第2話 ナナミとエリーナ
夕日が沈み、オレンジの空が暗い夜の空に変わり終えた頃
今日の仕事を終え、あとは寝るだけになったのでメイド服からパジャマに着替えて、エリーナお嬢様の寝室の前に来ていた。ドアの前で2回ノックをし、
「エリー?私です。ナナミです。」
するとドアの奥からパタパタと音が近づいてきている。ドアのすぐ前まで来て音が止まりガチャと中からドアを開けてパジャマ姿のエリーナが姿を表した。
「来たわねナナミ、さぁ中に入って」
エリーナがドアを開けてくれるのですぐに中に入った。
今はメイドの仕事を終わらせ勤務中ではないので、ここからはメイドのナナミではなく、ただのナナミなのだ。
エリーと呼ぶのはエリーナが自分からそう呼んでくれと言われたからである。なんでも勤務中はいいが、こうして二人きりの時に、そして勤務中ではないのにそこまで畏まる必要がないと言うのだ。
なので親しみを込めてエリーとこの時間はそう呼んでるのだ。
そんなエリーは、自室にある小さいキッチンでお湯を沸かし紅茶を作り、ベッドの端で座ってた私の前、その近くにある小さい机に用意されたティーカップに注いでくれた。
「今日は珍しい茶葉なのよ」
確かにいつもとちがう香りがして、いただきますと小さく言ってから紅茶を一口飲んだ。口の中で暖かさを感じて、それから紅茶の苦味と砂糖の甘味を味わった。
「エリーが紅茶を入れ始めてから結構立ちますけどもう私に並ぶくらいの腕になりましたね。」
「ほんとに?それは嬉しいわ」
と嬉しそうに頬を緩めていた。
エリーの部屋に通い始めた頃は私が紅茶を入れようとしてたのだが、
「普段はナナミがいれてくれるでしょ。だからこの時間は私が入れてあげるわ。」
と言ってそこからはエリーが紅茶を入れ始めたのだ。
そこからはまぁ見るに耐えない姿だった。
お湯を沸かそうとしては沸騰させすぎてお湯を半分ほど無くして。美味しく入れるためにあらかじめポットを温めてることを忘れてポットに触り、軽い火傷を負ったりしていたのだった。
そのことを思えば今のエリーの紅茶を入れる姿はとても慣れてきたものに見えた。
「あの時のエリーは見ていられませんでしたからね、よくここまで上手くなったものです。」
エリーも同じことを思い出していたのか
「ほんとよね」
と言い2人で目を合わせ笑った。
お嬢様のこと大好きです。なのでメイドの私頑張ります。 @otannkonasu
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