遣(や)らずの雨

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遣らずの雨

〈ピンポーン〉女 はーい

〈ガチャ〉女 え、えっと、どちら様でしょうか、、、


男 あ、俺、りょう。小林りょう。小学校の時、登下校一緒だったの、さすがに忘れちゃったかな?


女 えっ?可愛くてちっちゃかった、あのりょうちゃん?声低いし背が大きいから分からなかった。それで今日はどうしたの?


男 うん、ご近所さんからスイカ貰ったからお裾分けに。


女 それでわざわざ?ありがとう!


男 じゃあ俺はこれで。


女 ちょちょっと待って。こんな重たいスイカを暑い中持って来てくれたのに、手ぶらで帰すなんてできないよ。さ、上がって。


男 いや、でも…


女 いいから、遠慮しないで。


男 じゃ、じゃあ。お邪魔しまーす。


女 あっ、そういえばりょうちゃんが好きだったアイス、ちょうど昨日買ってきてたの。今持ってくるからちょっと待ってて。


男 あ、うん。


女 …はい。これさ、小さい頃よく分けっこして食べたよね?て今はもう好きじゃないかな?


男 いや、今も好きですよ。…あれっ?雨?


女 本当だ。りょうちゃん、さっきのタイミングで帰ってたら途中降られてたね。


〈雷・ゴロゴロ~〉

女 やだ、雷?もー雷苦手なんだから勘弁してよー


男 えっ?雷苦手なんだ?


女 うん。


男 へー、あず姉も苦手なものとかあるんだね。


女 そりゃあ私だって苦手なものくらいあるわよ。


男 ふーん、可愛い。


〈雷・ピカゴロゴロゴロゴロ~〉

女 もーやだー。ねぇ、雷止むまで一緒にいて?ね、お願い!

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