月君は恋しないの?」

「したいけど相手いないし。」

 最近生徒会では、恋バナがなんだか流行っている。甘酸っぱい恋なんてしたことはない。「大切にされている。」と思っていても、最後には最低な別れ方記録を塗り替えていく。だから話せる話は少ない。

「いっぱいいるじゃん……」

「いても出会うことないし。」

「SNSで知り合えばいいじゃん。」

「それはナンパと一緒だし。」

「これから色々起こるかもしれないじゃん。」

「でも僕は、明日には死んでるかもしれないし。」

「それは何だってそうだよ。」

 そうか「確かにそうだな。」と思ってはいるが、次の言葉が出なかった。

思うように会話ができないことに、少しずつ溜まっていく疲れを感じた。

空は、晴れと曇りの間の迷った表情を見せていた。

七瀬と気だるく仕事をしていると、気が付けばもう時間が六時近くになっていた。

「お前らそろそろ帰る時間だけど電車とバス大丈夫か?」

「まだいけますよ。」

七瀬が疲れの感じさせない声で、先生に言う。疲れないのだろうか?

「神無月君。疲れてるの?」

「眠くて全然頭が働かない。」

眠くはないが、頭が働かない理由を答えないと。嫌っているとか相性が悪いと勝手に誤解されたくない。

七瀬は、興味薄そうに仕事を続けた。

気が付くと帰る時間になっていた。七瀬は、バスの時間が合わず僕と同じローカル線で帰るらしい。

他の生徒会メンバーも数人束になって、無駄話をしながら帰った。もちろん内容は流行りの恋バナである。

後輩の杉乃(すぎの)が聞いてくる。

「先輩彼女いたことあるんですか?」

「まあ、あるけど。」

「どんな恋したんですか?」

「あんまりいい恋はしてこなかったかな。途中まではいつも普通だけど最後がいつも最悪かな。」

「へぇー」

「そういう杉乃はどうなんだよ。」

「いやいや私は全然。」

もう一人いる後輩の山塚(やまつか)が楽しそうに聞いてくる。

「じゃあどんな人がタイプなんすか?」

「俺は、見た目よりもちゃんと物事考えてる人が好きかな。逆に山塚は?」

「僕っすか?僕は特にないっすね。」

 杉乃が、会話を回す。

「七瀬先輩は、どうなんですか?」

「私は、束縛がない人かな。めちゃくちゃ甘やかしてくれる人がいい。」

「わかりますそれ。」

のろのろと進む電車に乗って、僕らは終点まで話していた。

僕も、ひと時の楽しさを感じていた。

明日の朝には、元の灰色な世界に戻ることを少しだけ忘れて。

二分の一

 次の日、朝起きて歯を磨いて顔を洗い寝癖を直し着替えて駅に来た。

 多分その日は天候のせいか、気が滅入っていて昨日の疲れも取れていなかったと思う。ふと「もう楽になってもいいのではないか?」と思ってしまったのだ。そっとホームから体を前に踏み出そうとしたのだ。だが後ろ髪をふわりとひかれたように前ではなく、後ろによろめいたのだ。

その時は、ドラマや映画のように世界が遅く見えた。だが一番おかしかったのは、目の前に仁王立ちでポケットに両手を入れている自分がいたことだ。今までの幻覚のような自分とは違う。確実に本物の自分だった。嬉しそうな笑みを浮かべて横目で僕を見ていた。

瞬きをして次見た時にはもういなかった。後ろを見ても人はいなかった。

おかしいと思ったが、見えないもので騒ぐわけにもいかないし、そんなことでは学校を休む理由にすらならなかった。

僕は何事もなかったかのように電車に乗る。

ローカル線も降りて教室に着くと椅子に座って脱力する。

いつもみたいに教科書などの支度をして授業を受けていると、いつものことだが教室内がざわざわしてくる。

「しずかにしろ。」

「おーい。」

「いいか?」

先生が何度か声をかけるが、静かになる様子はない。なんだかイライラしてきてしまう。そこでふと「騒いでるやつを一人一人手にかけてしまったら。」と考えて瞬きをしたとき、目の前にある机の上に自分がいるのが見えた。その自分はじっと騒いでいる一塊になったグループを見つめている。

