第23話 外法

スイはレオにこれまでの経緯を説明し解決策を訪ねた

「なるほど 酷いことを考える」

レオは目を伏せながら言う

「聞く限り その母君はまだ生きておるようじゃな 辺境貴族では力の弱い魔物しか捉えられなかったか 血液を希釈して輸血したのか どちらにしても幸いじゃったな」

「元々が危篤状態だったらしいので ある意味延命に成功しているからこその命な気もします」

「いや 魔物の血などで延命は出来ぬよ」

レオのその言葉にスイは顔を勢い良く上げる

「そんな ではなぜそのようなことを」

レオをスイの顔を上目で見て話す

「追い込まれた末の思い付きか あるいは第三者の無責任な入れ知恵かじゃな 最悪人体実験という可能性もあるが」

「そんな、、、」

「種の違う血液同士なんぞ 拒絶こそすれ薬にはならぬよ」

「それでも未だ生き長らえておるのじゃ この母君は元々気の強い人間だったんじゃろうな きっとまだ死ねぬ未練を抱えておるんじゃ 恐らくは我が子じゃな」

「下半身の変質は拒絶によるものと 血液中の魔力の暴走 これを元に戻すのは無理じゃ」

スイは悔しさを滲ませながら顔を伏せる

それを見てレオはスイ越しに遠くを見つめながら語りかけた

「スイよ 悔しいか?己の無知 無力」

「無理とは言ったがな 方法が無いわけではない」

スイは困惑した顔をレオに向ける

「じゃがな この方法は世界の理に反する 言わば外法じゃ 必ずしも良い結末を得られるとは限らん」

「どのような結果になっても それに付随した未来に悲劇が伴おうとも それを背負う覚悟はあるか?」

スイは暫く考える

レオの言う言葉がなにを意味し その方法も予想すら出来なかったからだ

しかし スイはレオを見て頷いた

それに対し レオも頷き返す

「よかろう 母君のことはわしに任せよ してシャルルとやらの解放 何か良い策は考えておるのか?」

「それについては 今情報を集めていて それ次第で少し内容は変わると思うんですが」

スイは本を開き レオに差し出す

「この方法を使おうと思っています」

レオはチラリと本を見てニヤリと笑う

「なるほどな ではこの進行役もわしが引き受けよう」

レオは本を返しながら進行役を名乗り スイは本を受け取りながらその申し出にお礼を言った

「ありがとうございます!レオが適任だと思っていたので助かります」

「うむ 任されよう」

「久々の外出じゃな」

そういいレオはタバコに火をつけた

「それでは 僕は雇用人を待たせているので預けていた金銭を馬車に積み込み次第失礼させていただきます」

そう言って席を立つ

「日程が決まり次第お迎えにあがります!」

扉の前でそう言いお辞儀するスイに レオは軽く頷きホムンクルスは深くお辞儀した


帰りの道中 スイは本をしまい これからのことを幾通りも思案していた

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夢の中の少女と暮らすための世界征服 @sibuta1182

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