倉沢の読書帳。

25 【訂正済】〈毒舌芸〉があったころ。今東光。

〈毒舌〉が〈毒舌〉として受け止められ、抗議とそれへの回答もゆっくりで〈炎上〉前になんとなく有耶無耶になったり訴えられたりする昭和時代。

　今や堂々たる歴史小説家、北方謙三のプレイボーイ誌にての人生相談は、「ソープに行け！」で伝説となっていますが、男子の友だちに聞いたら「俺がたまたま読んだやつ、『死ね！』て回答だった(笑)」て教えてもらったなあ。←【訂正】名回答「ソープに行け！」は、「ホットドッグプレス」誌の方での人生相談だということです。ご指摘ありがとうございます！

　まあ、あのときは肩書〈ハードボイルド作家〉でしたしね。「そういうキャラ」という読者側の理解もあったかと。

●234　百合。と、薔薇。『綴りかた日記』https://kakuyomu.jp/works/16816452221508425967/episodes/16817330658172322367

　先日こちらにいただいたコメントへのお返事をしたときに今東光の名前が出てきて何となく思い出したのでこちらを取り上げます。北方謙三はじめ、プレイボーイ誌の人生相談を務めたメンバーのレジェンドです。回答が基本的に罵倒(笑)

●『毒舌　身の上相談』1994年 集英社文庫

　しかしまあ、この方も僧侶ですから、この馬鹿野郎！　チ〇〇〇野郎！　とか、ひどい回答ばっかりだなあと思わせつつもベースが仏教なので、医学系の相談の回答とか今の知見でみるとこれ間違い、みたいなやつのほかは、乱暴だけどちゃんと腑に落ちる答えをしてたりする(笑)だからレジェンドなのでしょう。

　何かひとつ、特徴的な回答例を引用しようと思ったのですが、どれもセルフレイティング必要だなあ(笑)

　このあたりでどうでしょう↓

[★なぜ自分は存在するのか

笑わずに聞いてほしい。いったいなんで、おれはいるのか？　なんで草があり、木があり、草原があり、地球があるのか？（以下略）]

　続いて回答。あえて伏せ字にしていませんので、苦手な方はここだけすっとばしてください。

[　笑わずに聞いてくれ、だと？　もうそれだけで笑いたいよ。

　なぜてめえがいるかって？　だったら、ジーッと座ってチンポコ見てろ！（以下中略）]

　中略ののちの続きを。

[　何時間でも覗いているうちにハッと気がついて、あるべきものはあるべきなんだ、ということに気がつくだろう。つまり「何々べきように」というのが明恵上人の教えなんだ。（中略）というのをよく見定めて、のべつまくなしに見てろ！]

　こんな話に生涯不犯の明恵上人出てきましたよ。どうしましょう。

　なんか、こんなこと言ってるよ（困惑）と思いながらも、何となく可笑しく、たまに感心したり納得したりする。そんなレジェンドをご紹介しました。