「朝見た……」

そうボソッと椅子に座っている僕が言う。

「おい机の上に立つな」

先生に注意されたという事は、僕以外にも見えているという事なのだろう。

「騒いでるやつを一人一人手にかけてしまったら。」

 机の上に立つ僕がボソッと言うと、右手をポケットから出す。その右手首には黒く角張った無機質な腕輪が付いていて手のひらには銃が握られている。嫌な予感がして「やめろ」と言おうとした時には、もう遅く耳をつんざく銃声が人数分響き渡った。

「おい!何やっている!」

先生や周りのクラスメイトも、その事態の異常性に気が付いた。

だが、血や薬莢が視界に映らないのだ。おかしいと思い周りを見渡すが、騒いでいたやつらが消えているだけなのだ。

「神無月?」

登内の声だった。登内からは、僕が座っていながらも机の上に立っているのが見えているのだ。

僕は、目の前にいる自分が全く理解できないながらもどうにか、捕まえなければと急いで飛び掛かり服を引っ掴む

「おい!お前何してるんだよ。」

「何ってお前が考えたことだろ?」

 まるで「当たり前だろ?」と、とぼけたことを言われたようなニュアンスで微笑を織り交ぜながら答えてくる。

「考えたことをそのまま行動に移すのは、他人にとっても自分にとっても危険な行為だ。」

「だがこうしなきゃ、生きたいように不満無く生きてはいけないだろ。」

まるで自分の中で自問自答をしているようだった。自分の言ったことを説き伏せる答えを、自分は持っているが、さらにそれを説き伏せる答えも持っていて、無限に繰り返すようなそんな感覚だ。

「面倒なことは、無しにしよう。これで静かに授業が受けれる。」

その言葉が出たとたんに、チャイムが鳴った。唖然とする教室に放心状態の僕。もう一人の自分は、チャイムの音と一緒に空気中に溶けていった。

その日はみんな沈んだ様子で、授業が終わっていった。

似合わない雲

生徒会に行かなくちゃ「行っていいのだろうか?」そう考えをめぐらしていると、ふと自分の腕に目が行く自分の右腕に白くて角張った腕輪が付いていることに気が付く。その腕輪は、固く外れないどころかびくりとも動かず肌とこすれながら回ることすらない。

幸い腕時計は校則違反じゃないので人目に付くことはないがこんな窮屈なものはあまり付けていたくない。

もう一人の僕がつけていたものと同じだ。この腕輪に一体何の意味があるのだろうか?考えていたら無意識のうちに生徒会室に着いていた。

「きっと大丈夫だ。」半ば自分に言い聞かせていたのもあるが、休む理由が無いことも原因だった。

「お疲れ様です。」

生徒会室に入りいつも通り挨拶をする。

「神無月君手伝って、これどうすればいいかわからない。」

七瀬が、「君がいないと困るよ。」という言葉を形にしたような顔で僕を、呼んでいる。普段は「君は居ても居なくてもいいよ。」という態度なのに。

「えっとこれは……」

カタカタとパソコンを打つ。

「これでいいと思うけど、どう?」

「うん。ありがとう。」

 七瀬の困りごとを片付けると、僕は生徒会室のど真ん中のエアコンが当たって一番涼しい所に、椅子を置いて座る。

 見えるものがすべて壊れた世界に見えた。相談できないことで、悩んでいることが重たくも感じた。

 窓から見える雲は、遠くにある荒れた天気の黒い雲とそれを押しのけて広がる夏らしい入道雲だ。だが僕は、この入道雲がどうしようもなく好きで嫌いだ。別に、何か思い出があるわけでも夏が嫌いなわけでもない。ただこの入道雲が、自分に似合わないと思うのだ。綺麗で青春を表現したあの青い影の忍んでいるあの雲は、何の才もなく綺麗な恋もできず「箸にも棒にも掛からぬ」を擬人化させたような僕には、飾ってもスーツを着ているのではなく、着られているようなそんな風に滑稽なものになるのだ。

「お疲れ。」

 生徒会長が入ってきた会長は、いつも悩む僕の背を押してくれる。

「会長は、相談できないことで悩んでる時はどうしますか?」

「神無月何か悩んでるの?」

「まぁ人生色々ですよ。」

「色々かぁ。」

会長はそれ以上聞かないが、明るい顔で「何でも応援してやる!」と言いたげな雰囲気を出している。その姿に何度救われたことか。

 僕は、その後も淡々と作業をしている。ちらりと視線をやると、七瀬は副会長と仲良さそうにしている。最近は、七瀬を見るだけでズキズキした痛みが走る。そろそろ自分が心配になってくる。

