主人公・さくらは少し人とは違う特技を持っています。
それは、お母さんから受け継いだ大切な力。
だからこそ、さくらは穏やかで優しい気性に育ち……。

さくらの周囲の人々は、皆個性的で、優しい人が多い。それはきっと、さくらを幼い頃から知っているから。

時折トラブルに出会いながらも、確実に関係性を結んでいく。その先に何が待ち受けていても、きっと皆ならば大丈夫だと思いたい。

魔法、という非科学的で、それでも確かに存在する大きな力。それを信じる人だけが、辿り着けるお店があります。

――さあ、あなたは魔法を信じますか？

基本的に、主人公含め「いい人」しか登場しません。
一見すると作品として破綻していると感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは僕がアクションものばかりを書いているからであり、今作の著者様の技量にかかれば全く問題なく、むしろストレスなく読み進めることができます。

そこで展開されるのは、微笑ましく温かい、そしてかけがえのない人々の交流であり、拝読しているこちらも大変癒されます。
それこそ現実に、こんなコミュニティがあったら楽しいだろうな、と思わせてくれる力があります。

惜しむらくは、台詞が多い（これ自体は悪いことではありません）ことで、誰が発言者なのか分からない場面が時々見受けられること。一人一人の喋り方にもう少し個性があってもいいかも、と思いました。

いずれにせよ、いろいろとお疲れの方には是非お勧めしたい一作です。

温かな作品世界の中で、いつまでもこの陽気に照らされていたいと感じる物語。
しかし作者様いわく、これは超長編の第一部に過ぎないとのこと。
ならばこの先、夏や秋も訪れるのだろう。
もちろん、冬も。

季節が巡り、個性的な登場人物たちがどのような成長を果たすのか。

今はまだ、うららかな日差しの中で、いずれ来るその時を夢見ていたい。

まだ序盤ではありますが、主人公・さくらちゃんが温かな人々に囲まれた、とても優しい物語です。

誰しも秘密を抱えているとは思いますが、それを受け入れてくれる誰かと出逢えた時、人は強くなれると思います。

商店街の人々が生き生きと描かれており、読んでいてその場に混ざりたくなるような楽しさもあります。
そして何より、人の想いが温かくて心地良いのです。

そんなたくさんの想いの中で育ったさくらちゃんを、読まれた皆様も見守りたくて読み進めるはずです。
彼女が何を感じ、どう生きるか。
親のような気持ちを味わいながら、ゆっくりとこちらの作品の世界に浸って下さいね。