第22話 ホムンクルス

ホムンクルスは慣れない手付きで カチャカチャとお茶を容れ テーブルに置く

「おくつろぎください」

そう言って少し離れた場所で待機している


「レオ ホムンクルス?って なんですか?」

スイがホムンクルスを眺めながら問いかける

「うむ ホムンクルスというのはな簡単に言うと人造人間じゃな」

「人造人間?」

「うむ 主は人体のことはわかるな?」

「ええ まぁ 僕の体が人体ですよね」

「そうじゃな では生きているか死んでいるかの違いはわかるかえ?」

「そうですね 心臓が長時間止まっていたら死んでいると判断します」

「ふむ では心臓の代わりに心臓と同じ機能を持った道具が埋め込まれていて 普通に会話出来ていてもそれは死んでいると?」

「あ いえ それは生きていますね」

「では逆に脳の機能が失われてずっと寝ているのに心臓が動いているとしたらそれは?」

「うーん それも生きています」

「では脳の機能が失われてずっと寝ていて心臓の代わりに道具で延命されていたら?」

「、、、生きてる」

「では 死とはどういう状態じゃ?」

スイはわからなかった

ただなんとなく死というものを受け入れてはいたけれど 深く考えたことなどなかった

「死とはな 自身が認めて初めて死となるとわしは思っておる」

「生物とは肉体 幽体 精神体と三つの体を持っておる それらはそれぞれが紐付けされ重なりあっておるのじゃ」

「肉体から幽体 精神体が離れ俯瞰で自分は死んだんだと認識したとき 紐は切れ死に至る」

「さて 話を戻そう では紐が切れた後肉体はどうなるかな?」

「延命されなければ朽ちます」

「では延命すると?」

「空っぽの肉体だけが残ります」

「そうじゃな ではその空っぽの肉体 脳も心臓も神経も全て健全だったらどうなると思う?」

スイはハッとしたが レオの前で推測を言う意味がないと思い

「想像もつきません」

と答えた

レオはニッと笑い

「それがホムンクルスじゃ」

とホムンクルスを指差した

「正確には空っぽでは無いがな 空っぽのままじゃとその辺の劣悪な幽体が入り込む恐れがある じゃからすこーしわしの魔力を調整したものを入れてある」

「ちなみに その劣悪な幽体が朽ちた肉体に宿ったものをゾンビと呼称したりもする」

「本来女性がその胎内に赤子を宿し劣悪な幽体から守りつつその赤子へ宿りたいと言う優生幽体を受け入れるのじゃ それが子となり人となる」

「胎外で作られた肉体に魔力を込めたものがホムンクルスというわけじゃ」

「久し振りに沢山精液手に入ったから 作っちゃった」

あまりにもスケールのデカイ話をつらつらといとも簡単に語り レオはテヘッと舌を出した

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