第11話 炎が燃える! バーニング戦士・ファイヤーキヨシ
ドガァーッ! 静寂を破りドアを破って、ドア破りの轟音が響き渡る! 蛍光灯に照らされた暗闇に現れし怪しげな二人の男! 俺ジャンゴはモチろん、となりには下駄ジュピター! 鬼に金棒を通り越して原爆に金棒である。
「ゲゲーッ! サイバブの死体だ……え? あっコレ! 密室殺人事件だ!」
察しのいいジャンゴが真っ先に気付き、バカ面で下駄ジュピターがほぇ? と疑問声をパプりあげる!
「ホェ? ジャンゴ、サイバブの死体とは一体……あっこれ! これか~い! 密室殺人事件だ!」
そう、部屋のど真ん中で体中を毒ナイフで刺されたサイバブの死体がそこにはあった! そして部屋は1LDK、つまり1(ひとつ)Lonely(孤独) DoKu(毒)(一人孤独毒……孤独!)これはこの部屋にサイバブが独りぼっちだったことを指し示すサインである。つまり、これはマサシ君密室殺人事件だ!
「これが密室殺人事件であることを一瞬で見抜くジャンゴとは。」
感心した様子で腕を組む俺。
「あっビーダマンだ! ビーダマンをやろうっと!」
部屋においてあったビーダマンを手に取るなり締め撃ちでサイバブの死体をもてあそぶ下駄ジュピター! 十連撃必殺シュートがサイバブの乳首という乳首に襲い掛かる! 僕は金切声を上げて鋭く短く儚くピシャリ怒鳴る!
「まてっぇぇぇぇええ! あっ! あっあっ現場保存! 現場を保存! 証拠に指紋がついたら現場保存だァァァァァッ! あつ! ナァ! オイオイ! 現場を保存しろぉぉイ! 保存するんだい保存だい! 保存だい! だい! だい! ダイヤモンドフィストォォオォッ!」
ゴバー! 必殺のパンチをくらった下駄ジュピターもろとも、ビーダマンがコナミジミジの粉微塵爆発! 刑事ドラマの見過ぎであらゆるミステリーを解き明かすことができる俺は、警察の五兆倍の捜査能力を活かしてジャンボ怒鳴り声を上げたのだ。委縮して下駄ジュピターが腰を抜かす。
「ヒェーヘっ! ツァー!」
腰の抜けた勢いでうっかり聖剣ン突きを繰り出してしまう下駄ジュピター!
「よけてジャンゴ!」
「痛ってー!」
聖剣駅近リバーの一撃により体がボザボザに朽ち果て果てていくジャンゴ!
「ごめんジャンゴなさい」
僕はペコペコ謝罪をする。
「えっなんでジャンゴが謝ったんだ!」
そう、僕の知略が見事下駄ジュピターを苦しめている。嫌なことをされたのはこっちなのに謝るという行為は余りにも非現実なため、脳の処理能力を超越しシナピスを焼き切るのだ!
「ガーガバ! グギバ! ゲギバドゲラ!」
泡を吹いてぶっ倒れつつある下駄ジュピターをお尻目に、僕はサイバブ博士の検死解剖を開始する。
「ふ~む。ヒ・ガイシャは56歳。死亡推定時刻は今日の午前2時。血液を調べたところ、血液型はバービー型。星座はヤギ座だ。死因は毒ナイフ100本が全身に突き刺さったことによる大量ショック」
次に僕は部屋の中をまさぐる。部屋は10メートル立方体で、ドアも窓もない。エアコンと水道は指紋認証でロックされている。つまり、人が入れるスキマなどないのだ!
「これは本格ミステリーだ! どこからも人が入れないのに、サイバブ博士が殺されているとはな。しかもこんなに部屋を探しているのにアリバイがどこにもない」
僕は引き続き部屋を探す。すると、面白いものを手に入れた。
「ジャンゴ、それって……」
僕が手に入れたのは壁に貼ってあった時刻表である。
「あぁ、これは時刻表だ」
僕は時刻表をサイバブの体に押し当てる! すると傷口にピッタリ!
「ジャンゴ、これは!」
犯人は時刻表でサイバブ博士の頭を殴打! 頭蓋陥没からの博士の命がハイ、おジャンゴってワケである!
「チッ、ありふれた時刻表トリックじゃねぇかァーーーッ! くそ、畜生が! 何もかも滅んでしまえ! あわわっ」
僕は慌てて冷静を取り戻す。
「死亡推定時刻から考えても、やはり犯人は部屋には入れない。つまりこの部屋の中に何者かがいるということか? しかし、さっきから生体反応装置を使っているものの生命体の反応は二つだけ!」
折よく下駄ジュピターが泡を吹きぶっ倒れ終わり絶命する。
「これで俺だけ!」
僕はもっと部屋をよく見ようと思い、ムシめがねを装着する。すると、博士のダイニング・メッセージが浮かび上がってくるではないか!
