第2話 眩しい委員長
「えと、レンリちゃんは……」
「……呼び捨てでいいよ?その、私達もう高校生だし……」
上目遣いで言うレンリちゃんの表情が胸に突き刺さった。可愛い。あぁ、俺は今変な顔をしてしまってないだろうか。
「……レ、レンリ……」
「大和」
「ぐっ」
急な呼び捨てが不意打ち過ぎておもわず変な声をあげてしまった。
「ど、どうしたの?」
心配する様子で聞いてくるレンリちゃん。
「可愛い過ぎる」
反射的に、はち切れんばかりの感想が口からとびでてしまっていた。
「……っ」
レンリちゃんの頬が真っ赤に染まった。
「あ、いや」
「……や、大和も……かっこいいよ」
「ヴッ」
「お返し」
イタズラっぽい笑みをほんのり赤い顔に浮かべて言うレンリちゃん。
話が進まないため、一旦精神を落ち着けようということで深呼吸をする事にした。
「すー……はー……よし、レンリは大丈夫?さっきあんな事があって学校行って?」
「大丈夫。大和が助けてくれたし、皆勤賞の為にも学校は一日も休まないって決めてるんだ。それより、大和は家族で引っ越してきたの?」
「うん、そうだけど」
「そうなんだ!久しぶりに大和のお母さんに会いたいな!お母さん元気してる?」
「元気だよ」
「よかった!その、今日遊びに行ってもいい?」
「あー……今日いないんだよね。新しい職場で歓迎会的なのがあるらしくて」
「……なら、え〜と……」
レンリちゃんが何かを言おうとした時、俺のスマホが鳴った。
「あ、ちょっとごめん電話だ」
画面に表示された文字は『母親』だった。
「あ、噂すればだ。もし、」
『あんた何してんの!学校来てないって連絡来たわよ!転校初日から遅刻とか不良みたいな事しなさんなよ!』
そう言って母はこっちが何か言う前に切った。
「あ、学校に連絡してなかった」
転校初日から遅刻とかマジ不良じゃん。
「大変じゃん!行こ!学校こっち!」
「あ、うん」
話の続きのしたいが、このままだと転校先の俺のイメージが更にダウンしてしまうためそうもいかない。
少し話したら、だいぶ打ち解けられたな。最初は恥ずかしくて会話できるかと思ったが普通に話せるようになって良かった。
―――
「まさか同じクラスとは……」
「びっくりだね、ふふ」
嬉しそうに笑うレンリちゃん。
俺のクラスは1-Bだったのだがレンリちゃんも同じく1-B。さすがに偶然が過ぎる気がする。雷が直撃する確率だろこんなの。
「おい、なんであいつ峰屋さんと」「あんなに話す峰屋さん初めて見た…」「アイツ電車の中でサラリーマン倒してたやつだよな?組み伏せて」「え、マジ?」「峰屋ちゃん助けたらしいよ?」「かっこいい〜」「身長高いしね」「なるほど」「だとしても許せん」「それな」「男子の嫉妬みにく〜」「うるせぇブス」「誰がブスだゴラァ」「ひぃ」「てか好みだわ……」
周りから痛いくらいの好奇の視線と凄まじい嫉妬を感じる。そりゃ転校生だって言うだけで目立つのに、遅刻してきて自己紹介する間もなく席に座り、いきなりこんな美人な子といたらそりゃ目立つ。クラスに40人居るだけでも驚きと緊張でいっぱいなのに、流石に身が持ちそうにない。
「ちょっとトイレ行ってくる……」
トイレに避難することにした。
「あ、男子トイレは右に行ったらあるからね!」
「ありがとう」
教えてもらった通り右に行くと男子トイレがあった。トイレのドアを開けようとしたら、誰かに肩を掴まれた。
「やぁ」
「わぁ!?」
「あ、ごめん驚かせちゃったかな?」
振り返るとそこにはイケメンがいた。眩しい。これ絶対性格良くて成績良いタイプのイケメンだ。
「いや、こっちこそ変な声あげちゃってごめん」
「うん。少しびっくりした。……いや、良かったよ。
イケメン君の胸元の名札には1-Bと書かれていた。ちなみに峰屋とはレンリちゃんの苗字だ。
「学級委員長的な?」
「一応ね。えーと、君の名前は田中大和君で合ってるかな?」
「合ってる。委員長君は?」
「
握手を求められた。ま、眩しい……!
「よ、よろしく海斗」
「じゃあ、僕はこれで」
コミュ力の権化みたいな奴だな……。
でも海斗のおかげで少し緊張が解れた。学級委員長すげぇなぁ。イケメンだし。
ひと夏の思い出だったハーフ美少女と十年ぶりに再会した。 アサブクロ @asobigoo
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