 ただその痛みと同時に「気だるさ」や「やるせなさ」も今日はしてきた。疲れているのだろうな。

 僕は、困った。ただ立ち尽くすしかできないし、頭の中は情報量の多い自問自答が、右から左、左から右へと流れて僕を無にしていくのだ。

「神無月君?どうしてそんな顔してるの?」

七瀬がしゃべりかけてきた。

「何でもないよ。ちょっと考え事してた。」

 何でもない訳はないのだが、今誰かに現状を伝えるには、最適解だ。多分。

そうしてまた今日も家に帰る。ベッドに寝転んで天井を見上げる。

 僕は、「課題やらなきゃ」そう思ってやっつけ仕事だけして寝た。

面倒な奴が来た

 朝学校へ行くと、やはり昨日撃たれた人は、どこにもいない。行方不明という事になっている。その上昨日それを見た先生と、その他の数人のクラスメイトも学校に来ていない。学校に来た生徒は、昨日の出来事を、集団幻覚を見ていたと思っているようだ。

 それもそのはずだ、あんな常識を酷く逸脱した出来事は受け入れることはおろか認識することすら難しい。

 こちらとしても、それ以外におかしなことになるよりこのくらい穏便に済んでくれたほうがいい。

 そんな複雑な安心をするが、それに嫌な予感が梅雨の湿気のようにじんわりとする。

「神無月芯はいる?」

誰かが、僕を訪ねてきた。

「あぁいるよ。ほらあそこ。」

そいつは、僕よりも背が低いくらいで長い黒髪にメガネをした女子だった。

「君が神無月芯だね。私は、オカルト研究部の白田加奈(はくたかな)よろしく。」

にんまりと笑う顔は、まさにこれから実験体を研究するマッドサイエンティストの様だ。

「よろしく。神無月芯だ。僕に一体何の用ですか?」

「何の用って、昨日の事よ。」

彼女は、タブーを思いっきり踏み越えて来る上に初対面でタメ口だ。

「そのことか。正直僕もよくわからない。」

 答える僕も僕だ、きっと誰にも話せなくて溜まっていたものがあるのだろう。

「わからない?君がやったことだろう?」

「僕じゃない。目の前にもう一人僕が居たんだ。」

 彼女はメモを取りつつ、僕のことを興味深い目で見てくる。

「君は、自分がもう一人いることに心当たりはないのかい?」

考えてみるが特にこれといってない。

「特にないな。逆にこういう事はオカルト界隈ではよくあるのか?」

「いや、ないね。これから君の話を元に調べてみるつもりだ。」

「そうか。頼む。」

 彼女の、怪しい言動や行動に対し、安心や希望を感じていることに驚いた。

 彼女は、一通り聞き終わるとウキウキした足取りで廊下に出ていった。

 翌日も、翌々日も一日のどこかのタイミングで、彼女は僕に「変化はないか ?」と聞きに来た。

「どう何か変化は?」

「昨日話したが、変化があったら僕から言うよ。逆に何かあるのかい?」

「まぁ少しだけある。」

僕は、ほんの少しだが安心した気持ちになった。

「君は、二別華則時(ふたわかののりとき)を知っているかな?」

「いや知らない」

「室町時代にいた武士らしいのだが、君と同じように分裂したらしい」

「その話もっと詳しく聞かせてくれ」

「私もこれ以上のことは何も、ぼけた祖父の言っていたことだし」

 オカルトは信じているのに、祖父は信じていないのか普通は逆だ。

「日本史の先生とかに聞いてみるのもありだと思うよ?」

「確かにそうかもしれないな。」

僕は、その日のうちに担任をしている日本史の先生に聞いてみた。

「先生質問なのですが」

「おう、なんかあった?」

「先生二別華則時って人物知ってますか?」

「あぁ……えっとな。」

 先生は、うつむいて手を眉のあたりに置き思い出しながら話す。

「鎌倉時代の人だろ?なんかの書物に書いてあった。伝説の人で、浮気かなんかされて逃げたんじゃなかった?それで逃げてるときに、めちゃくちゃ気性の荒い方と穏やかな方に分裂したんだった……はず。」

