第6話 私
公園にある、ただ一つの街灯の下で私はほとんど焼けてしまった手帳を開いた。残った部分には彼の字で詩が書かれてあった。
「やっぱり君の詩は素敵なんだね……」
私は一人呟いた。気持ちはもう落ち着いた。もしかしたら彼がいなくなってから一番落ち着いてるかもしれない。彼の詩を読んでると彼がすぐそばにいるような、そんな感じがするからだろうか。焼けてしまった部分は読めない。だけど、それでもいい。私は今にも崩れてしまいそうなページを大事にめくっていく。そのページはいつまでも続いているように思えた。
「あっ」
ページをめくるとそこは何も書かれていない白紙のページになった。彼の詩は終わりを告げた。これからこの続きのページに詩が書かれることはないのだ。その現実を私はしっかりと受け止めないといけない。
「……」
夜、子猫泣く @necomach
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