エピローグ

 いつの間にか、雨は上がっていた。滑走路はエマージェンシーランディングに備えてバリアが張られたり消火車が並んでいたりしていたが、それらの出番は全くなかった。末広三佐は、まるで何事もなかったようにU-125Aを無事着陸させたのだ。


 そして今、私はアラートバッドに帰ってきた。なぜか今江二曹も一緒だった。


「春日さん……あんた、すごいヤツだったんだな。すまなかった。なんか俺、色々酷いこと言っちまったみたいで……」


 そう言って、彼は私に向かって体を九十度折り曲げる。いきなり素直になられると……私も戸惑ってしまう。


「べ、別に、いいよ。気にしてないから」私がそう言うと、彼も上半身を戻して、笑顔になる。あれ、こいつ、こんなにいい男だったっけ……


「俺、ヒーローからアスコットに配置転換になって、正直言ってちょっと腐ってたんだ。救難員メディックとしては明らかに活躍の場が失われた、と思ってさ。だけど……今日、探しだすって仕事もすごく重要なんだな、って痛感した。それを教えてくれたのは、あんただ。だから……これからもアスコットのクルーとして、よろしくな」


 そう言って差し出された彼の右手を、私も握り返す。


「ええ。こちらこそ、よろしくね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Find the Way Phantom Cat @pxl12160

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