 まさにこの話はドンピシャだ。僕は、恐る恐る聞いてみた。

「その後はどうなったんですか?」

「一か月ぐらいで消えて無くなったって話だな。」

 僕は青ざめた。消えて無くなるなんて冗談じゃない。

 そこに、話を聞いていた倫理の先生が入ってくる。

「それは、二重人格みたいなもんだなぁ。」

聞き慣れているおっとりした声で我に返る。

「二重人格ですか?」

「人はな、強いストレスがかかると人格が分かれて、負担を背負う方とそうじゃない方に分かれるんだ。」

「なるほど……ありがとうございます。」

そう言って職員室の前を通り過ぎると、また倫理の先生が声をかけてきた。

「お前分裂したんだろ?」

「何で知ってるんですか?」

 その優しさを含んだ声に、ただならぬ人なんだと感じた。

「今日休んでる先生が昨日言ってたんだ。みんな信じなかったけどな。俺は、そういうことがあってもおかしくないと思ってる。」

「どうしたらいいと思いますか?」

「簡単な話だ。消える前に元に戻ればいいってことだろ?だったらもう一人のお前を殺すしかないだろ。」

話の突飛さに固まった。

「そうすればお前は、元の一人の存在になるんだから。」

「やってみます。」

 その様子を見ていた、白田が寄ってきて話しかけてくる。

「なんて言っていたんだい?」

「もう一人の俺を殺せばいいって。」

「まるで漫画みたいだな。」

「そうだな。」

 考えてみれば、漫画みたいな調子のいい人生を送りたいと思っていた。漫画みたいな刺激的な人生に、心を躍らせ活躍してみんなから必要とされる人間になりたいと。

「何だ?怖いのか?大丈夫だ。私も、一緒にいてやるからな。」

 こいつも心をズキッと痛ませてくるタイプの人間か面倒な奴だ。

「怖くはないが、よろしく頼むよ。」

 僕は、何とも言えないやさしさと痛みを抱えた。

悪役

 僕は、また奴が現れるのを日々の生活の中でただひたすら待っていた。初めて彼を見た時から、半月と少しが立っていた。

あれ以来現れていないが、気が付いたのは奴が現れて以降感情が喜哀に減っていることだ。怒りを悲しさで楽しさを喜びで補っていると感じたのが始まりで、どうにかこらえるが家では泣いていることが多すぎて、涙が枯れそうだ。もともとの悲しい分と怒りの分もあるのだから、それくらいになって当然なのだが、自分が情けなくて仕方ない。

僕はまた学校に行く。季節は本格的な夏になり、また僕に似合わない入道雲が浮いている。

「おい!神無月。」

 登内が来た。

「おう。」

「あと一週間で夏休みだぜ。」

「夏休みか。やることねぇなぁ。」

「俺は、東京に帰るぞ。知ってるか東京ってさ。」

 登内の東京自慢が始まる。

「出たぞ。登内の東京自慢だ.。」

夏休みは、焦る季節だ。同級生は、大会で成績を残したりコンクールで入賞したり旅をしたり、友達や恋人と思い出を作ったり。僕には、縁のない話である。だが、僕がこの場での異端者であることは知っているし、せっかくの長期休みに、スイカを食べて宿題をするばかりだなんて嫌だし先が見えなくて苦しいし焦って仕方ない。

 今年の夏は何をしようか。そう考えているだけで半日が過ぎている。それだけで今年はすでに焦っている。

 お昼になって食堂で、過ごしていると白田が声をかけてきた。

「神無月芯。お昼を共にしてもいいかな?」

「いいぞ」

 白田と話していると、なんだか何でも言ってしまう。最近泣いていることも話してしまった。

「へぇー君は、あんまり人に大切にされていないんだな。」

「そんな風に言うなよ。」

「私はこの学校に入学したばっかりであんまり雰囲気とかはまだ分からないが、そういう友達とか少ない感じか。」

「お前一年生だったのか?」

「うん、そうだよ。先輩。」

白田は、笑みを含んだ顔でわざとらしく「先輩」と言う。僕は、後輩に初対面でため口にされているのか。

「でも芯は絶対大切にしてくれている人いるよ。」

そう言うと突然後ろから聞き覚えのある声がする。野球部のお調子者だ。初対面で絡んできて、自己紹介もせずまるでチンピラのように大声で馬鹿なことや下品なことを騒いで消える。

