26 ひょっとしたら異世界理解の補助線かもしれない。ちがうかもしれない。

 思い返せば私は橋本治『完本 チャンバラ時代劇講座』をきっかけに、戦前戦後の時代劇映画を観る生活になりました。

 数が多くまだ全然観きれていないのですが、この本に登場する作品はだいたい観たかなあ。いや、今、ひさしぶりにパラパラめくってたら、全然だった。NHKの赤穂浪士とか大忠臣蔵とかまだまだ残ってるわ。


〈「どうして時代劇は現代が舞台じゃないのか?」

 「どうして現代に生きている現代人は平気で(又は〝喜んで〟)時代劇を見るのか?」

 答は簡単です。それは、「だって、現代ってそんなに魅力的な時代じゃないもの」っていうことを、日本人は黙って、チャンバラ映画及び時代劇を見ながら言っていた、ということです。〉「2 チャンバラ映画はくだらない」より


 本書は硬く言えば戦前戦後の時代劇映画を追いながら戦後の精神史を解きあかしていく内容なのではありますが、引用した「2 チャンバラ映画はくだらない」は、逆説的にチャンバラ映画の面白さを浮かび上がらせる章です。橋本治を読んでいるとよくいろんな人に言われました。


「橋本治の文章って、くどいよねー(面白いけど)」


 そうです。くどいのです。独自のグルーヴがある文章を書く人の本ってだいたいそう。でも腑に落ちる。腑に落ちて、私は今週YouTubeで『孔雀城の花嫁』の配信あるな(喜)とか考える人になってしまいました。


 各作品の見どころを知ることができる優れたガイドブックでもあるので、どこか引用しようと思ったら、ちょこっと引用してわかるような部分がなかった。くどいからしばらく読まないと結論までいかないぞ。


 なので、参考までに登場する作品を少しだけ並べてみます。


『雄呂血』『旗本退屈男 謎の大文字』『逆襲! 鞍馬天狗』『雪之丞変化(長谷川一夫)』『西鶴一代女』『一心太助 男の中の男一匹』『新版 大岡政談』『丹下左膳(大河内伝次郎、阪東妻三郎)』『荒木又右エ門』『大菩薩峠』


 きりがないのでこのへんにします。

 橋本治、『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』が再版されてましたけど、あれもくどいし面白いなあ。あ。こっちを取り上げればよかった。おわります。




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