19.他の誰に好かれようと

物陰で同級生に口を塞がれ隠れる私達の側を女子生徒達が駆けて行く。彼女達が探しているのはこの同級生だ。

どこがいいのか知らないけれど、この同級生は無駄にモテる。


「ってか、私を巻き込まないでくんない?」

「いやー、あの子らいくら言っても諦めてくんなくてさ」

「アンタ、モテんだからさっさと彼女作れば追いかけられたりしなくていいんじゃないの」

「じゃ、彼女なってくんない?」

「いーやーよ。私がアンタに興味なくて都合いいからって何で私がアンタの女の子避けに協力しなきゃいけないのよ」

「いや、もーちょい俺に興味持ってくれてもよくね?」

「ないない。女の子みんなアンタに興味あるとかさすがに有り得ないからね」

「他の子より、俺はお前に興味持って欲しいんだけど」

「はいはい。とりあえずもう女の子達行ったみたいだし私は行くから」


適当にあしらって立ち上がった私の腕を同級生が掴んだ。


「マジで言ってるから」


やけに真剣な表情と声に私はさっきと同じようにあしらうことができなかった。

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ちいさなちいさな物語 梛宮 @nagimiyaxx

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