「神無月じゃん!何その子彼女?」

「彼女じゃない。」

 だるいが無視するのも何か違うと思い、答えてやる。

「先輩のこと大事にしてくれる人がいるって話してたんですよ。」

 できれば話を広げないでほしかった。こんなだるい奴と、長いこと話をしていたくない。

「いないんじゃね。アンケート取ろうぜ。」

 ほら見たことか、ろくなことにならない。

「神無月のこと大事だなって思う人!」

 校内とはいえこんな公共の場で、大声で叫びやがった。

 食堂は静まり返って誰も挙手すらしない。

 僕は泣きそうになった。いつもならこんなことで泣かないのに。うつむいて目をギュッと閉じギリギリと歯を食いしばった。

 途端に心が楽になった。目の前で足音がして前を見ると怒髪天を体現化させたと言わんばかりの表情で、机の上に立っている自分がいた。途端に心が楽になったのは、こいつが僕の分の悲しさを自分の怒りに変えたからだった。

「腹が立つなお前ら。どいつもこいつも見てるだけで止もしないで。頭スッカラカンかよ。」

 そう言うと、また彼はポケットから銃を取り出して食堂にいる人間を次々撃っていった。

 一瞬で、いろんな人がパラパラと粉になって消えていった。あっけにとられて固まっていると、白田と僕だけを残して他のみんなは消えていった。

「どうせ俺が居なくてもこの世界は回っていくんだろうな。散々俺をいたぶるくせに反撃をすれば俺を悪者扱いだ。世界が憎いな。全人類が憎いな。」

 もう一人の僕は、そうボヤキながら外へ出ていく。

「待て。」

 急いで外へ出たが、どこにも彼はいなかった。

「なんかやばいよね。」

白田の一言にこれから何か起きると僕は、感じていた。

僕と俺の決着

 食堂での騒動があった次の日学校は、教職員も含めて学校閉鎖になっていた。

 騒動はそれだけに留まらなかったらしく、近隣住民も行方不明者が続出していると報道していた。

 間違いないあいつだ。僕は、正直怖かった。自分だからこそ怖かった。でも、僕は俺と決着を付けなきゃいけないと思った。

 僕も消えるかもしれないと思い、知り合いに一人ひとりに電話を掛けた。

「もしもし登内。」

「おう。どうした神無月。」

「暇だからさ。電話してみた。」

「そうか。」

「うん。毎年夏ってさ。何もしないんだよ。」

「何にもしなのか?」

「うん。何もしない。でも今年は何かしてみようと思うんだ。そしたらさ、一緒になにかしよう。」

「いいな、それ。なんかしよう。今年はいつもと違う夏にしよう」

僕らは、いつもはしない会話に途切れ途切れになりながら、破らないと信じられる約束をした。

 次は旧友にかけることにした。

「もしもしゆか。」

「もしもし芯?なんかあった?」

「特になんのないんだけどさ、僕って夏は何もしないじゃん?」

「そうだね。なんもしないよね。」

「だから今年はさ、なんかしたいなって。」

「じゃあさ、今年はほかの友達も呼んでさ、また中学校に行って先生たちに会いに行こうよ。」

「いいね。積もる話もあるしな。」

 旧友との久しぶりの会話は、あの頃のように背中を強く押された感じがした。

 会長にも挨拶をすることにした。

「もしもし会長……僕……」

「大丈夫。わかってるよ、わかってる。噂とか色々聞いてるからな。」

「いつも背中押してくれてありがとうございます。」

「次の会長は芯しかいないんだから頼んだぞ。」

「はい。」

会長は、やっぱり応援してくれた。

 次は、白田だ。

「もしもし白田。」

「芯行くのか?」

「うん。行ってくる。」