「そうか、このダイイングメッセージ、博士を殺した犯人の名前が書いてあるに違いない。それにしても、今にも死にそうという瞬間に、みんながハッピーになるケーキの絵とかではなくわざわざ犯人を捕まえてくれという憎しみのメッセージを遺すとはな。殺されて当然の恨みを買いそうなクズめ。どれどれ……」
メッセージは次のように書かれている。
「木が三つ BOOK レオ」
「このダイイング・マッサージ! 俺は犯人がわかったぞ!」
するとミユキがみんなをボビーに集めた。
「容疑者はこの4人かよ……」
「えぇ、ジャンゴ……早く邪悪な殺人鬼を返り討ちにしてちょうだい」
「まずあなたは……ギャルギャモさん。」
「そう私はギャルギャモ。事務室の鍵を取りに防空壕にいっていたわ。一緒に行ったガッデム虫を殺してしまったわ。」
「つぎは……ムチムチ・ゴボウマリオ。」
「僕は部屋でコカインを吸いながら違法エロビデオを見ていた。深夜二時ごろに謎の雷鳴と爆発音が聞こえたので、何もかも嫌になって隣人を殺害した」
「つぎは……邪悪ネス・デスデス機関車」
「私は聖なる戦士だ! 大いなるギルマン様の命令とあらばどんな人間でも始末する! ギルマン様の命令は絶対だ! 昨日はギルマン様の命令で、部屋でコカインを吸いながら違法エロビデオを見ていた」
「つぎは……モリガミッツ・ブック・レオ」
「私は聖なるエロビデオだ!」
「おいおい、名探偵とやら? だったかな? こんな時間に俺たちを集めて、挙句の果てに連続殺人犯扱いかい? 凶器の毒ナイフも絶対に見つからないところに隠したってのによ!」
得意げな顔で僕を追い詰めるムチムチ・ゴボウマリオ。
「慌てるな!」
僕の慌てさせない立ち回りをものともせず大慌てを始めるゴボウマリオ!
「探偵! おい! 名探偵を反対から読むとどうなる? それがお前の本質さ!」
「何! 馬鹿にすると殺すぞ」
怒り狂う僕の横で、邪悪ネス・デスデス機関車が噴き出して笑う。
「名探偵を反対から……なるほどね、トリパイタンってわけかい」
「ウッガーッ!」
僕はデス機関車の頭をつかみ、壁にめり込ませて殺した。
「ガープ!」
断末魔の悲鳴! ギャルギャモが金切声で叫ぶ!
「ゲーッ、殺した! オイジャンゴ、そいつが犯人だったらどうするの!」
「違うぜ! こいつは犯人じゃない! だから殺していいんだ」
「すると犯人はもうわかっているの!」
「モチロンだぜ! 犯人は……あなたですね。モリガミッツ・ブック・レオさん」
「ゲーッ! ギギ、ギクーッ! なぜそれを……そうさ、俺が犯人だ! 俺の空間すり抜け侵入能力で部屋に入って毒ナイフで動けなくした後時刻表でドガン! 頭蓋陥没のおジャンゴ! いやまて、俺が犯人って証拠でもあるのかよ!」
「証拠は三つ、まず一つ! あなたはポイズンアサリスープ、毒ラムチャウダー一族! 奴らは壁をすり抜ける能力を持っている! 勿論その血を引くあなたも壁をすり抜ける!」
「ゲゲ、ウググ、ウガーッ!」
「二つ目! あなたは電車の車掌さんだよ!」
「ゲゲ、ウギギ……なぜだ! 誰にもばれないようにやっていたのに……」
「ふふ、あなたの親指のタコを見れば一発です。それはつり革を持つときにつく寄生型のタコ、ツリカワダコ! あなたが電車の車掌さんでなければありえないのだ! そして電車の車掌さんといえば時刻表!」
「グバグバ! ウッゲーゲ! でも動機がないぜ!」
「ふふ、落ち着けカス! 動機は三つ目の証拠! 部屋にあったビーダマン! 最近のはトゲトゲのデザインなのでマッハ5兆でぶつければ人を殺しうる威力となる! これで殺しそこなっても時刻表トリックで確実に命を奪える!」
「ググヌ・グヌギブバ! でも動機がないぜ!」
「完璧なトリックだと思ったろうがアメぇんだよバカ! 宇宙ポリース! 現れろ!」
僕の呼び声に呼応するかのように、ギャルギャモが110番! その後二時間ほどで宇宙ポリスが現れる。
「メッセージ・インナ・ボートル! メッセージ・インナ・ボートル!」
「うわぁ、やめろ! 俺じゃない! 動機がな~い!」
「無駄な抵抗はやめておとなしく犯人を連行しろ!」
逮捕ストレスに耐えかねた新米ポリスをたたきながら、ベテランポリスが毒ラムチャウダーを連行する! 一見解決である。
「ヘヘ、ジャンゴ様。あなたの推理パワーがまた宇宙を平和にしましたね」
僕に卑屈な笑みを浮かべて感謝するザコ警官、ゾニ型ペイジ!
「へへ、この俺ジャンゴがいる限り、この世のミステリーは全部、全然ミステリーじゃなくなって、ミステリージュースもただの甘~いジュースになってしまった! それでかんぱ~いジュースパーティ開催サイサイサイの頭突き、乾杯からのジュースパンティいやそれっておもらしやないか~いってワケ」
僕のウィットにとんだ小粋なジャークに一同が笑い狂う! 恐怖!
宇宙戦士伝説・ジャンゴ チカ @mui_kanri
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