心の奥から━エピローグ━


幕が上がる。

「皆さん、見ていてください!!」

会場中に、私たちの声が響き渡る。

美澪の弾むような可愛らしい声、椿の透き通るような美しい声、そんな声と私の声が混ざって、会場中を支配している気分だ。

歌うのは、やっぱり楽しい。

そして、あっという間に私のパートだ。

あの時の光景が、脳裏をよぎる。怖い、まだ完全にトラウマは解消されてないみたい。

……でも、大丈夫。もう、ソロじゃないから。ひとりぼっちなんかじゃない。

見てる?矢沢。私、歌えてるよ。歌うの、大好きだよ。まだ歌えるよね?

きっと大丈夫。だって、みんながいるから。いつもそばに居てくれるあんた達がいるから。

私は喉の奥から、溢れる想いを叫ぶように奏でていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

秋唄 @roaagmo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