「私は、色々は言わないよ。是非とも君の雄姿を見たいものだね。」

「見せたいものだよ。」

「生きて帰って来いよ。」

「うん。」

 いつも余裕そうな白田を今ぐらいは見習いたいものだ。

最後は七瀬に電話する。

「もしもし七瀬。」

「神無月君かどうかした?」

「特にどうかあるわけじゃ無いけど話したくて。夏って好きだけど嫌いだ。」

「どういうこと?」

「夏って暑いし、ジメジメしてるなんだか焦るし、でもさ、夏ってワクワクするんだよ。どうしようもなくワクワクする。」

「わかるかも。私夏は何もしないからなんかその感覚分かるかも。」

「じゃあ今年の夏は一緒に何かしよう。」

「わかった何かしようね。」

 七瀬は、そう言うと電話を切った。

電話を切ると、非通知で電話がかかって来た。

「もしもし神無月芯だな。」

俺だった。

「お前は俺を殺したいんだろ?今日学校の屋上で待ってる。」

 僕の話は少しも聞かず切ってしまった。

「僕もそのつもりだ。」

 虚空に向かって呟いた。

 制服に着替えて定期とイヤホンだけを持って決着へ向かった。

 誰もいない下駄箱で、靴も履き替え僕は、屋上に向かった。その途中生徒会室を通過しようとすると、明かりがついていた。中に入るとそこには、七瀬が居た。

「七瀬、何でここにいるんだ。今は、学校閉鎖のはずだろ。」

「知ってる。でも誰かが仕事しないと、後々大変になっちゃう。」

「ここは今は危ないよ。外まで送るから今すぐ帰ろう。」

「帰らないよ。」

「七瀬?」

「私、信じてないから。どんな噂聴いても、神無月君は悪いことできない人だし。」

「そうか。」

「私、安心して仕事してるから。」

「わかった。」

「それに今年の夏は何かするんでしょ?」

七瀬の顔は見えなかったけど、きっと適当な気持ちじゃなかったと思った。

 確かな覚悟と勇気と未来を心に抱えて、僕は屋上の扉を開いた。

「遅いじゃないか。」

「悪かったな。」

「俺は、お前より強い俺は知ってる。」

「何でそんなことが言えるんだ?」

「俺は、お前の中身でお前は俺の殻だからだ。いい人の皮をかぶって本当は悪い奴なんだ。」

「僕は、お前と離れて素直になったよ。自分に素直になった。お前がそうやって言うのは、自分に自信が無いからだ。だから謙遜をして、できるだけ周りからの期待を避けて生きてきた。そうだろ。」

「腹立つな。お前も消えろよ。」

 そう言うと僕は、俺に打たれる。痛いでも血は出てないし他の人みたいに粉にならない。

「クソ!」

 僕は、走って俺に掴みかかる。

「お前は、正義の味方にでもなったつもりか。お前も分かってるはずだ、いつだって除け者や悪者にされる気持ちを。少しくらい世界に復讐したっていいだろ。」

「違う。いつだって僕たちは、理解して貰えないだけなんだ。それは、僕らのせいでも世界のせいでもない。異端者を差別する常識と、それを疑わない一部の歴史や文化が悪いんだ。だから復讐なんかしちゃいけない。何度でも信じなきゃいけないんだ。」

僕は、俺を突き飛ばす。

「うるさい!今更俺たちを信じる人なんて、理解してる人なんていないんだ。」

「いる!そう信じてる。」

「居るわけがない俺は、何度裏切られたんだ。信じないぞ。信じない!」

そう言って俺は諦めたように、床に寝そべって涙を浮かべながら何度も「信じない」と繰り返した。

「目の前をよく見てみろよ!僕が居る!自分で自分を愛してる。時々昔の自分を思い出して、その頃の自分を励ましてやるんだ。そうしたら今の自分を励ます未来の自分がいるはずだ。」

 俺は、落ち着き話し始めた。

「だからお前は人を信じれるのか。何があっても自分が支えてくれるから。」

「そうだ。」

「俺は、誰かに大切にされたいんだ。なんでもっと何も考えてない人間じゃないんだ。俺は。もっと何も考えていない人間だったら、こんな苦しい思いはしないはずだ。」

「そうかもな。でも、そのおかげで悩む人間の手助けをしてやれる。相談相手になれる。考えすぎたせいで、いろんなものに自分なりに答えが出ている、時々変わるけれど。」

僕は、床に座った。俺も、起き上がって座った。

「俺を殺すんだろ?いいよ。俺はもう満足した。」

僕のところまで俺が銃を滑らしてくる。

「殺されるべきは俺の方なんだ。神無月芯は、野蛮な俺じゃなく今まで通りの姿のお前であるはず。そう世界が思ってるから、俺はお前を消せなかった。」

 黙って僕は、俺に銃を向けた。

「また僕は、孤独になってしまうな。」

「そうかもな。でも信じてみるんだろ?」

「うん。」

 今の僕らは、きっと空に広がる入道雲が似合っているはず。

一人では

僕は、深呼吸をすると、彼に向けて引き金を引いた。

 乾いた銃声が響くときには、僕は屋上ではなく、別の場所にいた。

 そこは、白い地面と辺りは全く暗くないのに、星空が広がっていた。和風の一軒家が立ち並んでいて、内装は一室だけ和室の広い部屋があり、その中に人が必ず一人目をつむって寝ている。それぞれ格好はバラバラで時代や国、見た事が無い格好をしている人もいた。

 暫く突っ立っていると、武士のような恰好をした人が、やって来た。

「新しい奴が来たか。」

「新しい奴とはどういう事ですか?」

「ここは、世界に適応できなかった奴が連れてこられる場所さ。」

「じゃああなたもそうなんですか?」

「おうよ。俺は、前義家(まえよしいえ)お前らのなじみ深い呼び方だと二別華則時と言う。お前のことはずっと見ていた。」

 鎌倉時代の、伝説の人物だと僕は思い出した。

「でも僕、一か月以内に。」

「一か月?」

 僕は、ハッとした。なにも一か月がタイムリミットなんて誰も言ってないし、そもそも鎌倉時代と今では一か月の日数も違うのではないかと。

 則時は、話の続きをした。

「ここにいる奴は、みんな世界に適応できなかった奴だ。ここに来ると、俺たちはこれからの世界を一度だけ好きにできる権利がもらえるだが、願い事によって元の世界に戻れるかこの世界で眠らされるかに分かれる。元の世界に戻れれば、俺たちは、世界に適応できる形に直されて、適応できなかった部分は世界が歪まないように、物語や伝説になって元の世界に存在し始める。」

僕は、難しい説明を何とか理解する。

「お前のことも向こうの世界では、すでに物語になっているだろうな。」

「じゃあ僕が生きてる世界は、ここにいる人たちが変えてきた世界ってことですか?」

「そういう事になるな。ここにいる人数の分だけ、個々の世界は始まりを繰り返している。」

 パッと見ただけでも遠すぎて霞んで見えるような所まで、人がいるように見える。相当な数始まりと再構築を繰り返しているのだろう。

「俺は、ここでいろんな奴のいろんな選択肢を見てるんだ。もうここ数千年は居るが、未だに元の世界に戻れた奴はいないな。」

「数千年って一千年以上ってことですよね。鎌倉時代から現代までの計算合わないですよ。」

「そりゃお前、消たり塗り替えられたりした時間がたくさんあるってことよ。」

 僕は、いろんな人との約束を思い出して、帰らなければと思った。でもどう世界を変えればいいかわからなかった。

「僕は、何とお願いすればいいかわかりません。」

「お前が、望むことを願えばいいんだ。」

「分かりました。」

そう決めると、どこからともなく声がする。

「汝よ。願いを言うがよい。」

「僕は、何も願いません。」

「何故だ、汝が異端者なら同士を受け入れる世界を作るのが皆よくする答えだ。」

「僕は、そんなことを願って一気に無理やりしたって、新しい異端者が生まれるだけだと思います。言葉を規制すればそれに代わる新たな言葉が生まれるように。同士の異端者は、僕やほかの異端者が認め合って少しずつ助けていけばいい。」

「それが貴様の答えか。良かろう。」

「異端者は僕だけではないのか。」

あたりを見渡し仲間が居たこと、にホッとして呟いた。

今年の夏

 瞬きをして次に目を開けると僕は、一人で屋上にいた。

扉を開けて七瀬が、出てきた。

「神無月君サボってないで、仕事手伝ってよ。今のうちに仕事しないと夏休み無くなっちゃうよ。」

僕は尋ねた。

「人少ないけど学校閉鎖は?」

「何言ってるの?今日は土曜日だよ。」

「そうか」

 分裂も消えた人たちの事も戻っている、世界の歪みが無くなるってやつか。

 七瀬と一緒に生徒会室に行く僕は、入道雲が似合っているだろうか。似合っていなくても、僕は、今だけはこの世界が似合っていると思うし、今年の夏はいつもと変わって行きそうだと思った。

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